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テレビ朝日、年末まで毎日「豪華SP」の裏にある懐事情、そして皮算用

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テレビ朝日(写真:サイゾー)

 年末年始、地上テレビではさまざまなスペシャル番組が企画されるのが通例だが、30日間連続でスペシャル番組を編成するという大胆な編成に打って出たのがテレビ朝日だ。12月2日から31日までの30日間にわたり、『テレ朝年末30日連続スペシャル祭り!!』と銘打って、毎日豪華スペシャル番組を放送する。

『スペシャル祭り』にはレギュラー番組のSP版のほか、ドラマ『ドクターX ~外科医・大門未知子~ スペシャル』の特別編、年始恒例の『とんねるずのスポーツ王は俺だ!!』の25周年特番、さらには『M-1グランプリ2024』、『ミュージックステーション SUPER LIVE 2024』など、ゴージャス感あふれる編成だが、制作費が削減されるなかでの「苦肉の策」だとも囁かれる。

 ただでさえ、最近は平常時に「SP版」が放送される回数が増えている。代表的な例がフジ『芸能人が本気で考えた!ドッキリGP』と『新しいカギ』だ。本来、毎週土曜日19時~20時が『ドッキリGP』、20時~21時が『新しいカギ』だが、毎週土曜19時~21時の2時間枠でそれぞれのSP版を隔週で放送することが増えている。

 SP版が増える背景にあるのは、第一に「視聴率」だという。元テレビ朝日プロデューサーの鎮目博道氏が、昨今の番組制作事情に言及する。

「最近、どんな番組をつくっても“視聴率を持っている”ものが出てこなくなっています。そういうなかで、まだSP版のほうが“特別感”があり、ザッピング防止にもつながるので視聴率をとることができる。さらには特別感があるので、スポンサーに枠を売りやすいという局側のメリットもあります」

 ただし鎮目氏は、「特番はクリスマスぐらいから始めるのが通例。月初からというのは聞いたことがない」と続ける。

番組制作側のSP版のメリット

 年末のSP版は、いかにも一年の振り返りという雰囲気だが、別の都合もあると鎮目氏は指摘する。

「年末は仕事納めで、取り上げるニュースが激減します。家にいてテレビを見る人も増えるので、ニュース番組を特番で埋めるようになるんです。とはいえ、昨今潤沢に制作費をかけた番組はつくれないので、日頃やっている番組を引き伸ばす形にするか、昔の人気番組の復活として、特別感を出しつつ新しい企画が特にいらない内容で構成する。SPといえば、この2つのどちらかの制作方法が多いです」

 鎮目氏によれば、SP版は「番組制作側だけの都合なら、メリットが多い」のだという。

「仮に1時間番組が2時間のSP版になったからといって手間も制作費も倍には増えません。放送回数が少なくなるので、スタッフも少し休めます。いつもより長い放送時間が確保できるので、普段放送しきれなかったものやボツになったものなど、“リユース”ができるというメリットもあります」

 もちろん、SP版だからこそできることはあるだろう。しかし、いかにも引き伸ばしたような“薄味”のつくりになるケースがあるのは否めない。さらにいうなれば、局からそもそもの視聴者が離れてしまう可能性もある。

「SP番組が放送されるということは、何らかのレギュラー番組が犠牲になっているので、多用すると視聴習慣を潰し、視聴者が離れてしまう危険性があります。取り組みとしてはチャレンジングでユニークだと思いますが、SP番組の質を上げないと、視聴者が戻ってこなくなるリスクもあると思います」(同前)

『テレ朝年末30日連続スペシャル祭り!!』とは、たしかに豪華さをアピールするものだが、その実情は必ずしも豪華ではない。コスパを求めざるを得ない現在の民放各局を取り巻くさまざまな状況のなかで編み出された、空虚なお祭りで終わらないといいが……。

(取材・文=サイゾーオンライン編集部)

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最終更新:2024/12/20 22:00