見上愛、演劇少女が朝ドラヒロイン抜擢で国民的女優へ? 業界評価の高さを解説
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女優の見上愛が、2026年度前期のNHK朝の連続テレビ小説『風、薫る』のダブルヒロインの1人を務めることが発表された。以前から「ネクストブレイク有力候補」に数えられていたが、今作で本格ブレイクしそうな気配だ。国民的女優に大化けする可能性も秘めており、注目すべき彼女の評価や魅力について芸能記者が解説する。
見上は過去に何度も朝ドラヒロインのオーディションを受けていたが、いいところまで食い込むものの、なかなかヒロインの座を射止めることができなかった。近年の朝ドラは、橋本環奈や今田美桜らすでに売れっ子となっている女優が起用されるケースが目立つが、見上は昨年の大河ドラマ『光る君へ』で「彰子さま」こと藤原彰子を好演したことが評価され、朝ドラのヒロイン役をオファーされたかたちだ。
今作は文明開化が急速に進む明治時代を舞台に、女性の職業がまだ確立されていなかった当時としては珍しい、西洋式の看護学を学んだ「トレインドナース(正規の訓練を受けた看護師)」として活躍した二人の女性の姿を描くバディドラマ。見上はその一人を演じることになる。
「小松菜奈フォロワー」のイメージから一変
以前から見上は業界内で「ネクストブレイク確実」と騒がれていた逸材だった。JRAのCMに長澤まさみらと共に起用されたことでお茶の間での知名度も上昇し、放送中のフジテレビ系ドラマ『119エマージェンシーコール』で月9初出演も果たした。
まさにブレイクの予感がビンビンといった感じだが、彼女に対する印象や評価について、豊富な業界知識を持つ芸能記者はこのように語る。
「デビュー当時は見た目の雰囲気が小松菜奈に似ていたことから、彼女に憧れて女優になった一人という印象が世間的に強かった。だが、映画やドラマの出演が増え、それに伴ってインタビューやSNSなどで発言の機会が増えると、この世界に入った経緯が浮ついた理由ではないことが分かった。高校時代は演劇部で、演出家を目指して日本大学芸術学部演劇学科に通い、演出の勉強の一環で自分でも演技をやってみようとワタナベエンターテインメントの養成所に通い始め、そのときに事務所から声をかけられてデビューにつながっている。
演劇部時代は寺山修司、別役実、野田秀樹などの演劇に触れ、とくに寺山修司の作品をこよなく愛する根っからの演劇好き。それは芝居にも活かされており、感覚だけではなく理論的に役作りに臨んでいる。出演映画も熊切和嘉監督の『658km、陽子の旅』や松居大悟監督の『不死身ラヴァーズ』など、映画ファンから信頼の厚い監督の作品に数多く出ているところに、俳優としてのこだわりを感じます」
現場ウケよく、NHKドラマとの相性も抜群
見上の今後やブレイクの可能性について、前出の記者はこう展望する。
「普段から笑顔を絶やさないムードメーカーで、誰に対してもフレンドリー。スタッフも共演者も口をそろえて見上の愛すべきキャラクターを称賛しています。その一方、ストイックな役との向き合い方も高く評価されている。前述したとおり、芸術性の高い作品に出演しているが、そこに固執するのではなく、恋愛ドラマや話題性の高いドラマにも積極的に出演しており、そのかいあって着実に知名度が高まっています。
NHKドラマとの相性も良く、注目を浴びるきっかけとなった『きれいのくに』(2021年)は、レギュラードラマで初めてメイン級のキャストを務めた作品で、自身でも女優として転機になったと語っている。昨年出演した大河ドラマ『光る君へ』で演じた藤原彰子も熱演、名演との呼び声が高かった。CMで見せる屈託のない表情は老若男女から愛される魅力にあふれており、朝ドラヒロインに抜擢された『風、薫る』では、さらなる飛躍が期待できるでしょう」
演劇少女が女優としてデビューし、朝ドラでブレイクして国民的女優の座へと駆け上っていく、映画のようなシンデレラストーリーが期待できそうだ。
(文=佐藤勇馬)