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SNS誹謗中傷、クマ禍、地方医療の臨界、公選法違反疑惑——軋む社会


 ところで、あの松本人志(62)が1年10ヵ月ぶりに復活したという新潮の記事。

 復活とはいっても11月1日から始めたYouTubeでのことだが。タイトルは『ダウンタウンプラス』。初日に抽選に当たった60名を招待して、その前で松本がしゃべるというスタイルで始まったが、相方の浜田雅功(62)は不在だったという。

 ブラックスーツと金髪頭。登場して1分ぐらい、感極まったのか言葉が出なかったという。ようやく、

「松本、動きました」

 そして、「日本のお笑いがしんどいと聞きまして、私、復活することにしました。よろしくお願いします」と宣言したという。

 その後は、自虐も交えながら立て板に水のトークが炸裂したそうだ。

「今めちゃくちゃ干されています。イカだって一夜、干されるとうまみが増しますよね」

 感謝という言葉を何度も繰り返したそうだ。

 大型スクリーンを背景にしたセットは高級感があり、カメラもクレーンを含めて4台。音響効果もいい。

 文春の性加害報道に対して、高額の名誉棄損訴訟を起こしたが、松本側から取り下げたことについては、

「5億5000万円は調子に乗ってね~。あれはない」

 と笑い飛ばしたというが、少しも説明にはなっていなかったようだ。

 このYouTubeチャンネル、月額1100円だそうだが、どれだけの人に見てもらえるのだろうか?

 さて、高市早苗政権の船出は、一部報道では支持率80%超えという数字が出るなど、好調のように見える。

 だが、トランプ大統領を「接待」したり、無表情の習近平国家主席と握手しただけ。中身のある話などしていないようだから、ブームに惑わされている国民が多いということだろう。

 しかし、石破茂もそうだったが、支持率が上がった時に解散をしようというのは、高市総理も同じ。

 公明党も連立を離れ、これまでぎりぎりで当選してきた自民党議員の50人近くは危ういといわれている。

 高市総理は、解散は考えていないというが、それは嘘だろう。しかし、新潮によると、案外、自民党は議席を減らさない可能性があると報じている。はて? その根拠は?

 元自民党本部事務局長で選挙・政治アドバイザーの久米晃は、こう分析している。

 複数のメディアが公明票が失われれば30~50人ほど自民党議員が落選するといわれているとして、だが、参政党や日本保守党が一定の支持を集めているではないか、

「中道リベラル路線の石破さんを嫌い、自民党本来の支持者であるいわゆる岩盤保守層が離れてしまった。国民や参政はその受け皿として票を伸ばしたわけです。外国人政策などを強く訴え、安倍元首相の後継として認知されている高市首相なら、党支持率を回復させ、こうした保守票を自民党に呼び戻せる。公明票を穴埋めできると思います」

 というのだ。

 公明党は高齢化などによって弱体化しているから、

「連立が解消された影響でさらに票数は減ると考えられ、そうであればなおさら、保守票の呼び戻しでカバーできる範囲での影響ということになります」

 と、公明離れはさして影響ないというのだ。

 私はそうした見方に懐疑的だ。次の衆院選は支持母体の創価学会にとっても浮沈をかけた大勝負になる。

 死に物狂いで教団がまとまり、信者たちが立ち上がった時の創価学会はまだまだ強い。

 それに、参政党は、保守層を獲得するために、さらに激しい「日本ファースト」政策を打ち出してくるに違いない。

 私は、参政党の神谷代表というのは、NHK党の立花よりもよほどしっかりしていると思っている。自民党にとっては手ごわい相手になるはずだ。

 次は文春の林芳正総務相の選挙中の選挙員買収問題。これが報じている通りだとすれば、酷い、酷すぎる。公選法違反は間違いないのでは……。

 総務相というのは、地方行政や郵便、通信、統計など幅広い業務を所管する。政治資金規正法や公職選挙法など、「政治とカネ」に関する制度も管轄する立場である。

 文春は林の選挙を巡る記録を丹念に追ったという。すると浮かび上がってきたのは、大規模な「金配り」の実態だったというのである。

 2024年10月15日に日公示された第50回衆院選は、林にとって重要な意味を持つ一戦だった。

「裏金問題で自民に大逆風が吹いていただけではない。林氏にとって、同じ山口が地盤の故・安倍晋三元首相が22年に死去して以降、初めて臨んだ衆院選でした」(地元記者)

 しかも、10増10減の区割り変更で、山口県内の選挙区が4から3に減少。安倍が地盤とした旧4区の下関市、長門市が林の新3区に編入され、集票力が試されたが、果は約11万5000票を得て再選。約7割の得票率に達した。

 だがその裏では露骨な札束選挙が行われていたというのである。

「この昨秋の衆院選をめぐる、林氏陣営の『選挙運動費用収支報告書』を情報開示請求で入手。その内容を精査した。

 報告書に不可解な点が。

 まず目につくのは膨大な『労務費』だ。

『選挙運動は資金力の差が結果に影響しないように自発的、かつ無報酬で行うのが原則です。そのため、公選法上報酬の支払いができる先は極めて限定的。ウグイス嬢や手話通訳者に法定で例外的に支払い可能であるほかは、裁量性のない機械的な“単純労務”に限られる。例えば公示日のポスター貼り、ハガキの宛名書きです』(山口県選管)

 この単純労務への報酬が今回の焦点になる『労務費』である。

『上限は一日一万円。ただし、単純労務以外を行っていれば、違法性が問われます。それもあって近年は労務費をむやみに支出せず、ポスター貼りなども原則通りボランティアで支援者に依頼するのが一般的です』(前出・政治部デスク)

 にも関わらず、林氏の『労務費』の支出は異様な規模だ。先の総裁選候補者と比べてみると、昨年の衆院選に出馬した高市総理、小泉防衛相、茂木敏充外相は、ウグイス嬢など法定を除く労務費の支払いはゼロ円。一方、林陣営は計二百六十九人(業者一社含む)に計約三百十六万円の労務費を支払っている。

 リストによれば、支出を受けたのは主に選挙区の住民たち。一万円や五千円などと金額にばらつきがあるが、二百六十九人が従事した『労務』とは一体何か」(文春)

 収支報告書に添付してある領収書のあて名は「林よしまさ選挙事務所御中」となっており、その下には金額を書き込むというすべて同じスタイルだそうだ。

 続いて二種類の業務が記載されていて、携わった方に〇か✓をつける。一つははがき筆耕、もう一つがポスター維持管理費。はて? ポスター維持管理とはどんなことをやるのか? 選挙から約1年後、文春は現地に飛んだ。

「『ポスターの監視なんて、ないない。前回の林さんの選挙でも、しとらんよ。頼まれてもないし』

 そう明かすのは、長門市に住むA氏だ。風光明媚な海沿いの町の住民は、明快な口調で選挙戦を振り返る。

 領収書によると、A氏は「ポスター貼り10/15、10/19」として一万円、「ポスター監視 10/17、10/26」としてさらに1万円を受け取っているはずだが……。

『昔、掲示板に画鋲でポスター貼ってた時代は、雨風でよく飛んでいきよるから、たまに見回ったりしてたけどね。最近のポスターは防水加工で、裏面も全面シール。剥がれたりなんかせん。見回りもしないね』

 こうして『ポスター監視』業務など存在しないと告白。さらに、2日間に亘って従事したとされる『ポスター貼り』についても、

『公示日に二人一組で(ポスター貼りに)回るんですよ。この辺は掲示板が二十六カ所あって、それを二つに分けて、十三カ所。そんなの二時間、いや一時間ね。それで終わり』

 と、実際は一日だけだったとアッサリ認めるのだ」(文春)

 文春は丹念に地元を回り、林陣営の「金配り」の実態と暴いていくのである。

 神戸学院大の上脇博之教授がこう指摘する。

「まず公職選挙法は、公正さを保つためにすべての選挙運動費用の収支を公表するよう義務付けています。故意に虚偽を記載した場合、公選法二百四十六条の『虚偽記入』にあたる。さらに今回のケースでは、実際にはしていない『ポスター維持管理』への報酬としてお金を支払っていたとすると、同時に公選法百九十九条の二が禁じる、選挙区内の者への違法な『寄附』に該当しうる。いずれも法定刑は3年以下の拘禁刑または50万円以下の罰金です」

 文春が林事務所に質問状を送付すると、こう回答したという。

「ご質問の件は、公営掲示板に選挙運動用ポスターを貼付したり、毀損した場合の貼り替えなど機械的労務であり、そのことを選対事務局から事前に説明した上で労賃をお支払いしているところであり、公選法上問題のない支出であると認識しています」

 林総務大臣、進退窮まったかにみえるが……。高市総理はどういう判断を下すのだろう。

 お次も文春。今回のお泊り愛した女性は、父親があの有名なキムタクである。

 Cocomi、本名は木村心美、24歳。長女である。

 母親の工藤静香が手塩にかけて育て、腕前はともかく、フルート奏者として活躍している。

 10月13日の午後8時前、兵庫県加古川市内でのコンサートを終え、駅から快速電車に乗ったCocomiが降り立ったのは、新大阪駅。ここで始まったのが、トトこと木村拓哉が思わず「ちょ、待てよ」と制止したくなるであろう、大人でスイートな恋愛劇なのだった。

 彼女がタクシーに乗ると、すぐに男性が入り込んできたという。お互い、連絡しあっていたのだろう。これだけ見ても2人の仲はただならないことが伺える。

 男はバレーボール日本代表のリベロとしても活躍するSVリーグの強豪「サントリーサンバーズ大阪」の小川智大(29)。ベストリベロ賞やサーブレシーブ賞を何度も受賞した「天才リベロ」だという。

 2人を知る関係者がこう打ち明ける。

「二人は以前から交際しています。期間は二年ほどでしょうか。Cocomiさんは東京で、小川さんは大阪なので、ずっと遠距離恋愛。とはいえ、小川さんは試合で東京に行くことも多く、実家も関東にあるので、折を見て会う時間を作っている。去年の四月には一緒に韓国へ旅行に行ったようです」

 あの厳しそうな母親が、2人のことを知らなかったのだろうか?

 この日、タクシーから降りたCocomiはそのまま小川のマンションへ入った。その後、小川が1人で外に出てくると、近所のドラッグストアで牛乳、ハーゲンダッツ、食パン、納豆等を買って戻っていったという。

 この買い物を見ると、2人がだいぶ長いこと付き合っていて、心を許しあっているのがよくわかる。

 翌日は、小川は歯ブラシ&歯磨き粉、フライパンや花束まで買って、マンションへと帰宅したという。留守を任されたCocomiが部屋の玄関まで出迎える様は、新居に引っ越してきた新婚ほやほやのカップルのようだったそうだ。

 そして4日目、彼女は帰宅するために2人はタクシーに乗り込む。別れを惜しむように、後部座席の2人のシルエットが、時折重なり合ったという。

 文春はいつも通りに小川を直撃。

――Cocomiさんとお付き合いしている?

「……はい?」

――3泊4日、小川さんの部屋に泊まっていた。

「すみません、プライベートなことは出さないようにしているので」

――真剣に交際されているように見えた。

「自分の一言で結構いろんなことが左右されてしまうので、詳しいことはすみません、言えなくて」

――お父さんの木村拓哉さんに挨拶は?

「……。すみません、プライベートなことは」

 文春はなぜか、工藤やキムタクには直撃していない。2人の驚く顔が見たかったのに。もしかして両親も公認なのかな?

 今週の最後の記事は、事件から26年経って犯人が逮捕された「名古屋市主婦殺害事件」を報じた新潮と文春の記事。

 朝日新聞デジタル(10月31日 18時42分)は、「26年前の名古屋の女性殺害、69歳女を殺人容疑で逮捕 1人で出頭」と報じた。

 さらに「県警はのべ約10万1千人の捜査員を投入し、5千人以上の関係者から聞き取りをするなどして容疑者の特定を進めてきた。これまでの捜査では、玄関に残されていた血痕のDNA型鑑定などから、犯人は血液型がB型で、当時40~50代の女とみられていた。靴のサイズは24センチと判明していた。

 2010年の刑事訴訟法改正で殺人事件の時効が撤廃されて、捜査が続いていた。警察庁は20年にこの事件を『捜査特別報奨金』の対象に指定。事件解決につながる有力情報の提供者に最大300万円を支払うことを呼びかけ、情報を集めてきた」(同)

 これほどまで人もカネもつぎ込んできた捜査がなされたのに、なぜ、犯人にたどりつけなかったかったのだろうか。

 安福久美子容疑者(69)は、妻を殺された高羽奈美子(当時32)の夫の悟(69)の高校の同級生だったという。

 動機などはわかっていないが、文春、新潮は、悟と安福容疑者との過去のある事を、詳細に報じている。

 まずは文春から。

「愛知県豊橋市内にある昔ながらの喫茶店で、ひと組の若い男女が向かい合って座っていた。高度経済成長も終わりを迎えた一九九九年のことだ。
男は私立大学の学生で、女は受験浪人中の身だった。
『やっぱり君の気持ちには応えられないよ』
男がそう告げると、女は突然号泣し始めた。店内の他の客から見れば、その様子はよくある男女の痴話喧嘩のようにも見えたかもしれない。だが、男は困惑しつつ内心こう思っていた。
『大学まで勝手に押しかけて来て、なんで泣かれなきゃいけないんだよ……』
それから24年後。女は情念を募らせ、男の妻に対して、刃物を振りかざした――」

 次は新潮から。

「安福容疑者について、悟さんがこう振り返る。

『高校時代、同じソフトテニス部に所属していましたが、印象は“おとなしい”のひと言です。ただ彼女から高校時代に2度、バレンタインデーの時にチョコをもらいました。“好きです”と書かれた手紙を受け取ったこともありますが、私は当時、彼女の親友のことが好きだったため、気持ちには応えられないと断りました』

 安福容疑者の親友に悟さんが告白することはなく、自分の秘めた思いを彼女が知ることはなかったはずだと話す。

 安福容疑者と中高一緒だった同級生に話を聞くと、

『とにかく“地味で口数が少ない”といった記憶しかなく、本当に目立たない存在でした。高校では一緒のクラスになったことがなかったので、今回の報道で初めて同じ高校に通っていたことを知ったくらい、影の薄い女の子でした』

 卒業後、悟さんは同県豊橋市内の大学に進学するが、思わぬ形で安福容疑者と再会することになる。

『私は大学に入ってもテニスを続けていたのですが、ある日、大学のテニスコートに彼女が現われ、何時間も私を待っていたことがありました。名古屋から豊橋までは電車で2時間近くかかるため、このまま帰すのも気がとがめ、とりあえず近くの喫茶店に一緒に入ることにした。確か、その場で“こういうことをされると困るんだ”と言うと、彼女が突然泣き出して困り果てました』(悟さん)

 安福容疑者も県内の別の大学に通い、テニス部に入っていたというが、

『待ち伏せをされた日以外にも、テニスの大会で、彼女が友達を連れて私を応援していたことがありました。まさか犯人だなんて思わなかったので、好意を寄せられていたことを警察には話していませんでした』(悟さん)

 社会人になってから接点は途絶えたが、事件の5カ月前、高校ソフトテニス部の同窓会が開かれた。

『高校近くの店でランチを取った後、皆で懐かしのテニスコートまで歩きました。その途中、彼女が私のそばにやって来て、“私、いまは結婚して、仕事もバリバリやって、家事もしてるから大変なの”と話しかけてきたのです。学生時代の暗い印象とは打って変わり、とても明るい様子だったので、驚くと同時に安心したのを覚えています』(同)」

 妻を殺され、その部屋を事件当時のまま保存するために家賃を払い続け、それが2000万円を超えたという。

 その執念がようやく実り、犯人逮捕に至った。

 事件当時は殺人事件にも時効があり、15年で切れてしまうはずだった。だが夫は、殺人罪の時効を撤廃する運動にも参加し、2010年に刑事訴訟法が改正されたのである。

 警察をしのぐ夫の妻の無念を思う気持ちが、26年という年月を経て、犯人逮捕という“快挙”に結び付いたのだ。

 だが、1点、腑に落ちないところがある。

 延べ10万人もの捜査員を注ぎ込み、長い歳月をかけたのに、身近にいた犯人に辿り着かなかったのはなぜなのだろうか?

 新潮で県警OBがこういっている。

「殺人罪の時効が撤廃されたことを受け、愛知県警にも長期未解決事件を扱う特命捜査係が設置された。すべての物証の見直しを行いましたが、実は“土地勘のある者”という絞り込みを徹底していなかった。そのため現場からも遠くない悟さんの出身高校の関係者をつぶし切れなかったのです。また当時、アパートからの徒歩での逃走経路に防犯カメラが設置されていなかったことも影響しました」

 夫の悟もいっているように、まさか犯人だとは思わなかったので安福のことを警察には話さなかったのだろう。

 しかし、冒頭、両誌によると、安福が悟に片思いをし、断られると号泣したというのだ。

 この報道が事実なら、なぜ、このような重大な「事実」を警察に話さなかったのだろうか? 妻に殺される理由がなければ、それに、犯人はB型の女と事件当時からわかっていたのだから、当然、「怨恨」の線で捜査がなされたのであろう。

 もちろん、流しの犯行という線もあり得たが、夫に恨みを抱く人間、それも、当人ではなく妻を殺めるという人間が、そう大勢いたとは考えられないのだが。

 片思いを断られながらも、ストーカーまがいの行動をとったことのある同級生の女性。

 私のようなモテない男は、そんなことが過去にあったら、多少ボケた今でもはっきり記憶していると思うが、この夫は、よほどモテたので、そんなことは忘れ去ってしまっていたのだろうか?

 被害者の夫に落ち度があったと思っているわけではない。だが、この事件報道を読む限り、なんとなくそこが引っかかるのだが。

 「安福(やすふく)久美子容疑者(69)=同市港区=が、愛知県警の取り調べに黙秘をしていることが10日、捜査関係者への取材でわかった」と朝日新聞デジタル(11月10日 13時06分)が報じている。

 彼女がどのような動機で犯行を犯したのか、一日でも早く知りたいものである。(文中敬称略)

(文=元木昌彦)

元木昌彦

編集者。「週刊現代」「FRIDAY」の編集長を歴任した"伝説の編集者"。

元木昌彦
最終更新:2025/11/11 15:00