『ONE PIECE』フランキーの声優交代で気になる高齢化問題
人気アニメ『ONE PIECE』(フジテレビ系)の声優の交代が話題となっている。
同アニメは25年4月6日より放送時間が毎週日曜日の午後11時15分スタートに変更されることが発表されたが、それと同時に05年のアニメ初登場以来、約19年間にわたってフランキー役を演じてきた声優・矢尾一樹が勇退し、木村昴に交代することが告知された。
サブカル系ライターは明かす。
「放送時間の変更に関しては、アニメを観てそのまま月曜日発売の『週刊少年ジャンプ』(集英社)の原作も注目させようという狙いがあるのでしょう。本来なら日曜午前から深夜帯への変更はかなりリスキー。ただ、同枠は『鬼滅の刃』が放送されていたことで、アニメファンにはなじみがある放送時間帯なので視聴者もスムーズに移行していくのでは。その一方、木村さんは先日にニホンモニターが発表した2024年のタレント番組出演本数ランキング(関東)では458本で堂々7位に入るなど、声優のみならず、タレント、俳優、司会、ナレーター、ラッパーとマルチに活動し、今最も忙しいタレントの一人です。『ONE PIECE』も仕事に加わったことで、さらにランクアップしそうです」
1997年に同誌で連載が始まった『ONE PIECE』も、ついに最終章に突入。
原作は「エルバフ編」、アニメは「エッグヘッド編」で主人公のルフィ率いる麦わらの一味の冒険譚が描かれている。
「2019年に原作者の尾田栄一郎氏が『終盤』宣言をしたことから、インターネット上では“あと5年で終了説”が流れ、物語の完結が近いと思われていました。しかし、ストーリーはさらに深まりを見せていることから、完結まではまだまだかかりそうな雰囲気です」(前出のサブカル系ライター)
そんな中、フランキー役の声優交代でにわかに持ち上がっているのが、麦わらの一味の声優陣の高齢化問題だ。
ルフィを演じる田中真弓の69歳を筆頭に、ジンベエ役の宝亀克寿が78歳、ナミ役の岡村明美が55歳とベテラン人気声優が並ぶ。
今回、34歳の木村の加入でかなり引き下がったとはいえ、それでも一味の平均年齢は「アラ還」である。
「作中のルフィは19歳で、一度死んで蘇ったブルックを除けば、麦わらの一味の平均年齢は25.4歳。ルフィと田中さんの“年齢差”はじつに50歳で、それでもギャップをまったく感じさせないのですから、そのスキルには恐れ入ります」(同サブカルライター)
とはいえ、声優陣の高齢化はファンにとっても気になる問題だろう。
「『ドラえもん』(テレビ朝日系)は2005年に主要キャストが一気に交代しましたが、“違和感”がなくなるまでにはかなりの時間を要しました。今回の矢尾さんのケースは卒業セレモニーも用意されるなどファンとしても飲み込みやすかったと思いますが、それでも今さらルフィの声が田中さんから変わったら、さすがに視聴を離脱してしまう視聴者も出てきそうです」(アニメ誌編集者)
もっとも、アニメ事情にも詳しい芸能ジャーナリストの平田昇二氏はこう語る。
「声優陣の途中交代は長寿アニメ作品の宿命とも言えます。『ドラえもん』もそうですし、『ルパン三世』も有名ですよね。ルパン役に関しては“初代”の山田康雄さんの急逝を受けて、以前からルパンのモノマネを得意にしていた栗田貫一さんが95年公開の劇場映画『ルパン三世 くたばれ!ノストラダムス』から担当することになりました。当時は否定的な意見も一部ではありましたが、結果的には見事に後を引き継いでいます。また、次元大介役も50周年の節目に小林清志さんが高齢を理由に勇退。21年10月から放送された『PART6』から大塚明夫さんに継承されましたが、初回放送の第0話『EPISODE 0 ―時代―』での小林さんによる“最後の次元”と、第1話以降の大塚さんの“新たな次元”、どちらもファンの間では好意的に受け取られています。そもそも、最近では過去の名作アニメがリメイクされるケースも多く、その大半の作品では声優は以前に放送された時とは変わっているわけですが、それでも時代を超えて愛される作品もありますからね」
『ONE PIECE』の声優交代は人気アニメの証しと言えそうだ。
(取材・文=サイゾーオンライン編集部)