声優アーティスト・天城サリーはトリリンガルで世界中のアイドル! 海外イベの魅力とは

日本のコンテンツが海外で盛り上がりを見せている。“コスプレ”もそのひとつ。今ではコスプレの世界大会が開かれるほどで、伝統的な同人イベントから一歩進んだ、ビジネス革新のフロントランナーとして注目されているのだ。新規ファン獲得のため戦略的な市場展開を実践する日本のコスプレイヤーも現れるなど、同イベントはグローバル市場での協業や投資チャンスを生み出すプラットフォームとなっている。未来の成長分野への参入を検討する企業にとって、必見の現場だ。
海外のアニメコンベンションで取材を重ねてきた筆者が、世界中で行われているイベントの現場をレポートする本企画。今回は、インドネシア・ジャカルタのイベントで、アーティスト取材を敢行、現地の熱狂などについて聞いたーー。

秋元康総合プロデュースの声優アイドルで、22/7(ナナブンノニジュウニ・通称:ナナニジ)のメンバーである天城サリーさんが、2025年6月6~8日にインドネシア・ジャカルタで開催された「AFA Indonesia 2025」(以下、「AFA Indonesia 2025」)にゲストで出演した。
「AFA Indonesia 2025」は、東南アジア各国で開催されるイベント「Anime Festival Asia」、通称「AFA」の1つで、インドネシアではトップクラスの規模を誇るイベントだ。
そんな同イベントでは、日本から声優やアーティストがゲストで呼ばれる。2025年には、ナナニジから天城サリーさんが招待され、ソロコンサートやミート&グリードを実施した。
天城サリーさんは他国の「AFA」への出演や、アメリカ等の英語圏を中心に多くのアニメコンベンションに引っ張りだこだ。そんな天城サリーさんのメディアインタビューを実施した。
──もともと海外在住だった天城さんは、日本のアニメが好きで日本に来たそうですね。
天城 私は、生まれも育ちもアメリカ・ロサンゼルスで声優になりたくて日本に来ました。今は22/7(ナナブンノニジュウニ)という声優アイドルグループに所属しています。
なので、日本語、英語とスペイン語をちょっとだけ話せます。
──天城さんはその語学力もあって、海外ではイベントのMCやステージ登壇なども多いですが、日本ではどのような活動をしていますか?
天城 メイン、声優とアイドル半々くらいでやらせていただいています。それから昨年の「AFA Singapore 2024」で総合MCを務めさせていただいたほか、日本でも海外向けの「Crunchyroll Anime Awards」や「Aniplex Online Fest」などの番組やイベントでも数年間、総合MCを続けさせていただいています。なので、MC、声優、アイドルの3つのお仕事が多いです。
───日本と海外で、仕事の割合はどのくらいの比率なのでしょうか?
天城 海外率はわりと高くて今のところ、日本7、海外3くらいです。
昨年から徐々に海外のイベントが増えてきていて、去年から今年にかけて6、7箇所ほど海外行かせていただいています。
海外だと、ほかの声優さんたちは何かの作品とセットで呼ばれることが多いと思うんですが、私の場合は「天城サリー」個人として呼んでいただくことが多くてトークパネルやQ&A、ソロライブステージなどをやらせていただいています。
逆に、ほかの声優さんたちが作品と共にゲストで来ている場合は、その作品のステージのMCを担当させていただいたりもしています。もう、ほぼすべてのステージに出演してるんじゃないかというくらい、いろんなことをやらせてもらっています。
英語圏と東南アジアでファンの熱狂は違う? 天城サリーが感じた熱

──今回は「AFA Indonesia 2025」ですが、「AFA」はほかの国でも開催されています。「AFA」にはどこにゲスト出演しましたか?
天城 以前、動画コメントでの出演もありましたが、昨年はシンガポール、今年はインドネシアに呼んでいただきました。
──「AFA」以外だと、どの世界のアニメコンベンションに参加したことがありますか?
天城 2018年に、私の地元ロサンゼルスのAnime Expoに参加したのが一番最初です。。2019年にサンフランシスコのCrunchyrollのイベント、去年は「Anime Central」(シカゴのイベント)やシアトル「Sakura Con」など。ぜんぶ出しきれないくらい沢山呼んでいただいています。
──やはり北米のイベントが多いのですか?
天城 そうですね。やっぱり英語圏が多いですね。あとアジア圏も。
──過去に出演した海外のアニメコンベンションで、特に思い出に残っているエピソードはありますか?
天城 今年4月にシアトルのイベントに参加した際に、今年の7月から放送予定の、私が主演を務めるアニメ『ゲーセン少女と異文化交流』に登場する、コアラのキャラクター(漢気コアラ)のコスプレをして来てくださった方がいて、とても驚きました。
どこのコンベンションに行っても、サイン会とかで誰か1人は私が演じたキャラのコスプレをして来てくれるので、それは毎回記憶に残ります。
──先ほど英語圏のアニメコンベンションへ出演する割合が多いと伺いましたが、アメリカとシンガポール、インドネシアなど東南アジアのイベントとの違いを感じることはありますか?
天城 日本と海外の違いは感じますが、例えばアメリカとシンガポールでいうと熱量は一緒くらいで、日本語が伝わる割合は、シンガポールの方が高いです。
それこそ現地では、通訳をしながらMCをやっていましたが、通訳する前にも笑いが起こったりするので、「みんな日本語分かるんだ」とって感じました。東南アジアの方が多いですね。
──実際、かなり流潮な英語を話されていますが、海外でMCをする際に意識することはありますか?
天城 えーと…カッチリしないことかな。
──カッチリしない?
天城 日本のMCだと、「皆様、ようこそ」という様に。ゲームの主催者のような気持ちでやっていますが、海外では「皆さんと同じオタクですよ!」という様に、親近感を出すというか、きっちりしないことをすごく意識しています。

──アメリカだと単語を強調して話したり、リアクションも多めな感じをイメージしますが……。
天城 そうですね。手の動きとか。日本のMCだと姿勢を正しながら、極力動かずやっていますが、アメリカでMCをやるときはめっちゃ動いて「オーマイガー!」みたいな感じです。典型的な海外ドラマみたいな動き方しますね。
──では日本と海外のファンの違いはどのように感じますか?
天城 熱がすごいです、海外は。日本だと生活の中でアニメは身近にあるものですよね。それが海外に行くと、「アニメは自分から見よう」と思って見ないと、なかなか触れることが少ないんです。家から出てコンベンションに行くような方々は、相当のアニメ愛がある集まりになります。そういった面では、参加者の作品愛は海外の方がより感じますね。
──ところで今回は、インドネシアに来ていますが、観光は考えていますか?
天城 さっきしてきました!Habitatというちっちゃい動物園みたいなところで、そこでカメとか鹿に餌をあげてきました。
──インドネシアに対しての印象はいかがですか?
天城 私、YouTubeチャンネルもやっているんですけど、アナリティクスを見る限り、インドネシアは視聴者数の1位になることが多いですよね。海外では他には、出身であるアメリカが多いです。逆に、インドネシアの方はなぜ見てくれているんだろうと、不思議ではあるんですけど。とりあえずウェルカムいただいている気持ちで楽しんでいます。
──そのほかに、行ってみたい国や気になっている海外のイベントはありますか?
天城 クアッカワラビーの顔真似を特技として、ずっと披露しているので、オーストラリアに行きたいんです。グループ内での公式絵文字もコアラですし、動物としても普通に好きなので。オーストラリアに行ったことはないんですけど、とても縁があって、新近感が湧いているので、是非行きたいですね。
──最後に日本のファンにむけて、海外イベントのおすすめポイントを教えてください。
天城 「近さ」かな。どの国も、本当にオープンです。サイン会も行うことが多いので、ファンの方ともたくさんお話しできるんですよ。海外だからなんですかね。私も気持ちがちょっとオープンになっていて、日頃あまりできない話も、友達くらいの近さでお話できるなぁって思います。
日本から海外のイベントに来てくださる方々も多いんですけど、日本とは全然違う「より一層ナチュラルなサリーちゃんに会えた」みたいにおっしゃっているので。いろんな意味で海外はオープンなイベントなので、めっちゃ楽しいと思います。
──では最後に、海外のファンに向けたコメントをお願いします!
天城 そうですね……私、まさか出身地であるロサンゼルス以外の海外に、ファンの方々がいてくださることに、未だにすごくびっくりしています。英語も日本語もスペイン語も話せる強みがあるので、もっともっと、字幕を通さない、私から出た私だけの言葉を皆さんに発信していきたいです。これからも見守ってくださると嬉しいです。
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■天城サリー(Sally Amaki)
アメリカ・ロサンゼルス出身。4月26日生まれ。秋元康総合プロデュース・デジタル声優アイドルグループ22/7(ナナブンノニジュウニ)のメンバー。母語話者である英語に加え、日本語、スペイン語が堪能。アイドル、声優、さらにはYouTuberとしても活動中。
テレビアニメ『22/7』(藤間桜)、『ゲーセン少女と異文化交流』(25年7月クール)(主人公 りりー・ベイカー)、『トモちゃんは女の子!』(キャロル・オールストン)、『ワールドダイスター』(カトリナ・グリーベル)、『ぼっち・ざ・ろっく!』(清水イライザ)、『龍族』(リン)、映画『パンドラとアクビ』(アクビ)、ゲーム『マギアレコード 魔法少女まどか☆マギカ外伝』(アシュリー・テイラー)など多数にわたる。
さらに『Aniplex Online Fest』『クランチロール・アニメアワード』『Anime Festival Asia Singapore 2024』等の大型イベントでは、その語学力を生かし、総合MCとして海外への発信役を務めた。
2024年は、アメリカ・シカゴ『Anime Central』、シンガポール『AFA Creators Super Fest Singapore 2024』、カナダ・エドモントン『Animethon 2024』等の海外イベントに出演。2025年4月には、アメリカ・ワシントンD.C.で開催される『Sakura-Con 2025』に出演し、ソロライブでは5,000人を動員するなど、ますます活躍の幅を広げている。