覆面ホラー作家・雨穴が初の“顔出し”会見!? 『変な絵』が海外でも人気の理由
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2024年年間売上第1位のホラー作家&YouTuber・雨穴(うけつ)氏による『変な絵』(双葉社)が国内でシリーズ累計120万部となり、異例の世界20カ国(北米、ヨーロッパ、南米、アジア)での出版が決定。これに伴い、雨穴氏がマスコミの前に初めて登場する記者会見が、1月16日に「外国人特派員協会」で開催された。
ホラーブームも追い風に世界へ人気が広がる雨穴作品
グローバルヒット作品となった『変な絵』。大人気YouTuberにして、ミステリー作家でもある覆面クリエイター・雨穴氏は、会見で自身の本が多くの人々に受け入れられ、ミリオンセラーとなった背景などについて語った。
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2018年、ウェブサイト「オモコロ」でウェブライターとして活動を始め、同時にYouTuberデビューを果たした雨穴氏。ホラー・ミステリー動画や自作曲の音楽動画を投稿するYouTubeのチャンネル登録者数は170万人を超え、総再生回数も1億9000万回を突破した。
21年には、YouTubeに投稿した動画『【不動産ミステリー】変な家』を書籍化した『変な家』でホラー作家としてデビュー。同作は2024年に映画化され、興行収入50.5億円の大ヒットを記録した。
また、2作目にして自身の最高傑作という小説『変な絵』は、奇妙な9枚の絵から一つの事件の真相を探る戦慄のスケッチミステリーで、コミック化・文庫化されるなど大きな話題に。シリーズ累計部数は120万部を突破している。
その人気は国内にとどまらず、世界30の国と地域から翻訳出版(累計28万5000部) オファーが殺到。すでに韓国、タイ、中国、台湾、ベトナムで発売されているほか、2025年1月のアメリカ・イギリスでの発売を皮切りに、世界各国で出版が予定されており、世界的なミリオンセラー作品になっている。
本会見の冒頭、雨穴氏は「21年にデビュー作『変な家』を出しました。奇妙な間取りの家の謎を解く物語です。その翌年には『変な絵』を発表しました。奇妙な絵の中に隠された謎を解く物語です。そして1年ほど前に出した『変な家2』は、昨年、日本で最も売れた本になりました」と挨拶。英語でスピーチを行った。
「私の本には変わった特徴があります。私の本を買ってくれる人の多くは、若い読者なのです。小学生といった子供の読者もいます。日本の出版業界の人たちは、その事実に驚いています」
『変な絵』をはじめ、その著作が多くの若者たちに受け入れられている理由について、自身の考えを述べた。
「ひとつ目は『読みやすさ』です。私は複雑なトリックやストーリーのポイントを説明するために、よく図を使っています。マンガに少し近くなるため、若者は読みやすいと感じるのかもしれません。私は『コミック風小説』『マンガ風小説』と呼んでいます。私の本を通して、日本の若い人たちに小説を読む楽しさを知ってもらいたい。そして将来、もっと難しい小説を読むことに挑戦する勇気を持ってほしい。それが私の願いです」
また、日本の若者の間でホラーがブームとなっていることも大きな理由の一つとして挙げる。
「しかし、怖いお化けや恐ろしい怪物が登場するような伝統的なホラースタイルは人気がありません。今、多くの日本人は、静かで不気味な、不安な気持ちにさせる物語が好きみたいです。そして、そのような不安な物語こそ、私が書いているものです。これが、私の本が若い読者に人気がある最大の理由かもしれません」
ちょっと異様な見た目に関する質問も…「意外と子供に人気」
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「今の世界は、日本も含めて、悲しいことばかりで大変な時代です。もしかしたら、若い人たちや子供たちは、そのような不安な空気を感じ取り、このような不安な物語に目を向けているのかもしれません。とても悲しいことです。すべての子供たちが何も心配することなく成長できればいいのですが、私にはそれを実現する力はありません。だから代わりに、私は良い物語を書いて若い人たちに楽しんでもらいたい」と、スピーチを締め括った雨穴氏。
その後の質疑応答では、覆面作家として現在のビジュアルで活動することになった理由に関する質問があり、次のように語っていた。
「私の見た目はだいぶ怖いだろうと思います。ただ、けっこう日本人の子どもたちが私のコスプレをしたり、イラストを描いたり、このビジュアルをすごく気に入ってくれておりまして。第一印象はすごく怖いと思うんですが、慣れると意外と親しんでもらえるのかなと楽観的に思っています」
また、「自分の見た目が本の内容や作風と少し乖離していることは、私も以前からちょっと気になっていまして、もう少し真面目な格好をしたほうがいいんじゃないかと思ったこともあります。しかし、出版社の方から『変な絵』の文庫本の帯に私の写真を使って以降、『なぜか売り上げが伸びた』と言われ、『だったら、まあ、いいのかなぁ……』と思った次第です」とも述べ、会場の笑いを誘った。
さらに、インスピレーションを受けている国内外の作品や作家については、「海外の作品もとても好きで、先日も小説『ザリガニの鳴くところ』を読ませていただき、すごくおもしろかったです。いろんな方の小説から影響を受けていますが、やはり自分のクリエイティブの基礎になっているのは江戸川乱歩で、昔から彼の作品をよく読んできました」と回答。
今後、挑戦したいことについては「いつか遊園地のお化け屋敷をつくってみたい」とコメントしていた。
(取材・文=伊藤綾)
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