『呪術廻戦』『推しの子』主題歌で世界が注目「羊文学」を米アニメイベントで直撃!

日本のコンテンツが海外で盛り上がりを見せている。“コスプレ”もそのひとつ。今ではコスプレの世界大会が開かれるほどで、伝統的な同人イベントから一歩進んだ、ビジネス革新のフロントランナーとして注目されているのだ。新規ファン獲得のため戦略的な市場展開を実践する日本のコスプレイヤーも現れるなど、同イベントはグローバル市場での協業や投資チャンスを生み出すプラットフォームとなっている。未来の成長分野への参入を検討する企業にとって、必見の現場だ。
スリーピースロックバンド「羊文学」が、2025年4月18~20日にアメリカ・シアトルで開催された「Sakura-Con 2025」にゲストとして出演した。
「Sakura-Con 2025」は、毎年4月に開催されるアニメコンベンション。アメリカ西海岸を代表するアニメの一大イベントとして知られ、毎年多くのファンが訪れる。
そんな同イベントでは、アニソンアーティストや声優、クリエイターが多くゲストで呼ばれる。2025年は「羊文学」が招待され、大型ステージでのライブパフォーマンスのほか、サイン会、ファンからの質問会を行った。
また「羊文学」は4月より北米ライブツアーを実施。4月10日にサンディエゴでのライブを皮切りに、ロサンゼルス、サンフランシスコ、ポートランドとアメリカ西海岸を巡った。そのツアーと同タイミングでの「Sakura-Con 2025」は今回のツアー最後のステージとなる。通常のライブツアーとは違う”アニメファン”のためのイベントだが、アニメ主題歌を複数手掛ける「羊文学」は非常に注目度が高く、そのステージを生で目撃しようと多くの人がつめかけた。
そんな「羊文学」のメディアインタビューに参加した。
「羊文学」海外進出のきっかけは?
今回、メディアインタビューに参加したのはメンバーから塩塚モエカと河西ゆりかの二人。「ギターと歌をしている塩塚モエカです」、「私はベースとコーラスをしています、(河西)ゆりかです」と自己紹介し、続けて「日本の東京のロックバンドで、スリーピースでロックでノイジーなサウンドと美しいサウンドをどっちも合わせて演奏しているようなバンドです」(モエカ)と羊文学の音楽について日本語で説明した。
国内でのツアーはお手の物だろうが、4月は北米ツアーで4都市をまわり、さらに「Sakura-Con」のステージと怒涛の海外スケジュールが組まれていたが、そんな海外公演については「今まで、結構、海外ツアーをまわってきたんですけど、アジアとかのほうがもっとハードだったので、今回は割とゆったりそれぞれの街を見ながらまわれた」(塩塚モエカ)と少し観光も楽しめた様子。一方で「(「Sakura-Con」開催中)近くで火事があって、ホテルのエレベーターが止まったので、20階から階段で降りたり、ロサンゼルスのホテルで、工事のために断水や電気がストップしたことも大変でした」(モエカ)と、アメリカでの苦労についても話した。
また当日のステージについての感想を聞くと「アニメコンベンションに出たのが初めてで、最初は自分たちのツアーと比べて、アニメの曲を楽しみにしている人が多いのかな、と思っていたんですけど、実際、演奏すると、私たちのアニメじゃない曲もすごくピュアに聴いてくれて、すごく楽しんでくれている様子がわかり、嬉しかった」(ゆりか)と、現地での反応を実感するコメントが飛び出した。
2024年にアジアツアー、2025年にアメリカツアーと精力的に海外で活動をする羊文学。海外に出るようになったきっかけとして、台湾のシンガーソングライター・LUCYを上げ、「LUCYといっしょに”OH HEY”という曲を作り、ライブで台北に行ったのが初めて。もともと海外でライブしたいねという話もしていたので、そこからいろいろ広がっていきました」(モエカ)とコメントした。
ちなみに「今後行ってみたい国や、その国にあるステージは?」という質問に対し、モエカは「ちょうどこちら(アメリカ)でやっていた『コーチェラ・フェスティバル』に、いつかすごく出てみたいなと思いながら、近くを通り過ぎました」と、アメリカ最大級の音楽フェスへの出演に興味を示した。また、スペイン・バルセロナで開催される音楽フェスティバル「プリマヴェーラ・サウンド」にも出演したいそうだ。
アニメ以外の海外音楽フェスを次なるステージとして見据えているようだ。
海外メディアの注目は「呪術廻戦」「【推しの子】」について

海外メディアからはアニメに関する質問が集中した。
アニメ『呪術廻戦 渋谷事変』のEDテーマにもなった「more than words」の作曲に関して質問をされた羊文学は、「すごく私たちの曲の中でも作るのか大変だった曲のひとつ。歌詞のインスピレーションは本当になかなか曲ができなくて」(モエカ)とのこと。その理由として「呪術廻戦は日本でもすごく人気のアニメだから、ちゃんとしたものを作らなきゃいけないっていうので、すごく難しくて、どうしようって悩んでた時に、友達とすごい励まし合った、作曲中に励まし合ったっていう時間があって、それに私はすごく元気付けられて、アニメと重ねて描いていきました」(同)と裏話を披露した。
また、アニメ『【推しの子】』第2期のエンディングテーマとなった「Burning」のインスピレーションについて聞かれると、モエカは、「(第2期は)キャラクターたちが舞台で劇を演じる展開で、舞台裏や演出がどう作られているのかといった“間”の部分も描かれていました。私自身も音楽活動をしながら悩むことが多く、作品の中でキャラクターたちが抱える葛藤と、自分の気持ちが重なったんです。そのときちょうど日本のライブのエンジニアをしてくれている佐々木さん(佐々木幸生)が、『Curveっていうパンドを聞いたほうがいいよ』とMVを送ってくださって、それでラウドなギターで始まる曲にしたいなと思って書きました」と、質問に答えていた。
また、YouTubeチャンネル「THE FIRST TAKE」で羊文学を知ったという海外メディアからは、その体験談について聞かれ、「当時、まだ企画が始まったばかりでした。一発取りで演奏すると説明をうけて、『できるかな』と心配になったことをすごく覚えてます」と思い出を語った。また最初に「あいまいでいいよ」を披露した際には、「すごく挑戦だった」そうで「こういう形の、レコーディングというかライブのような新しい形のものになってすごく面白くて。いい経験ができました」(ゆりか)とコメントした。
北米ライブツアーに加え、アニメコンベンションへの参加と多忙なスケジュールをこなした「羊文学」だが、インタビューからはその疲れを全く感じさせず楽しんでいる様子を感じ取ることができた。
今回は初めてのアニメコンベンションへの参加だったが、この参加を皮切りに今後海外で「羊文学」の活躍を見る機会が増えるだろう。非常に楽しみだ。
(文=DAI)