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『金ロー』を独自視点でチェック!【38】

トム・クルーズ主演『MI ローグ・ネイション』 同世代のデミ・ムーアも体を張って大復活!

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トム・クルーズとデミ・ムーア(写真:Getty Imagesより)

 シリーズ集大成作とも、最終作とも噂されるトム・クルーズ製作&主演作『ミッション:インポッシブル ファイナル・レコニング』の公開が、いよいよ始まりました。62歳になるトムは、北極海を潜ったり、複葉機に飛び移ったりと大忙しです。世界一危険な62歳と言っていいんじゃないでしょうか。生命保険にいくら掛けているのか、想像もつきません。

トム・クルーズ、「ヤバい奴」

 世界中のオジさんたちに生きる勇気を与えているトム・クルーズですが、そんな彼の代名詞となっている「ミッション:インポッシブル」(以下、『MI』)シリーズが、『金曜ロードショー』(日本テレビ系)で絶賛放映中です。5月23日(金)はシリーズ第5弾となった『ミッション:インポッシブル ローグ・ネイション』(2015年)が本編ノーカットでオンエアされます。

 IMFエージェントであるイーサン・ハントの超人的な活躍を描いた『ローグ・ネイション』の見どころを紹介します。併せて、トム・クルーズと同世代のハリウッドスターが主演した話題の新作ホラー映画についても触れたいと思います。

離陸する輸送機にしがみつく超絶スタント

 前作『ミッション:インポッシブル ゴースト・プロトコル』(2011年)では、ドバイの超高層ビルを駆け降りてみせたトム・クルーズ。このシーンが絶賛されたことに気をよくしたトムは、さらに危険なスタントに『ローグ・ネイション』で挑んでいます。それが映画の冒頭で離陸する輸送機に飛び乗り、素手で扉にしがみつくという超絶スタントです。

 時速400キロで飛ぶ輸送機にしがみつくシーンを撮るために、トムは何と8回もテイクを重ねたそうです。トム、完全にどうかしています。冒頭のシーンだけではありません。映画の中盤では、敵の極秘情報を入手するために決死の潜水スタントを披露しています。このシーンを撮るために、トムは米軍で特殊訓練を受け、6分間以上に及ぶフリーダイビングに成功しています。もはや人間の限界を超えています。

 CG合成で済ませれば簡単なシーンですが、トムは自分の体を張ることにこだわっています。CG全盛の時代にあらがうように映画をつくり続けるトムの姿に、多くのファンは魅了されているわけです。

イーサンのチーム編成がついに完成

 本作を撮ったのは、犯罪ミステリー『ユージュアル・サスペクツ』(1995年)の脚本家として知られるクリストファー・マッカリー監督です。ヒロインとなるのは、英国の諜報機関「MI6」のエージェントであるイルサ(レベッカ・ファーガソン)。トム・クルーズ演じるイーサンにとって、敵か味方か分からない謎多き女性です。ヒッチコック映画のように、二転三転するサスペンスフルな展開となっています。

 マッカリー監督とトムの相性は格別によかったようです。それまでは1作ごとに監督を変えていた「MI」シリーズですが、本作以降は最新作『ファイナル・レコニング』も含めてマッカリー監督が続投するようになりました。「MI」シリーズの完成形だと言えるでしょう。

 今回、イーサンに与えられたミッションは、犯罪組織「シンジケート」の壊滅です。ソロモン・レーン(ショーン・ハリス)がリーダーとなり、各国の諜報機関で行方不明や死亡扱いになっているエージェントたちを密かに集めたローグ・ネイション(ならずもの国家)を形成しています。世界秩序の崩壊を企む「シンジケート」の野望を阻止するために、イーサンは立ち向かいます。

 最新作『ファイナル・レコニング』をこれから観にいく上でのチェックポイントは、シリーズ第1作『ミッション:インポッシブル』(1996年)からイーサンを支えてきた凄腕ハッカーのルーサー(ヴィング・レイムス)のカムバックでしょう。ベンジー(サイモン・ペッグ)と同様、イーサンのピンチに駆けつける義理人情に厚いキャラを演じています。

 ルーサー、ベンジー、それにイルサ、それぞれのイーサンとの関係性をおさらいしておくと、『ミッション:インポッシブル デッドレコニング PART ONE』(2023年)とその続編『ファイナル・レコニング』がより楽しめると思います。

復活を遂げた、トムと同世代のハリウッドスター

 トム・クルーズと同世代のハリウッドスターの復活が話題になっています。日本でも公開が始まったホラーサスペンス『サブスタンス』に主演しているデミ・ムーアです。TVのエアロビ番組のホストを長年務めていた元人気女優が、年齢を理由に番組を降板させられ、違法の再生医療「サブスタンス」を使い、若さと人気を取り戻すというものです。若さや美しさが偏重されるルッキズム社会を、痛烈に風刺しています。

 恋愛映画『ゴースト ニューヨークの幻』(1990年)で人気だったデミ・ムーアが、テレビ局からお払い箱になってしまう主人公を「そこまでやるの!?」と驚くほどの怪演ぶりで演じています。怖いもの見たさで、劇場に足を運ぶ人が少なくないようです。
 
 トム・クルーズも、デミ・ムーアも、共に1962年生まれ。1980年代にYA(ヤング・アダルト)スターと呼ばれ、多くの青春映画に出演し、アイドル的な人気を博していました。トムは『トップガン』(1986年)、デミ・ムーアは『ゴースト』が大ヒットし、ハリウッドを代表するトップスターに輝きます。法廷ミステリー『ア・フュー・グッドメン』(1992年)では、共演も果たしています。

プライベートの切り売りもする人気俳優

 トムはキャリアを重ねていくにつれ、次第に「MI」シリーズを中心にアクション映画に比重を置くようになっていきます。世界共通言語であるアクションのほうが、より大きな興収が望めるからです。そのために、トムは徹底的にストイックな生活を送り、肉体を鍛え上げることに全力を注ぐようになっていきます。

 デミ・ムーアも体を張り続け、トップスターの座を守ってきました。『素顔のままで』(1996年)では、ヌードダンサーを演じるために豊胸手術を受けています。『G.I.ジェーン』(1997年)では丸刈りになって、女性の海兵隊員を熱演しました。敵役を演じた『チャーリーズ・エンジェル フルスロットル』(2003年)では全身の美容整形を受けたことが報じられています。

 ブルース・ウィリスとの離婚、年下のアーシュトン・カッチャーとの再婚と離婚、妊婦ヌードの公表など、プライベートの切り売りまでして話題づくりに努めたデミ・ムーアでしたが、近年はハリウッド大作からは姿を消した状態でした。40歳を過ぎた女優が、ハリウッドでサバイバルすることの難しさを痛感させます。

元YAスター同士の興収バトルはどーなる?

 そんなデミ・ムーアが、違法薬物にまで手を出して、懸命に芸能界で生き残ろうとする主人公を演じたことで、『サブスタンス』はリアリティーたっぷりなホラー映画になっています。人気スターとして一度でも脚光を味わうと、その快感から逃れることができないみたいです。人気スターが浴びるスポットライトやフラッシュのまぶしさに比例して、芸能界の闇もまた恐ろしく深くなるようです。

 ほんのちょっとしたミスでも命取りになるデススタントに挑み続けるトム・クルーズ。自分自身のキャリアを自虐的に演じ、身も心も丸裸になってホラーサスペンスに挑戦したデミ・ムーア。どっちもすごいです。

 所属事務所に守られ、人気タレントのポジションをキープしている日本の俳優は、ガチで体を張ってイメージの更新を続けるトム&デミを少しは見習ってほしいものです。

 トムが集大成的スタントに挑んだ『ファイナル・レコニング』に、デミ・ムーアの変身ぶりが話題の『サブスタンス』。元YAスター同士の主演作がぶつかる、興収バトルの行方も見ものです。

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文=映画ゾンビ・バブ

映画ゾンビ・バブ

映画ゾンビ・バブ(映画ウォッチャー)。映画館やレンタルビデオ店の処分DVDコーナーを徘徊する映画依存症のアンデッド。

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最終更新:2025/05/23 12:00