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大谷翔平の活躍は効果なし!? 世界の王貞治も懸念する「子どもたちの深刻な野球離れ」

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(写真:Getty Imagesより)

 ここ数年来、日本国内で大谷翔平ブームが続いている。

ドジャース・ロバーツ監督のNGワード

 投打二刀流でMLBを席巻してMVPを連続受賞するなど、その活躍ぶりは野球界における歴史的な偉業として称賛され、“大谷ビジネス”による経済効果は計り知れないものがある。

 出版業界にも精通する芸能ジャーナリストの平田昇二氏は語る。

「つい先日も出場が見込まれている3月18日、19日に東京ドームで開催されるドジャースとカブスの『MLB Tokyo Series by Guggenheim』の開幕カードのチケットが、販売開始から数秒で30万人待ち、800倍以上ものプレミアチケット化するなど、大谷選手はもはや野球界を超えた国民的なスターと言ってもいい存在です。芸能界の求心力が衰え、昔のようなカリスマ性を誇る人気芸能人や国民的アイドルが不在の中、近年の女性週刊誌などでは男性アイドルやK-POPアーティストの撮り下ろしやインタビューなどよりも、皇室やフィギュアスケーターの羽生結弦選手をはじめとした人気アスリートの特集企画の方が、読者人気が高かったりすることもしばしば。中でも大谷選手に関しては別格の扱いのようで、表紙にしただけで部数が伸びるケースも。大谷選手は、日本人選手が海を渡ったメジャーでホームラン王になり、さらに投手としてもエース級の活躍をし、日本代表チームを率いて世界一に導くなんて漫画でも描けないようなサクセスストーリーを実際に成し遂げているわけですからね。それでいてルックスも見るからに好青年といった風貌ということで『こんな息子が欲しい』、『こんな孫がいたら……』といった感じでとくに年配層からのウケが良く、結婚後もその人気は衰え知らずです」

 そんな大谷選手は、全国の小学校にグラブを寄贈するなど競技普及に向けた活動も展開して注目を集めているが、そんな希代のスターをもってしても日本の野球人口減少という現実を食い止めるには至っていないようだ。

 2024年度の統計によれば、学童軟式野球チームの数は15年間で4割減に。

 2010年度には1万4824チームあった全日本軟式野球連盟(JSBB)の登録チームは、ついに9000チームを切る8680チームにまで減少しているという。

 前年比の減少は19年連続にも及び、コロナ禍を経てそのスピードはむしろ加速している。

 その一方で、プロ野球の観客動員数は増加しており、特にパ・リーグは2024年度に過去最多を記録した。

 にもかかわらず、次世代を担う子どもたちの競技人口が激減していることは深刻な問題と言えよう。

「野球界は今、大きな岐路に立たされています。大谷選手の活躍で野球が再び注目されるかと思われましたが、実際には子どもたちの競技離れが進んでいるのが現実です。野球は確かに楽しいですが、今の子どもたちにとってはルールが複雑で、競技時間も長く、必要な道具も高価。そのハードルの高さが、サッカーやバスケットボールに流れてしまう要因の一つになっているのではないでしょうか」(スポーツライター)

 近年、小学生の「なりたい職業ランキング」でも野球選手の存在は希薄化している。

 学研教育総合研究所が発表した「小学生白書・中学生白書・高校生白書2024」によると、男子小学生のなりたい職業1位は「ネット配信者」で、2位は「サッカー選手」だった。

 また、男子中学生では1位が「エンジニア・プログラマー」で2位が「会社員」。

 野球選手は圏外となり、将来の夢としての地位も失いつつある。

 こうした状況に対し、世界のホームラン王の王貞治氏が立ち上がった。

 王氏は『BEYOND OH! PROJECT』を発足させ、新法人「球心会」を設立する準備を進めている。

 野球ができる環境整備、競技熱の向上、アジア市場の開拓、さらには資金調達などを含めた「未来に向けた骨太方針」を掲げるこのプロジェクトには、転職サイトを通じて開始20日間で2000人超の応募が殺到。

 各業界のエリート層が関心を寄せていることがうかがえる。

「これまで野球界は各団体が独自に普及活動を進めてきたが、結局はバラバラのままだった。王氏が『子どもたちに夢を与える大谷翔平選手のようなヒーローが生まれていく取り組みを、オール野球界として起こしていきたい』と語るように、今こそ統一的な戦略を持ち、野球の魅力を次世代に伝えることが求められています」(スポーツ紙記者)

 仕事などでも、何かと野球に例えたがる昭和オヤジは多いが、それがまったく通じなくなる日が来ないことを願うばかりだ。

中居氏引退で空いた野球キャラ

(取材・文=CYZO sports)

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最終更新:2025/03/14 22:00