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国分太一が日弁連に人権救済申し立て 国分のいう通りなら日テレ側にも非があると思わざるを得ない

国分太一が日弁連に人権救済申し立て 国分のいう通りなら日テレ側にも非があると思わざるを得ないの画像1
国分太一(写真:サイゾー)

<今週の注目記事>

第1位「ハラスメントで消えた国分太一(51)が日弁連に人権救済申し立て」(『週刊新潮』10月30日号)

第2位「矢沢永吉(76)不動産50億円爆買いで名門料亭と家賃トラブル」(『週刊文春』10月30/11月6日号)

第3位「スクープ撮! 高橋藍(24)がインフルエンサー(u ka.)と人気No.1AV女優(河北彩伽)に二股スパイク」(『週刊文春』10月30/11月6日号)

第4位「小売店にとっては詐欺行為“不正テスト販売”を隠蔽していたタカラトミー」(『週刊新潮』10月30日号)

第5位「宮沢洋一最後の警告『このままでは、円の資産価値は暴落します』」(『週刊現代』11月10日号)

第6位「高市大号令『財務省をぶっ潰せ!』」(『週刊ポスト』11月7・14日号)

第7位「高市&維新政権の死角」(『週刊文春』10月30/11月6日号)「やっと発足した高市政権 危険な船出」(『週刊新潮』10月30日号)

第8位「新“芸能界のドン”と山口組高山清司相談役の土地取引を暴く」(『週刊文春』10月30/11月6日号)

第9位「大阪・関西万博『祭りのあと』閉幕後のほうがモンダイ山積」(『FRIDAY』11月7日号)

第10位「『20年前に児童買春で逮捕』でも教師を続けた鬼畜の裏技」(『週刊文春』10月30/11月6日号)

 週刊文春お前もか! 今週の文春を買ってそう思わず叫んだ。10月30/11月6日号である。ということは合併号?

 週刊誌の合併号は5月の連休、夏のお盆の時、年末年始と決まっている。やむなくイレギュラーに合併号を出すときはライバル誌、新潮に知らせて、新潮も合併号を出すことにする。

 だが新潮の今週号は10月30日号である。新潮側は同意しなかったのであろう。

 これでは、これまで続けてきた文春と新潮の月号が次号からは違ってしまう。

 そんなことはどうでもいいが、文春の変則合併号(580円)はどういう意味を持っているのだろう。

 前号では何もいっていない。今週号の「編集長から」で、今号は秋の特大号のため、次号の発売は十一月六日になりますとあるだけ。確かにページ数は増えてはいるが……。

 以前からいわれていたように、文春の部数は新潮、現代、ポストよりも上だが、実売部数は20万部を下回っているから、やはり採算的に苦しく、現代やポストのように月3回刊に移行するのだろうか?

 そうなれば、部数的には文春以上に苦しい新潮も同調するのは時間の問題だろう。

 以前からここで書いてきたように、70年近く続いてきた週刊誌が消滅という事態になるのかもしれない。

 だが、新聞もテレビもまったく騒がない。当然だろうが私のような週刊誌人間には寂しい。

 文春は週刊誌界というよりジャーナリズムの世界で、新聞やテレビではできないことをやってきたリーダー的存在である。

 もし、月3回刊に移行するのだとすれば、現代やポストのように、読者にも知らせずこっそりやるのではなく、誌面を使って、なぜ月3回刊にするのかを公表するべきであろう。

 最近の文春の記事に精彩がないことを嘆いていたのだが、内情はより深刻なのかもしれない。

 ところで、今週の最初は、わいせつ教師が後を絶たないが、中には、わいせつで逮捕されたのに、それを隠して、何度も教壇に立っていた男がいたと、文春が報じている。

 福岡市のベッドタウン、人口3万人の須恵町。町立中学校に今春から補助教員として勤務していた男性教師。

「女子生徒がシャーペンを持つ手を上から握ったり、更衣室を覗いたり。掃除の時間に『体勢がエロく見えるよ』と声をかけられた子もいたそうです」(保護者)

 訝しんだ保護者がネットで検索したところ、同姓同名の人物が過去に教員免許偽造で逮捕されていたことが発覚したというのである。

「9月、保護者から連絡を受けた学校が教師に事情を聞き、警察に相談。偽造した教員免許のコピーを提出して採用されていたことが分かり、福岡県警が10月13日、偽造有印公文書行使の疑いで逮捕した」(地元記者)

 逮捕されたのは近藤正仁(66)。20年にわたり虚偽申告や改姓、免許偽造を繰り返し、少なくとも全国で6つの学校に無免許で潜り込んでいたというのだ。

 近藤の元の苗字は“古畑”というそうだ。

「福岡中央高校を卒業、浪人後に佐賀大理工学部の数学科に進んだ近藤容疑者。教員免許を取得し、その後は福岡市内の中学で勤務を始めるが、二○○五年、四十五歳の時に児童買春で検挙された。

『懲役二年六月、執行猶予四年。中学教諭でありながら、ネットで知り合った十三歳の少女に、『制服プレーがしたい』と中学生の紹介を依頼し、淫行相手に一回二、三万円、紹介した少女にも毎回五千円を紹介料として支払う悪質なものだった』(捜査関係者)

 判決を受け、教員免許は失効。だが紛失を理由に免状を返納せず、〇七年、同じ免許状で山口県の私立高校で勤務を再開。無免許が発覚すると、十二年にはさらに遠方に移り、埼玉県日高市、秩父市、群馬県片品村などの小中学校に順に勤めた。過去の情報を知った住民が埼玉県に情報提供し、十三年には、教育職員免許法違反容疑で逮捕され、罰金刑となっている。

『“古畑”で検索されると無免許がバレると学習し、養子縁組で橋本、近藤に改姓。教員免許も苗字の部分を貼り替えて偽造し、また教員に応募するようになった』(同前)」(文春)

 この程度の小細工で、教壇に立ててしまうというのは、どこかに不備があるのだろう。

「免許状が実在するか確かめるシステムは都道府県教委の管轄。免許状の書式も県によって異なるため、市町村ごとに採用する臨時職員の場合は特に見抜きづらい。また、わいせつ教員を登録する国のデータベースは氏名で検索するため、改姓すると辿れない」(文科省の担当者)

 あなたの子どもの学校にも、こうした過去を持つ教員がいるかもしれないのだ。

 さて、大阪・関西万博がようやく終わった。私は関心がまったくなかったので、行こうと思ったことはなかったが、一般累計入場者数は2500万人を突破し、「230億円~280億円の黒字になる見込み」(日本博覧会協会)という。

 1人で10回も20回も行った人がいるそうだから、実数はもっと少ないのだろうが、日本人の博覧会好きには驚くというより、呆れた。

 報道では、万博で人気だった「人間洗濯機」を大量生産するという。これは1970年の大阪万博に出品されたもので、それを改良したのを出品したところ人気があり、そうすることにしたというのだ。

 そんなもん買ってどうするのだろう。自分の体ぐらい自分で洗えよ! といいたくなる。

 FRIDAYは、閉幕してから4日後に現地に赴いたそうだ。玄関口だった「夢洲駅」は人影もまばらで(そりゃあそうだろう)、会場内では解体作業が始まっているという。

 公式キャラのミャクミャク(気持ちの悪い)がぽつんと取り残され、万博のシンボルだった大屋根リングは閉鎖されていたそうだ。

 だが、その後の片付けにも大きな課題があるという。工事事業者がこう明かしている。

「解体によって発生するコンクリートや木材など産業廃棄物の近畿地方の処分場がもう満杯寸前なのです。このまま新たな処分場が見つからなければ、現場に廃棄物が残り続けることになる。解体工事に遅れが出てしまいます」

 さらに別の工事業者は「建設業者への未払い問題も解決していない」という。

「セルビア館やドイツ館など、11のパビリオンで元請けと下請け業者のトラブルが訴えられていて、未払いとなっている工事費の総額は5億円に上ると見られています。博覧会協会の副会長でもある吉村洋文・大阪府知事(50)は民間の問題だとして対応していません。解体工事の際にも未払いが起きるんじゃないかと心配でならない」

 在阪ジャーナリストの吉富有治も「黒字になったのは運営費に限った話」だと、こう指摘する。

「会場建設の予算は総額2350億円にのぼります。その他、会場周辺の整備費や警備費も発生している。万博の運営費の収入は1400億円ほど。全体の費用を含めて収支を見れば大赤字です」

 巨額の赤字の回収を視野に入れて大阪市が進めているのが万博跡地にIR(カジノを含めた統合型リゾート)建設だが、そんなものが収益を生むのか? そうした疑問が出ている。

 私は前からいっているが、この日本は既にギャンブル大国である。パチンコから競艇、競輪、競馬まで、ギャンブルをやろうとすれば何でもあるのだ。

 その上、カジノなんぞをつくれば、「ギャンブル依存症」人間を増やすだけである。

 ましてや、カジノなんぞは貧乏人がやる博打場ではない。そんなものをつくろうという大阪人の気が知れない。今からでも遅くない、カジノなんぞはぶっ潰してしまえ!

 お次は芸能界の新しい“ドン”といわれる人物と、山口組の元ナンバー2で、現在は相談役の高山清司(78)との“関係”を追った文春の記事。

 タイトルはおどろおどろしいが、内容は“?”という記事である。

 私はよく知らないのだが、「ジャパン・ミュージック・エンターテインメント(JME)」の瀧藤雅朝社長(65)がその人だという。谷原章介や篠原涼子を育てた人物だそうだ。

 瀧藤社長は現在、「日本音楽事業者協会」の会長だというのだから、エライ人のようだ。

 だが彼には以前から、“怪しい人物”との交流が噂されていたというのである。

「六代目山口組の中枢組織『弘道会』(本拠地・名古屋)の“資金源”と言われたグループ企業のオーナー・岡崎智樹氏(仮名)だ。

 別の捜査関係者が言う。

『岡崎は90年代初頭から名古屋を拠点に風俗情報誌やファッション雑誌でひと山当て、2002年に法人税法違反で在宅起訴された(懲役10カ月、執行猶予3年)。この頃から警察は岡崎を弘道会の“密接交際者”と睨んでおり、12年には会社法違反の容疑で逮捕し、略式起訴している』

 実は、この男と瀧藤氏はかつて同じ会社を経営していた。当時を知る会社関係者が明かす。

『岡崎さんが執行猶予中だった〇三年、JMEの代表の瀧藤さんと「芸能プロダクションをやろう」と東麻布に会社を立ち上げた。風俗情報誌やファッション誌で集まってきた素人モデルたちを芸能界デビューさせれば、そこでまた一儲けできると思ったんでしょう』

 それが『トニーカンパニー』(以下、トニー社)という芸能プロダクションだ。本店はJME近くの港区のビル。役員には瀧藤氏と岡崎氏、JMEで経理等を担当する人物や、岡崎氏のグループ会社の役員等もいた』」(文春)

 だが、うまくいかなかったという。

 そんな中でトニー社が手を出したのが三重県桑名市にある大型物件の売買だったそうだ。

 だが、文春が登記簿を確認すると、トニー社は購入からわずか2カ月でこの土地と建物を高山に売り渡していたというのである。

 これは何を意味するのだろうか? 暴力団事情に詳しい弁護士はこう解説している。

「不動産取引が一部制限されている暴力団のため、岡崎氏や瀧藤氏のトニー社が“前さばき”をしてあげたと考えるのが自然でしょう」

 しかし、「この時点では、不動産の取引や公共事業・祭礼への暴力団の関わりを規制する『暴力団排除条例』は施行されていません」(同)

 この物件を高山に“売り渡した”時期というのは、高山が弘道会の二代目会長に就任し、さらにその直後に、五代目山口組直参へと昇格したときだったという。

「そもそもこの物件は、岡崎さんらがカネを出して、髙山氏への“昇進祝い”としてプレゼントしたと聞きました」(トニー社の会社関係者)

 トニー社がうまくいっていないのに、このような高額物件を“贈呈”することができたのか?

 文春は瀧藤社長にインタビューを申し込むと、JMEの事務所で丁寧に答えたという。

 物件を買ったという噂は聞いてはいたが、自分が手を引いた後だった。自分の名前を抜いておくようにといったのに、抜いてなかった。自分のチェックミスだが、岡崎は平謝りしていたと話す。

 インタビューした翌日、瀧藤氏経由で岡崎の説明文が文春に届いたという。概ね次のような内容だったそうだ。

「05年に滝藤氏より取締役辞任の申し出を受け、了承しましたが、実際には変更登記をしておりませんでした。よって滝藤氏は05年以降、トニー社には一切の関わりを持っていません」

 瀧藤は、現在の竹内照明六代目若頭とも知り合いで、テレビ業界では、「瀧藤さんといえば山口組だよな」と噂されているそうだが、それについては、

「竹内さんとは、そういう同級生の繋がりで2、3度会ったことがあります。でも、それは僕が仲良くしていたある大物作家の先生が取材をしたいというので、繋いでもらって同席しただけのこと。そういった場面ですらも会っちゃいけないと言われてしまうと……」

 芸能界と暴力団とのつながりは、昔からいわれてきている。バーニングの周防郁雄もそういう噂が絶えなかった。

 事実関係はわからないが、そうした噂を自らが利用して芸能界を牛耳ってきたという側面もあるのではないか。

 芸能界は魑魅魍魎の世界。それはいつの時代でも変わらないのではないか。

 ところで、普段あまり読んだことのない朝日新聞の天声人語を、たまたま斜め読みしたらこんなことが書いてあった。

《強い経済をつくり、日本列島を強く豊かにし、力強い外交安保政策を推進する――。高市首相が初めての所信表明にのぞんだ。「強い」と何度も繰り返したのは、尊敬する鉄の女・サッチャー氏のことも念頭にあったのだろうか▼実現の鍵は「責任ある積極財政」という、ちょっと不思議な言葉にあるらしい。経済のパイを大きくして税収を増やし、掲げた政策を進めながら、一方では財政規律も守る。言葉どおりに進めばいいが、そううまくいくのか。不安は残る▼たとえばガソリン減税では、代わりの「安定財源」を確保するとしているが、それが何かは示されていない。所信表明からは、私たちが負うはずの痛みの部分がすっぽり抜けてしまっている▼サッチャー氏は国の財布の仕組みをよく分かっていた。「国家が支出を増やすなら、国民の蓄えから借りるか、増税かしかない。『公のお金』などはなく、あるのは『納税者のお金』だけだ」。国民に希望を抱かせるのと同時に、苦い現実を示すのも、首相の役割だろう。》(朝日新聞10月25日付)

 文春、新潮両誌とも高市政権には辛口だが、新聞などの世論調査では、高い支持率を出しているようだ。

 それは天声人語が書いているように、「責任ある積極財政」という訳の分からない「標語」のせいであることは間違いない。

 安倍政権も「アベノミクス」「三本の矢」などといって国民の期待値を高め、長期政権を成し遂げた。

 だが、あの時は、自公連立政権が多数で安定していたが、今はそうではない。高市は期待感が高まっているうちに早急に解散・総選挙をして、自民党単独で過半数を取りたいと目論んでいるのだろう。

 だが、高市政権のアキレスけんは、文春によれば、連立を組んだ日本維新の会だという。

「当初、『閣僚ポストは維新に2つ渡す』(高市氏周辺)予定だったが、維新は閣外協力に舵を切った。一体なぜか。実は、遠藤氏(国対委員長の遠藤敬=筆者注)は周囲にこう“本音”を口にしていたという。

『閣内に入ると高市政権がコケた時、ウチらも巻き添えを喰らう恐れがある』」

 維新は「議員定数の削減」を絶対条件にしているが、これは簡単にできることではないだろう。

「早くも連立の死角が浮き彫りとなった。
一つは選挙区調整の問題だ。前回衆院選で自民と維新は二百八十九選挙区のうち百四十五選挙区で競合している。昨年、滋賀一区で維新に敗北を喫し、比例復活した大岡敏孝氏が語る。
『自民と公明は党の大きさが違うから選挙区調整ができた。でも選挙区で勝てる力を持つ自民と維新では互いに譲ることはない。ただ、これまで「自民党を倒す」と言ってきた維新の方が、戦いづらいでしょうね』」(文春)

 早くも維新には何名かの離反者が出てきている。離党届を出した斉木武志は文春に対してこういっている。

――離党に至った理由は?

「改革政党だった維新が、いつの間にか大阪への利益誘導政党になってしまった。大阪維新の会代表である吉村さんが日本維新の会代表を兼任している時点で、大阪ありきの政党なんです」

――その原因は?

「衆院選で議席を減らし、大阪での党勢力をいかに維持するかが、第1目標になった。副首都構想の実現など、大阪への利益誘導ですよ」

 さらに、高市政権の当面の目玉である、ガソリン暫定税率の廃止と食品消費税の2年間ゼロだが、ガソリン税について、慶応大学経済学部の土居丈朗教授はこういっている。

「ガソリン暫定税率の廃止には、一兆五千億円の代替財源が必要だと言われています。
維新は財源に租税特別措置の縮小や廃止を挙げています。簡単に廃止できるものもあるが、この措置の恩恵を受けてきたのは、利益を生み出し、賃金を上げている大企業。彼らが海外に生産拠点を移せば、日本経済にはマイナスです」

 やはり土居教授が、食品の消費税率について、

「消費税を下げた分だけ、物価が下がる保証はありません。人件費も高騰しており、8%まるまる下がるのではなく、販売業者側が3%程に留めることも考えられる。減税でモノが売れ、経済が上向きになったとしても、その増収分での補填は期待できません」

 高市の就任御礼大バーゲンセールは、早くもお先真っ暗のようである。

 新潮は、議員定数削減も食品の消費税をゼロにすることに対しても、森山裕前幹事長は「疑義」を呈しているという。

 党内不一致政権は高市早苗が声高に叫べば叫ぶほど、混迷の度合いを深めていきそうだ。

 さて、どう考えても先行き不透明な高市政権だが、その中でも、積極財政を何としてでも阻もうという財務省の壁が一番高そうである。

 安倍晋三政権で、側近を経産省派で固めてアベノミクスをやり出したが、最終的には財務省の「叛旗」の前に頓挫してしまった。

 今回、財務省のOBの片山さつきを財務大臣に据え、財務省を牛耳ろうという高市の“謀略”に、財務省は麻生太郎副総理を巻き込み、反撃の機会を着々と窺っていると、ポストは見ている。

 高市は「安倍の真似っこ動物」だから、安倍と同じ手法を使おうと腐心したようだ。総理の首席補佐官に飯田祐二前経済産業事務次官を据えて、臨時国会の物価高対策の補正予算をめぐり、「赤字国債増発はやむを得ない」と主張するといわれるが、財務省はそれを阻止するべくあの手この手を考えているというのである。

 だが、高市は素早く、増税派の「ラスボス」といわれる宮沢洋一党税調会長を外したのを手始めに、積極財政派の議員でつくっている「責任ある積極財政を推進する議員連盟」の城内実を日本成長戦略担当相に起用した。

 片山さつきを財務省に抜擢。第三の矢が「政府効率化局」という訳のわからないものまでつくった。

 これはトランプがつくった政府効率化省の物真似で、イーロン・マスクがトップになり、予算や公務員を大量に切ったことで知られる。

 だが、ポストによれば、財政規律派も黙っていないという。

 肝心の党税調のトップに就任した小野寺五典は、政調会長時代に財務省とパイプが太く、財務省に理解が深いというのである。

 それに、財務大臣経験者で消費税減税に強く反対した鈴木俊一が幹事長、さらに財務大臣を9年近く務めた麻生が副総理である。

 さらに財務省OBはこういっている。

「維新は石破内閣が公約した物価高対策の2万円給付を撤回させたし、医療制度改革では市販薬と成分が似ているOTC類似薬を保険適用から外して患者に自己負担させ、医療費を削減すると言っている。

 財務省がやりたかった政策そのものだ。維新がその調子で歳出カットを進めてくれれば赤字国債を発行しなくてよくなるから、高市総理の言う『責任ある積極財政』につながる。しかし、医療費削減には自民党の支持基盤の医師会が反対しているから、自民党内がもつかどうかだろう」

 それに、高市がいっている租税特別措置や各省への補助金を大幅削減するというのは、財務省にとっては万々歳で、業界や党内の恨みを買うのは財務省ではなく、高市自民党と維新だから、財務省としては大歓迎だという。

 だが、待ってくれ。積極的財政が、物価高で苦しむ我々庶民に恩恵をもたらすなら、財務省がどう考えようと、国民は支持するはずだ。

 高市への国民の支持率が70%近いことを見ても、期待感が大きいからだろう。そこを間違えなければ、財務省の横やりと有権者はとらえ、高市への支持はさらに広がり、衆院選で高市自民党は大勝するかもしれない。

 安倍のように、そのように見える演出を高市ができるかどうかはわからないが、安倍の真似っこ動物である高市は、そのことを考えているはずだ。

 どちらにしても、物価高や土地の高騰、実質賃金の目減りを何とかしろという声は、巷に澎湃(ほうはい)と沸き上がっているのだ。

 もし、高市が国民の声から目をそらせたとき、この政権は崩壊する。

 お次は現代から。

 高市から首を切られた張本人の宮沢洋一前党税調会長がインタビューに答えている。

 宮沢は、高市に解任されたのではなく、8年もやったから、林芳正が総裁になれば残ろうと考えていたが、それ以外の人が総裁になれば、辞めようと思っていたと話している。

「もちろん、(財政拡張的な)高市さんの政策は、私が考える政策とは大きな隔たりがあることも事実です。高市総裁の考えと違うことはできないわけで、退任は自然なことだと思っています」

 と、高市への反発を隠さない。

 「ラスボス」と呼ばれていたことについては、

「ある意味では税調会長として実力があることを評価していただいていると認識しています。
 税の目的は、所得の再配分や産業政策の実現などさまざまありますが、一番大事なことは、国家の歳出の裏付けとなる歳入の源を確保するということ。これは日本だけでなく、世界共通の問題ですから、おろそかにはできません」

 一丁目一番地の考え方であろう。

「一般的に、みなさんが希望するのは減税なんです。これは個人も法人も同じで、法人なら租税特別措置法を作って税金を少し安くしてほしいという要望が多い。正直に申し上げて、大衆で議論すれば、その要望は減税一本になることでしょう。おそらく、消費税もこれまでのように上げることはできなかったはずです。

 もちろん、国民の意見を聞くことは大事ですから、税調の中でも意見は聞いて、どんどん議論をやった上で、最終的には税調インナーと呼ばれる少人数で決定していく。ある意味で税調のメンバーは泥をかぶることになるのですが、そうすることによって、なんとか健全な税制というのができていくと思っています。(中略)
 ただ、減税に否定的なスタンスが、国民に理解してもらえないことのほうが多かったのもたしかです。歴代総理も含め、我々の説明不足もあったんだろうと思います。国民に理解してもらうよう努力することを少し怠ってきたという反省はもちろんあります」

 高市は積極財政派で、赤字国債を出すことも躊躇しないといっているが、すでにマーケットが円安方向に反応していると危惧している。

「私たち党税調の方針は積極財政ではないと批判されるのですが、今年度の予算だけでも30兆円近い国債を発行しているわけです。我が国は、リーマン・ショックやコロナ禍のとき、すでに相当な国債を発行しています。その上で30兆円近くの国債を発行しているわけですから、私としては、今が緊縮財政だとは決して思っていません。

 ただ、高市さんはまだ不十分だと考えているようです。政府がさらにおカネを使うことによって、経済を成長させればいいというお考えなのかもしれません。

 しかし、これ以上国債を発行して、日本の財政に対する信認が損なわれればどうなるか。国債がすぐ暴落するということはないでしょうが、日本円に対する信認が失われ大幅な円安になるはずです」

 宮沢は、1ドル=160円程度ではなく、200円も窺う暴落もあり得るという。

 そうなれば、国民は円安による輸入インフレに直面することになり、円の資産価値というものが国際的に低下すると警告している。

 緊縮財政か積極財政か? 耳障りがいいのは積極であろうが、その後遺症も大きいということを、高市早苗は国民に十分に説明すべきであること、いうまでもない。

元木昌彦

編集者。「週刊現代」「FRIDAY」の編集長を歴任した"伝説の編集者"。

元木昌彦
最終更新:2025/10/28 15:00