高校野球界の“黒船”と実業家にとっての“ビジネスチャンス”になり得る甲子園初出場を決めたスポーツ校
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3月18日から甲子園球場で開催される「第97回センバツ高校野球大会」の出場32校を決める選考委員会が24日、大阪市内で開かれ、沖縄のエナジックスポーツが春夏通じて初の甲子園出場を決めた。
同校は通信制のみで21年に開校し、24年4月から全日制もスタートした名護市にある高校。野球部は22年に創部され、08年に浦添商で4強入り、14年選抜では美里工を甲子園に導いた神谷嘉宗監督が率いる。
選手の自立と積極性を引き出す「ノーサイン野球」を掲げ、昨夏の沖縄大会では準優勝、新チームは九州大会でも準優勝を飾った実績が評価されて選出された。
「今年1月現在の全校生徒数は68人(全日61人、通信7人)。そのうち、野球部の部員数(1、2年生)は39人。現在、野球部とゴルフ部があり、ゴルフコースや野球の室内練習場などの設備を備え、トップアスリートの育成に尽力。また、2025年度から新たに駅伝部、ボウリング部、卓球部ができる予定で、スポーツエリート校として、さらなる強化が進むことになる。授業は午前中に朝学習(英語)や普通科目を学び、午後からは体育や部活動に当てているというから、育成環境は整っている。今後も、続々と将来有望なアスリートの卵が進学することになるだろう」(スポーツ紙デスク)
組み合わせ次第では、優勝候補の健大高崎、横浜ら、高校野球ファンにはおなじみの名門校と対戦し、思わぬ番狂わせを起こす可能性も期待され、その場合、甲子園に旋風を巻き起こすことになりそうだが、関係者の間では「高校野球界にとって、とんでもない黒船になる」という声も聞こえているという。
「長い高校野球の歴史で、中学時代まではプロ入りできるぐらいの逸材だったにもかかわらず、名門校に入学後、先輩のシゴキ、いじめ、寮生活の独特のルールなどになじめずに野球を辞めてしまった選手の例は枚挙にいとまがない。その観点からすると、エナジックは部員が少人数ということもあるが、独特のカラーで既存の名門野球部という雰囲気ではなく、神谷監督も選手の個性を伸ばす指導法で知られている。これに魅力を感じる中学生球児は多いのではないか」(同)
名だたる名門校でさえ、なかなかプロ野球のドラフトで指名される選手が出ない中、同校は昨年のドラフトで龍山暖捕手が西武に支配下の6位指名された。
すでに、野球のみならず、高校スポーツ界における“勝ち組”の道を着実に歩んでいる同校だが、企業や実業家にとってもこれ以上ないビジネスチャンスだという。
「もし、東北、北信越、中部、中国などの県予選への出場校が少なく、強豪私立高校の少ない県にエナジックと同じような最先端のトレーニング施設を備えたスポーツ校を作れば、その高校に他地域から有望なアスリートが集まり、数年で結果を出せることができる。これはエナジックが証明済みです。たとえ地元出身の選手が1人もいなくても、甲子園で勝って名をとどろかせれば、その地域の復興にもつながるはずでしょう。堀江貴文さんのような有名な実業家や、これから学校経営に乗り出したい企業がエナジックと同じような学校経営に名乗りを上げてくるのではないでしょうか」(経済誌記者)
エナジックの甲子園での戦いぶりは、多方面から注目を集めそうだ。
(取材・文=CYZO sports)