出戻り交渉も辞さず…元楽天イーグルス・田中将大に求められる「脱プライド」
先月、楽天を退団して自由契約となった田中将大の去就が宙に浮いてしまっている。
今シーズン1軍登板を1試合だけで終わってしまった田中は、オフに入ってから水面下で球団側と来シーズンの契約交渉を行ってきた。
「ところが球団側からは色よい返事がなかなかもらえなかったそうです。退団発表直後の会見で田中は、球団との交渉をわざわざ“実質”1回と発言していますが、実は3回もやっていました。それでもレジェンドとして評価されていないと感じて腹を立てたのか、他球団と交渉可能な自由契約を申し出たといいます」(球団関係者)
しかし田中の思惑は次々と外れてしまった。
「本人サイドとしては中日、DeNA、ヤクルトあたりのセ・リーグ球団が獲得に名乗りを上げてくれると高を括っていたのです。ところがいざ蓋を開けるとヤクルトは撤退、DeNAからは獲得の声が聞かれず。中日も井上一樹監督が獲得の可能性をマスコミに聞かれるも『薄い……』と後ろ向きに語っていた。もはや『現役ドラフトにでもかけてもらった方が行先を見つけられたのではないか?』と楽天関係者からブラックジョークが飛び出すほど移籍は難航しています」(同前)
一応楽天側は自由契約後も“出戻り”の形で、田中と交渉する意思があることを石井一久シニアディレクターは認めている。
「ですがそんなことをしたらそれこそ足元を見られる契約内容になってしまう。華やかな経歴を誇るプライドが高い田中からすれば、屈辱に他ならない、絶対に回避するでしょうね」(球団OB)
そこで一部関係者の間で囁かれているウルトラCの契約方法がある。テストを受けて育成もしくは1軍最低年俸で契約を結んでしまうパターンだ。
「かつてはオリックスとケンカ別れして四面楚歌だった中村紀洋が、翌年春に中日・落合博満監督が手を差し伸べてテスト入団、育成選手として3ケタの背番号で契約を結んだ。2軍戦で打ちまくって支配下登録されると、そのまま日本シリーズではMVPを獲得する活躍ぶりをみせました」(同前)
当時を知る番記者は次のように語る。
「ノリも田中以上にプライドの塊で『バット1本で俺は飯を食える』といって憚らなかったタイプ。それでも最後は落合監督に頭を下げて、初めてテストを受けさせてもらったのです。ただ問題は、落合氏のような全権を握った監督が、今球界にいるかどうか。阪神・藤川球児監督は来季の監督の顔ぶれの中で最もそれに近いのですが、1年目からいきなりギャンブルのような獲得をしに行くのか微妙です」
所属先が決まらないまま越年も覚悟しなければいけない田中。プライドを捨てることはできるのだろうか。
(取材・文=CYZO sports)