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大河ドラマ『べらぼう』で“鬼平”長谷川平蔵も沼った吉原の独特ルール

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『べらぼう』の主人公・蔦重を演じる横浜流星(写真:Getty Imagesより)

 NHK大河ドラマ『べらぼう~蔦重栄華乃夢噺~』が話題を呼んでいる。

 1月12日に放送された第2話の平均世帯視聴率は12.0%(ビデオリサーチ調べ、関東地区)と第1話から0.6ポイント下がったものの、第1話のNHKプラスでの見逃し配信視聴数は72.8万UB(ユニーク・ブラウザ)を記録。

 同サービス内で配信された全ドラマの中で歴代最多となるなど、注目度の高さを裏付ける結果となった。

 主演を務める俳優・横浜流星をはじめ、渡辺謙や安田顕といった豪華キャスト陣による演技が注目される中、視聴者の間では吉原の描写と遊郭文化が関心を集めている。

 第2話では、蔦重(横浜)が吉原の案内本「吉原細見」を利用して人々を呼び寄せる策を思いつく一方、人気時代劇ドラマシリーズでおなじみの“鬼平”こと長谷川平蔵宣以(中村隼人)の若き頃の無邪気な姿も描かれた。

 とりわけ話題を呼んだのが、小芝風花扮する吉原の花魁・花の井に平蔵が熱を上げるシーンだ。

 テレビ誌ライターはこう振り返る。

「“吉原ルール”として、蔦重から初顔合わせでは花魁と会話もできないとの説明を受けていた平蔵ですが、花の井の気を引こうと紙花(チップ)を豪快にばらまいていました。その額は、現代で1枚2万円相当だと紹介されていましたが、100枚はあったように見えたので200万円は散財していたはず。平蔵の父親は400石(1石=約10万円とされる)の旗本とはいえ、そこまでの大金持ちというわけではないですから、かなりのやせ我慢だったことでしょう(笑)」

 そのコミカルな様子がSNS上では「ポンコツ長谷川」、「カモ平」などと話題になっているが、このシーンは単なるエンターテインメントとして楽しめるだけでなく、江戸時代の遊郭文化を深く理解するキッカケにもなるという。

 歴史に詳しいサブカルライターが解説する。

「吉原の遊郭は単なる歓楽街ではなく、独特のルールと文化が存在していました。大金を積めばいいというものでもなく、むしろ遊女との時間を楽しむためには、スマートで余裕のある『通人(つうじん)』でなければならない。吉原の高級遊女とお近づきになるには『引手茶屋で遊女を指名』、『遊女が花魁道中で客を迎える』、『遊女の部屋で会話や酒宴を楽しむ』といったことを繰り返し、ようやく3回目で枕をともにすることができるというシステム。初回でフラれることも珍しくなく、高級遊女との一晩にかかる費用は現代換算で300~500万円と言われ、さらに3回通うとなると相当な財力が求められます」

 現代ならボッタクリだと揉めごとにもなりそうだが、この慣習は平安文化に倣った“疑似結婚”の要素が強かったことが背景にあるとか。

 また、遊女となじみになった場合は浮気が許されないルールがあり、これを破れば詫び料を払うか、なじみの遊女から出入り禁止を言い渡されるというから、現代にもどこか通じるところがありそうだ。

 現代の“夜の社交場”事情に詳しい芸能ジャーナリストの竹下光氏はこう話す。

「銀座の高級クラブなんかでは自分の席に着いたキャストの女性を気に入り、一度指名すると、そのキャストが店を辞めるまで他のキャストに指名替えはできない『永久指名制度』を導入している店も多いですからね。また、芸能人や著名人が数多く通う人気店では1回に200万円以上を散財して豪遊する客もザラにいますし。かつて銀座のクラブに毎晩のように通い、芸能界でも“夜の帝王”として名を馳せていた人気司会者のみのもんたさんは、テレビ局のスタッフや共演者などを引き連れてクラブをはしごし、一晩で1000万円以上を使ったことも。30代の銀座のホステスに長年尽くしてくれたお礼として販売価格1億5000万円の億ションをプレゼントしたなんて一部報道もあり、当時はかなり耳目を集めましたね」

 吉原での平蔵の振る舞いを通じて、江戸時代の遊郭文化を垣間見ることができるのも『べらぼう』の楽しみ方の一つと言えそうだ。

(取材・文=サイゾーオンライン編集部)

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最終更新:2025/01/22 12:00