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ドラマ『インフォーマ-闇を生きる獣たち-』ATP賞奨励賞受賞! その裏にある濃密な原作の世界

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サイバーエージェント公式サイトより

 昨年11月からABEMAで配信されたドラマ『インフォーマ-闇を生きる獣たち-』が、第41回ATP賞テレビグランプリのドラマ部門にて「奨励賞」を受賞した。

 当サイトの読者にはおなじみだろうが、同作品の原作は、沖田臥竜氏による小説『インフォーマ2 -ヒット・アンド・アウェイ-』(サイゾー文芸刊)である。政治、経済、芸能界はもちろん、裏社会に至るまで精通する“インフォーマ”を名乗る木原慶次郎と、週刊誌の記者・三島寛治が、SNSを駆使して日本各地で犯罪を繰り返す新手のマフィア組織を追うなかで、物語は大きく展開していく。

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 ドラマ化にあたっては、原作者の沖田氏が監修として参加。さらに、今年度の日本アカデミー賞で最優秀監督賞を受賞した藤井道人監督が企画・プロデュースを務めた。小説が持つ濃密な人間描写と情報戦の緊迫感を土台にしつつ、連続ドラマとしての構成が巧みに作用し、回を重ねるごとに視聴者の興味を加速させる作りになっている。原作の力強さに加え、映像・演出・キャストが高水準で融合した点が、今回の受賞につながったのではないだろうか。

 ATP賞は、プロデューサーやディレクターなど、テレビ業界の第一線で活躍する制作者自身が審査員を務めることから、業界内で高く評価されている賞として知られる。作り手の目線で見ても“抜きん出た完成度”を持つ作品として、現場の信頼を勝ち得た結果と言えるだろう。

 このたびの受賞にあたり、沖田氏は次のようにコメントしている。

「ふと自分の人生を振り返ってみると、賞というものを貰ったことがなく、今回、頂いた奨励賞が私にとって初めての賞ということになります」 「インフォーマは私にとっての学園生活そのもので、常に17歳の夏というかけがえのない仲間たちと、かけがえのない時間の中にあります」 「超えていかなければならないのは、いつも過去の自分自身であり……作品作りにだけは自分に嘘をつくことなく、これからも情熱を持って向き合っていきたい」
(※コメント全文は、https://www.cyberagent.co.jp/news/detail/id=32008 に掲載)

 沖田氏の小説には、現実とフィクションの境界線を問う鋭さがあるが、その根底にあるのは「人間に対する誠実な観察眼」だ。暴力、欺瞞、情報、メディア——どの要素も単純な善悪では裁けない。だからこそ、その複雑さと濃密さに、読者は否応なく引き込まれる。

 なお本作は、地上波でも放送された第一作『インフォーマ』から続くドラマシリーズである。そうした意味でも、本作は配信・放送というメディアの垣根を越えて広がった稀有な企画であり、今回の受賞は、その真摯な作品づくりへの評価と言っていいだろう。

 情報が支配する現代を描きながらも、その中にある“人間らしさ”を丁寧にすくい上げているのが、本作の大きな魅力だ。ぜひその奥行きを、原作でじっくりと味わってほしい。


■原作小説『インフォーマ2  ヒット・アンド・アウェイ』 

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沖田臥竜・作/サイゾー文芸・刊/1400円+税
amazonなどネット書店、全国書店で発売中

サイゾーオンライン編集部 

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最終更新:2025/06/06 11:00