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山口組分裂問題の鍵を握る男「武闘派で外交巧者」安東美樹組長とは?

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2017年に山口組総本部で開催された餅つき大会での二代目竹中組・安東美樹組長(写真中央)

 日本最大ヤクザ組織、山口組の歴史の中で最大の抗争事件といえば、山口組と一和会の間で起きた「山一抗争」だ。この抗争では、四代目山口組の竹中正久組長とナンバー2の若頭である中山勝正・初代豪友会会長が一和会が放った凶弾に倒れるという衝撃的な事件が発生。親分と若頭を同時に失った四代目山口組の報復はその後、熾烈を極めた。

五代目山健組組長が下した決断

 この抗争において、その名を轟かせた一人が、当時は竹中組幹部組員であった安東美樹・現二代目竹中組組長である。安東組長は、捜査当局が警戒を強めていた一和会トップ・山本広会長邸を、配下の組員らとともに襲撃する事件を起こしたのだ。

「安東組長は、その事件を受けて服役しましたが、刑務所内で、竹中親分を襲撃した犯人の1人に殴りかかったことは、今でも語り草になっています。出所後に六代目山口組の直参(二次団体)である三代目一心会の副会長、若頭代行を歴任し、一心会の会長と若頭が共に社会不在を余儀なくさせられた時には、六代目山口組定例会に代理出席していました。その時点ですでに山一抗争の功労者として一目置かれていた存在だったと聞いたこともあります。その後、同じ竹中組出身で直参に昇格していた柴田会に移籍し、二代目柴田会の会長に就任したのち、竹中組の名称を復活させ、二代目を襲名したことで業界内でも話題になりました」(ヤクザ事情に詳しいジャーナリスト)

 その後、六代目山口組の幹部に昇格すると、瞬く間に執行部入りを果たす。六代目山口組分裂問題発生後は、神戸山口組との抗争においても、二代目竹中組は強硬な姿勢を色濃く示し、激しい活動を展開した。兵庫県尼崎市で神戸山口組幹部が自動小銃で撃ち殺され、世間を震撼させた事件でも、実行犯が元二代目竹中組系組員だったことが注目を集めた。

「六代目山口組から離脱した直参組長が初めて殺害された事件で、実行犯はこの幹部を射殺後、ある神戸山口組二次団体の本拠地がある京都に向かっていたところを逮捕されている。つまり、立て続けに別の幹部を狙おうとしていたともいわれ、逮捕されていなかければ、さらなる被害が生まれていた可能性は非常に高かった。それが影響してか、この時に狙われていたといわれる神戸山口組幹部は、その後、神戸山口組から離脱し、渡世の世界から足を洗っている。初代から続く、武闘派としてのDNAを、二代目竹中組が受け継いでいるということだろう」(業界関係者)

 また安東組長は武闘派としての側面だけでなく、外交手腕にも長けており、独立組織のトップと兄弟分の盃を交わすなど、組織の枠を超えて、業界内で影響力を高めているとされる。

「現在も、二代目竹中組は本拠地のある兵庫県姫路市だけでなく、関東にまで勢力を伸ばし、組織力を拡大させている。神戸山口組との抗争がすでに決着がついていると言われる中、今後はどのような形で最終的な幕引きがなされるのかが焦点となっています。実力者ぞろいの六代目山口組最高幹部の中で、安東組長も分裂問題解消のキーマンの一人であることは間違いありません。今後も六代目山口組発展のために尽力していくのではないでしょうか」(前出の業界関係者)

 ヤクザ人口が減少していく中で、勢力を拡大させ続ける二代目竹中組は、稀有な存在といえる。そこには、安東組長のヤクザとしてのこれまでの実績と人柄が影響しているとみられる。

 六代目山口組分裂問題の幕引きに向け、どのような展開が用意されているのだろうか。その中で、名門組織を率いる安東美樹組長の動向には、常に注目が集まっている。

(文=山口組問題特別取材班)

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山口組問題特別取材班

ヤクザ業界をフィールドとする作家、ライターおよび編集者による取材チーム。2015年結成。同年に勃発した六代目山口組分裂騒動以降、同問題を長期的に取材してきた。テレビや新聞などでは扱いにくいヤクザ組織の内部情報にも精通。共著に 『相剋 山口組分裂・激動の365日』がある。

山口組問題特別取材班
最終更新:2025/03/08 12:00