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NYで話題の「アイスクリーム・サンドイッチ」を求めて彷徨う

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ニューヨーク市内で筆者撮影

 ニューヨークは緯度が高く寒い地域なので、ニューヨーカーは夏の太陽をありがたがる。人々の夏の「ウキウキ感」は日本以上のものがあるが、毎年のように5月ぐらいから「この夏の注目グルメ」が会話の話題にのぼる。10年ほど前は水出しコーヒーに人気が集中、2年ほど前はフローズン・ヨーグルトの店に行列ができた。今年は何かというと「アイスクリーム・サンドイッチ」のようだ。特に大手スーパーのコストコで販売される商品がインターネット上で注目され、入荷するとすぐに売れ切れてしまう状況が続いている。

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「コストコで販売再開」甘党歓喜も……

 「完売必至のあの商品が再び登場」「カルト的な人気のアイスクリーム・サンドイッチの新フレーバー」ーー。

 グルメ系ネットニュースサイトをにぎわしているのは「ナイチンゲール・アイスクリーム・サンドイッチ」だ。アイスクリームをクッキーではさんだ冷菓子で、昨年、バニラアイスクリームを2枚のチョコチップクッキーではさんだ商品が人気を博した。甘党を大興奮させながらも、いつのまにかコストコの棚から姿を消していた。

 その「アイスクリーム・サンドイッチ」の販売が再開された。今年はストロベリーアイスクリームをブランシュガークッキーではさんだ商品として売り場に並び、甘党を歓喜させた。

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今年の「夏の味」として注目されるストロベリー味の「アイスクリーム・サンドイッチ」/筆者撮影

 ソーシャルメディアで手に入れたことを喜ぶ声が続々と伝えられると、グルメ系メディアの中でも格調が高いことで知られる「フード・アンド・ワイン」にも取り上げられた。じわじわとニューヨークで評判が広がっている。

 ブームの走りというところが、気をそそられる。まずは味わってみようとコストコに向かった。ニューヨークのクイーンズの店で冷凍食品売り場をくまなく探したが、どこにも見当たらなかった。

 翌日、満を持してマンハッタンのイーストハーレムの店に向かった。しかし、ここにも、「ナイチンゲール・アイスクリーム・サンドイッチ」の姿は陰も形もなかった。今年も入荷するとすぐに完売しているようだ。店員に聞くと「もっと大規模な店に行ったらどうか」と言われたが、遠いので二の足を踏んだ。

 コストコは会員制のスーパーなので、商品を購入するには会員にならなければならない。米国でコストコに入会するには130ドルかかる。日本円で1万8000円以上にもなるので、商品が見つかる前に会員になるわけにはいかない。今回はコストコ会員の知人と一緒に入場したが、何度も知人を付き合わせる訳にもいかない。さて、どうしたものか。「ナイチンゲール」をスマホで検索すると、商品を販売している店の場所を記した全国地図が掲載されていた。

スーパー断念したら3店目で発見 ずらり8種類

 これによると、コストコ以外にも高級食品スーパーのホールフーズでも販売していた。ホールフーズならニューヨーク市内にいくつもある。しらみつぶしにあたってみることにした。

 ところが、これまたどこの店にも「ナイチンゲール」はない。マンハッタンを北から南に向かって探したが、ユニオンスクエアがある14thストリートのホールフーズをチェックしたところで、方針を変更することにした。

 地図には、スーパーではない「デリ」と呼ばれる小規模な食品店にも卸していることが表示されていた。大手スーパーに見切りをつけて、小規模店を探すことにした。

 これが当たった。方針を変更して3店目で「ナイチンゲール・アイスクリーム・サンドイッチ」を目にすることができた。

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小規模店の冷凍庫に並ぶ8種類の「ナイチンゲール・アイスクリーム・サンドイッチ」/筆者撮影

 店の冷蔵庫には「ナイチンゲール・アイスクリーム・サンドイッチ」の8種類の商品が並んでいた。今年話題のストロベリーを中心に、昨年人気だったバニラのほか、ラズベリーやライム、バナナなどがある。コストコなどのスーパーで販売されているのは18個入りの箱入りパックだが、小規模店で販売されているのは、長さ10センチほどの大きめのサイズの商品だった。

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長さ10センチほど。食べ応えある「ナイチンゲール・アイスクリーム・サンドイッチ」/筆者撮影

 この日の歩数は2万5000歩を超え、右足がつりそうになっていた。達成感の中で手にしたのはやはりストロベリー。食べないことには原稿が書けないと焦っていたので、冷蔵庫を開けた瞬間、安堵感が胸にこみ上げた。

「ナイチンゲール・アイスクリーム・サンドイッチ」のお味は……

 価格は税込みで1個6ドル78セント。日本円では975円以上する高級アイスだ。早速、店先で食べた。

 乳脂肪分は14%と濃厚。口の中でも粘るような、しっとりした重厚な味だった。クッキーも手作りということで厚い。アイスクリームとクッキーの配分は絶妙で、互いに味を引き立てていた。デザートというよりも、小腹が空いた際のおやつとして食べるのにぴったりのスイーツだ。

 「ナイチンゲール・アイスクリーム・サンドイッチ」は、2016年にバージニア州リッチモンドで誕生した。退役軍人の女性がレストランを立ち上げたが、アイスクリームが評判となりレストランを閉めてアイスクリームに専念した。創設10年目だが、すでにリッチモンドを代表する菓子となり、全米に販路を拡大した。

 コストコで販売されている18個入りパックの商品は、購入した商品より1個あたりの大きさは3分の1程度だという。1箱あたり19ドル99セントで、日本円では約2900円。大きいサイズを単品で購入するよりかなり割安だ。

 この夏のニューヨークの注目グルメ「ナイチンゲール・アイスクリーム・サンドイッチ」。爆発的なブームになる前に、食べておきたい味である。

(文=言問通)

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言問通

フリージャーナリスト。大手新聞社を経て独立。長年の米国駐在経験を活かして、米国や中南米を中心に国内外の政治、経済、社会ネタを幅広く執筆。

最終更新:2025/06/07 14:00