河崎実最新作『サイボーグ一心太助』は「ちゃんと面白い」!? 主演・小松準弥を直撃
鬼才・河崎実監督の最新作は『サイボーグ一心太助』。時代劇の人気者である一心太助が現代に蘇り、サイボーグとなって人々を救うのだという。しかもこの作品は愛知県・幸田町の商工会が制作したご当地映画なのだそうだ。なんだか、いろいろ情報が渋滞している気がしないでもないが、大丈夫なのか。
主人公の一心太助を演じた俳優・小松準弥に話を聞いた。
──『サイボーグ一心太助』、拝見しました。
小松 ありがとうございます。
──こういう言い方は語弊があるんですが、ちゃんと面白くてびっくりしたというか。
小松 あははは。すみません、今回みなさんが「ちゃんと面白くて」っていう入りから来てくださるんです。スタッフさんの方々も、みんな言っていたんですよ。「今回、ちゃんと面白いんだ」って。河崎監督っぽさもあるし面白い、町の良さも詰め込まれていて、って口をそろえてくださるので、いろんな観点からすごくいい作品になっているんじゃないかと思います。
──小松さん自身もすごく楽しそうに演じているように見えました。
小松 もう、めちゃくちゃ楽しかったです。明るくてエネルギッシュで、その元気な姿から周りにいい影響を与えていくっていうところがすごく魅力的だと思っていて。僕自身も、映画を見てくださる方だったり、ご一緒にお仕事をして関わってくださった方々に幸せでいてほしいなっていう気持ちがあるので、そういうところはリンクしているのかもしれないです。
──今回の役はオファーだそうですが、理由は聞かれましたか?
小松 一心太助は誰だと監督が考えたときに、やっぱり仮面ライダーかウルトラマンをやっている人がいいということだったそうです。そこから、爽やかな印象がピッタリだということで話をくださったと。僕も仮面ライダーをやらせていただいていたというのもあって、また特撮に携わることができることがすごくうれしかったです。
──脚本を読んで、どんなことを心掛けて演じようと思いましたか?
小松 一心太助については今回お話をいただいてから勉強したんですが、僕と同世代や下の世代はあまり馴染みがないと思うんです。江戸っ子が現代のAIや最新技術が発展してきている中で生きていたら、どうなってるんだろうと。今はハラスメントだったりコンプラだったり、いろいろなことに気を使いながら生きているわけですが、そういうある意味で息苦しい中に江戸っ子節の一心太助が現れて「構わん構わん、みんな助けてやるよ」と、みんなの笑顔のために突き進んでいく、その気持ちって今の時代だからこそ大事にしなきゃいけないことだというのも脚本を読んで感じたので、その今の時代とはちょっと合わない部分に説得力を持たせたいという気持ちはありました。
撮影は「運動会」だった
──現場に入ってからの河崎監督の印象は?
小松 事前にスタッフさんとお話する時間があったんですが、そのときに「河崎監督は撮るのがめちゃくちゃ早いからがんばってね」と言われたんです。僕は映像の経験が舞台に比べたら多くないので、早さに気付けないまま終わっちゃうんじゃないかと思っていたんですが、ちゃんと早かったです。10日から2週間くらいの撮影期間で、僕が体調を崩して3日間抜けてしまったんですね。それなのに、スケジュール通り終わったんです。ホントに早いんだって。
──以前、河崎監督は「僕の撮影は運動会だ」って言ってました。
小松 確かに、運動会みたいでしたね。それと、この監督のスピーディに撮っていく姿だったりとか、勢いっていうのが一心太助っぽいなと思ったんです。監督に一心太助の空間を作ってもらったと思っています。
──確かに一心太助っぽいかもしれないですね。ずっと笑ってるし。
小松 ずっと笑ってます。だからヒリつきもないし。
──今回は幸田町の町おこし映画ということですが、実際に滞在した一心太助の立場から町のアピールをしてください。何がおいしいとか、ここが素晴らしいとか。
小松 この質問難しいんですよ、全部素敵だったので。パンフレットにロケ地マップがあって聖地巡礼できるんですけど、行ったところが全部上がってて、本当に全部よかった。
──何かひとつというと。
小松 そうですね、ごはんでいうと、居酒屋シーンの居酒屋はうどん屋さんなんですが、ここのうどんがめちゃくちゃ美味しかったです。またプライベートでも行きたいと思ってます。天の丸ホテルさんの景色も普通に感動しましたし、いったん行ってみてほしいです。何より、町の温かさと活気ある雰囲気がすごくよかったですよ。
悪い人を演じてみたい
──今後、目指すキャリアは。
小松 舞台のお仕事は続けていきたいと思っていますし、映像でいえばドラマとか。ずっと思っていることがあって、僕は宮城県の石巻出身なんですが、舞台だと東京なんかに足を運ばなきゃいけないじゃないですか。それはそれで良さがあるんですけど、親戚や地元の友達がなかなか見に来られないというのがあって。ですので、どこにいてもテレビをつけてたら僕が仕事をしている姿を見ることができるドラマ出演も目指したいです。
──例えば火曜22時でメインを張るとして、どんな役を見せたいですか?
小松 うーん。悪い人を演じてみたいです。今はそれこそ太助もそうですし、ヒーローだったり心の優しいキャラクターを演じさせていただく機会が多いので、優しい心を持っていない役をやってみたいですね。普段の僕と違うキャラクターを演じることで、地元のみんなに俳優として元気に過ごしてるんだなと思ってもらえたら嬉しいですね。
(取材・文・写真=新越谷ノリヲ)
●小松準弥(こまつ・じゅんや)
1993年12月23日生まれ、宮城県出身。2013年、FINEBOYS専属モデルオーディションにてグランプリを受賞。舞台を中心に活躍したのち、2021年に『仮面ライダーリバイス』門田ヒロミ/仮面ライダーデモンズ役でドラマ初出演。
●『サイボーグ一心太助』
https://cyborgtasuke.com/
監督:河崎実
出演:小松準弥、西川俊介、中川知香、ぶっちゃあ、大川豊、佐野光洋、堀内正美ほか
2024年製作/71分/G/日本
配給:エクストリーム
2025年1月24日全国ロードショー