マルティネス、グリフィン、キャベッジ──巨人連覇の鍵を握る外国人選手たちと補強の狙い

2025年、連覇を狙う読売ジャイアンツにとって、外国人選手の活躍は不可欠だ。
今や“助っ人”という言葉では表現しきれないほど、彼らの貢献度は高まっており、その補強戦略と運用方法がチームの命運を大きく左右する。
果たして、今季の外国人補強は連覇にどう直結するのか? 即戦力と爆発力という視点、さらには適応力や柔軟性という現代野球の要請をもとに読み解いていく。
“即戦力”か“爆発力”か? 助っ人の役割
外国人選手には、安定した働きを求められる“即戦力型”と、短期間でチームの流れを変える“爆発力型”の2タイプがある。前者は主に投手や守備重視の野手に、後者は一発長打や勝負強さに特化した攻撃型野手に多い。
巨人の今季の補強を見ると、これらの役割はある程度明確に区別されている。特に投手陣には安定感、野手陣には破壊力を求めた構成になっており、それぞれの“適応度”がシーズンの浮沈を握っている。
抑えとして起用されているライデル・マルティネスは、今季のブルペン陣の要といえる存在だ。キューバ出身の右腕は、9回のマウンドで堂々と打者と対峙する。かつての圧倒的な雰囲気や威圧感はないが、いまだに防御率は0.00(5月31日時点)だ。チームの優勝も意識しており、今後もクローザーとしての活躍が期待される。
先発陣では、フォスター・グリフィンがローテーションを担っている。左腕から繰り出されるストレートと変化球のコンビネーションで、ゲームメイク能力が向上し、試合を壊さない“ローテの柱”となっている。
また、カイル・ケラーは中継ぎで起用されており、中盤以降の重要なイニングを託されている。波があるが、セットアップとして流れを断ち切る役割を果たせれば強力だ。さらに、昨年フル回転したアルベルト・バルドナードも控えている。しかし、勤続疲労が露呈しているため、ケラーを含めた運用は少なからず必要になっていくだろう。
野手では、トレイ・キャベッジとエリエ・ヘルナンデスが注目の助っ人だ。キャベッジは中距離打者としての柔軟性と日本人にはない勝利へのパッションを持ち、打順や状況に応じた起用が可能な貴重な存在になりつつある。走塁でも一定の貢献ができ、スタメン固定されており、岡本和真が離脱した後は4番に座ることもある。
一方のヘルナンデスは、昨シーズンにインパクトある打撃を見せたが、徐々に相手投手に対応され、近年の助っ人野手にありがちな“初速型”の課題が浮き彫りとなっている。守備でも不安を残しており、丸佳浩が復活したあとは、立場が厳しくなることが予想される。
“起爆剤となる新外国人”の可能性
岡本が不在のこのような状況では、昨年のヘルナンデスはもちろん、モンテスのようにシーズン中に補強し、一時的に結果を出すタイプの“起爆剤助っ人”が求められる。特に夏場以降の得点力不足や中軸不在を補う一発長打の存在は、シーズンの分水嶺となる可能性が高い。
巨人における外国人野手は、ここ数年「短期的には活躍するが長期安定性に欠ける」という傾向が続いている。グレゴリー・ポランコやアダム・ウォーカーは本塁打を量産しながら守備で足を引っ張り、ルイス・ブリンソンは長打力が光るも凡ミスで安定感を欠いた。
これらハイリスク・ハイリターン型の選手は、運用法に大きく左右される。調子が良ければスタメン固定、調子を落とせば大胆に代替・入れ替えが必要だ。重要なのは、“外国人選手だからこそ起用を柔軟に”という視点である。
一軍に最大5人しか登録できない中で、誰を上げ、誰を下げ、誰をキープするのか……。それが首脳陣の“助っ人マネジメント力”として問われている。
もうひとつ無視できないのが、日本人若手選手との競争関係だ。
例えば、外野の一角では浅野翔吾、萩尾匡也などといった若手有望株が成長途上にある。彼らに十分な出場機会を与えつつ、助っ人野手を機能させるには、スタメン起用や守備位置の調整が必要だ。
また、岡本の動向に応じて、キャベッジやヘルナンデスが代役を担う場面も多く、助っ人の存在が選手層の厚さを補完する役割も果たしている。
しかし、単に“実績のある外国人”を優先してしまえば、育成とのバランスが崩れる。未来の主力を育てながら勝つ……。この難題をクリアするには、勝負と育成の“両輪運用”が求められる。
現状の投手陣に関しては、大勢や中川皓太、田中瑛斗、船迫大雅などもいるため、投手の外国人枠よりも野手が急務になるだろう。
外国人選手の活用は、今や補強や保険ではなく、戦略の根幹に位置している。爆発力ある野手、そして第2・第3の起爆剤としての短期補強。さらに日本人若手との競争・共存をマネジメントする運用力……。これらが複雑に絡み合う中で、巨人が“外国人戦略”をどう成熟させるかが、連覇への道筋を決定づける。
「外国人を活かす球団」から「外国人と勝ちにいく球団」へ。2025年、巨人の助っ人運用は、再びプロ野球界におけるモデルケースとなれるのか……。その試金石の年が始まっている。
(文=ゴジキ)