サナエ劇場の裏で“この国のかたち”はどこへ向かうのか ~週刊誌を読み解き見えてきた、日本政治と世相の“危険水域”~
ところで、26年もかかった「名古屋市主婦殺人事件」がようやく解決した。だが、これほどの年数がかかった理由を一言でいえば、愛知県警と西署が、犯人は妻の交友関係にあると絞り込み過ぎて、夫の高羽悟の交友関係にほとんど目を向けようとしなったからだった。
サンデー毎日で被害者の夫の高羽悟(69)は、こう話している。
事件当初から、警察は高校のテニス部の名簿を押収していたが、悟は、「26年間(警察から=筆者注)聞かれたこともないから、彼女はシロだとしか思っていなかった」
テニス部の名簿には当然だが、安福の顔写真も載っていたはずである。だが、信じがたいことに警察はその名簿を25年もの間、手つかずに放置してきたようなのだ。
やはり、警察の捜査への不信感のようなものを抱いていたのであろう悟は、自らが事件解決に向けて動き続けた。
事件が起きた家からは移り住んだが、転居後も惨劇の舞台となった部屋をそのまま保存し続けた。家賃は2200万円を超えたという。
「『(犯人が=筆者注)絶対に枕を高くしては寝させないぞ』という思いで毎年、命日や警察の300万円の懸賞金の更新の2月6日にはチラシ配りやマスコミ出演でプレッシャーをかけ続けた」(サンデー毎日)
その中で悟は、こう警察不信を覗かせている。
「警察がビラを作ったのは事件から10年後。普通は3~4年目には作りませんかと言ってくるそうです。(中略)『もっとやってよ』って言うべきでしたね。
想像もしてなかったけど安福久美子のことも言っておけばよかった。警察は同級生やテニス部からもかなり聴取したようです。
警察は私に『大学に来ていたことなどをマスコミに話さないでください』とか言いながら、安福容疑者の供述内容などを私は報道で知り、警察は教えてくれないので苦情を言いましたよ。まあ、事件当時も血痕がB型だなんて全部報道で知りましたからね」
オブラートに包んだ表現ではあるが、警察の捜査のやり方や秘密主義に、相当な怒りを持っているように、私には思える。
被害者の夫の「犯人を捕まえずにはおかない」という不屈の執念に比べて、警察側のお粗末な捜査が細々と続いてきたようだが、
「実は、事件が解決に向けて一気に動いた要因の一つには、昨年四月、担当刑事が代わったことがあった。
再び悟がこう語る。
『坊主頭で少し強面の、新しい刑事さんがやって来て、「私がいる間に絶対に犯人を捕まえます」と宣言したんです』
捜査一課・特命捜査係の警部は、保管されている資料を精査。『詰め切れていない女がいるはず。1つ1つ潰していきます』と、再捜査を進めていった。
今までの捜査員とは雰囲気が違った。連絡も小まめで、過去の資料を持ってきては、悟さんに何度も『この人の連絡先を知らないか』と確認していった。
そして遂に今年の夏頃、安福に行きついたのだ。
『テニス部の名簿を刑事さんから見せられたのもちょうどその頃でした』(同前)
県警は安福の事情聴取を繰り返し、DNAの提出を求めた。当初は拒否していたが、10月30日に提出に応じ、数時間後に西署に出頭。現場のDNA型と一致したため、逮捕に至った」(文春)
捜査員が代わらなければ、まだ細々と捜査は続けられていたのだろう。
最大の疑問は、どの新聞、週刊誌報道を読んでも、事件の起きた当初から、被害者の夫である悟から警察は、「あなたが狙われた可能性もあるから、これまでの人生で、女性とトラブったことはありませんでしたか? どんな些細な事でも構いません。思い出してください」と聞いていないのはなぜなのか?
もし聞いていれば、悟は、高校の同級生で同じテニス部だった安福久美子との間で起こった「過去」を話していたはずである。
それはサンデー毎日の悟のこの言葉からも窺い知れる。
悟は、昨年4月に代わった担当刑事から、今年10月31日に西署へ呼ばれ、「今夜犯人を逮捕します」と告げられたという。
「誰ですか?」と聞くと、「悟さんの関係者です」といわれ、即座に「高校の同級生。軟式テニス部」とピンと来たそうだ。
普通、こうした長期にわたる捜査で、ようやく犯人を突き止めた時などは、「警察、執念の捜査実る!」のような大見出しが躍るものだが、私が知る限り、警察のお手柄だと報じたところはないようだ。
警察といえど人間の集団である。間違いも犯せば判断ミスもある。しかし、この事件は、土曜日の昼に起こったのである。夫の悟も在宅していた可能性が高かったはずである。妻に危害を加えようとしたのかもしれないが、夫のほうも被害者になったかもしれないのだ。
捜査員たちに尋ねてみたい。なぜ、妻の関係者ばかりに重点を置いて捜査したのかと。
お次は、先日、洋上風力発電プロジェクトからの撤退を発表して、世の批判を浴びた三菱商事の奇妙な疑惑のお話である。
文春によればこうである。
「昨年十二月四日、米国のブルームバーグ通信は、三菱商事が、中国人トレーダーが関与した疑いのある銅の不正取引で、百三十八億円の損失を被ったと報じた。
トレーダーの名は、ゴン・ファユン(龔華雍)。上海に拠点を置く三菱商事の傘下企業『三菱商事RtMチャイナ』の社員だったが、銅取引について重大な背任行為が認められたことから懲戒解雇処分を受け、すでに中国の公安当局に刑事告訴されているという。
三菱商事関係者が明かす。
『彼は現地の銅取引の業界では知られた存在でしたが、昨夏から家族とともに中国を離れているようです。三菱商事は、昨年十一月に公表した七月-九月期連結決算で、すでに「中国関連取引損失」として百三十八億円を計上していたが、その内情の一端が報じられた形でした』」
しかし、文春が調べてみると、このゴンという人物、家族とともに日本に移り住み、マンションなどの不動産を数々購入し、悠々自適に暮らしているというのである。
はて? いったいどうなっているのか?
ゴンや彼の妻が代表を務める会社の所在地に、彼らはいなかった。
第一、 三菱商事に刑事告訴されている身で、日本で動き回れるのだろうか。
そしてようやくゴンが大阪にある弁護士事務所で話をしてくれたというのだ。
「取材の冒頭、同席した弁護士はまずこう説明した。
『私が調べた限り、ゴンさんが中国国内で刑事告訴された事実はなく、捜査もなされていません』
そしてゴン氏本人は、神妙な面持ちで、『三菱商事の中国での銅取引は、個人の一存で何かできるようなシステムになっていない』と話し、ホワイトボードを使って詳細に解説を始めた。
それによれば、三菱商事が他企業と取引を開始する場合、まず『顧客登録』が必要で、ゴン氏がチームリーダーを務めていたフロントデスクから始まる三段階の工程があり、さらにリスクマネジメントチームやCFO、総経理の審査が不可欠。その後は、二度の現場訪問や「限度申請」と呼ばれる取引条件の厳しい審査が幾重にも待ち構えている。しかも、顧客登録は半年に一度、限度申請は1年に一度更新の必要があり、個人の裁量が入り込む余地はないという。ゴン氏が続ける。
『そもそも私は昨年九月十六日に退職届を出し、九月二十三日に人事担当からそれを認める通知も得ている。ところが、辞めた後に、誰も住んでいない上海の自宅に一方的に懲戒解雇の文書が投函されていたのです』」
彼が買ったマンションは、三菱商事からの給与と妻の給与、資産家の父親から譲渡された金で十分買えたといっている。
一方、当事者である三菱商事は、「三菱商事は刑事告訴しており、捜査中のためコメントを差し控える」(広報部)と答えるのみだったという。
奇妙な話だが、凋落気味の三菱商事には、まだまだこんな話がいくらでも出てくるのかもしれない。
久々、秋篠宮紀子さんの登場である。
新潮によれば、秋篠宮家のお世話をする皇嗣職のトップである吉田尚正大夫(65)と両殿下の間に看過できない溝が生じ、ついには“招待状事件”にまで発展、吉田氏の退任説が流れているというのだ。
「2024年2月に皇嗣職大夫に就任した吉田氏は、西村泰彦宮内庁長官(70)と同じく警察官僚出身で、ともに警視総監まで上り詰めている。
『西村長官は6月に70歳を迎えました。長官や侍従長、皇嗣職大夫などの特別職は定年が定められていませんが、70歳が目安とされており、間もなく長官も退任します。さらに、重職を担う吉田大夫にも目下、退任説がささやかれているのです。実際に秋以降、その去就は複数のメディアで報じられている。宮内庁に入る際は警察庁の先輩である西村長官の強い勧めもあったといい、その長官が辞めるタイミングで身を引くのでは、というのが根拠の一つになっています』(宮内庁担当記者)
仮に就任から2年足らずで皇嗣職トップが去るとなれば、紛うかたなき異常事態である。吉田氏が22年に就いた非常勤職員である宮内庁御用掛の座から一気に側近トップへと昇格したのは、取りも直さず秋篠宮ご夫妻のご期待の表れであろう」(新潮)
しかし、さる皇嗣職関係者が、吉田大夫と秋篠宮夫妻とは良好な関係ではないと話す。
「吉田さんが御用掛に就いたのは、小室さんの問題が尾を引き、秋篠宮家への批判が沸き起こっていた時期でした。当時の加地隆治大夫は、いわばご夫妻のイエスマンで、騒動を収めるすべもなかった。
すでに後任は吉田さんに内定しており、吹き荒れるバッシングを鎮める役割が、周囲から期待されていました。吉田さん自身、ご一家の置かれた状況を改善したいとの思いから、兼職が可能な御用掛の期間も、民間での役職を投げうって宮家の仕事に専念してきたのです」
そんな吉田大夫は、秋篠宮夫妻に「このようにしたらいかがでしょうか」と様々提案してきたというのだが、それが疎まれる原因になったのだろうか。
特に、紀子さんからの覚えがめでたくないというのである。
そんな“関係”を如実に物語る出来事が、つい先頃起きていたという。皇嗣職関係者がこう続ける。
「悠仁さまのご成年に伴う行事を締めくくる『昼食会』が、秋篠宮ご夫妻の主催により9月10日、東京・明治記念館で催されました。三権の長や筑波大の学長など30人以上が招待され、和やかに進んだのですが……」
招待客には事前に、宮家からご案内の書状が送られていたそうである。
「その招待状は、本来であれば皇嗣職トップの吉田さんが差出人となるはずが、実際には御用掛の長嶺安政さん(71・元最高裁判事)の名で送付されていたのです。もともとは吉田さんの名で事務方が準備していたのですが、直前になって秋篠宮ご夫妻から長嶺さんの名にするようご意向が示され、変更されたのです。異変に気付いた職員が、吉田さんを気遣って『これで大丈夫なのですか?』と声をかけたところ、自身に関することでもあり、言い出しにくそうな様子だったといいます」(同)
あらためて宮内庁に、招待状が長嶺氏の名で送付されたかどうか尋ねたところ、
「事実です」(報道室)
あっさり認めながらも、
「各種行事の招待状の内容については、差出人の名義を含め特段の決まりはなく、皇嗣職として、行事の内容などを踏まえて決めているものです」
と付け加えたという。
秋篠宮紀子さんは従業員ともうまくいっていないという話が度々漏れ聞こえてくる。そのうえ、秋篠宮家のスポークスマンである皇嗣職大夫までが離れてしまったら、これから大事な時期に入る悠仁さんにとってもいいことではないだろう。秋篠宮家の憂いは深し秋過ぎ行くか……。
さて、林芳正総務相の「選挙買収」追及の第2弾。
林は、この問題を会見で問われ、
「公選法に則って適正に対応していかなければならないということは、言うまでもない。国民の皆様に疑念を招くことのないように、引き続き法令に則った適切な対応を徹底していくことが重要と考えており……」
と答えた。
しかし文春は納得しない。
萩市内の別の支部幹部の女性も内実を明かしたという。
「選挙の二、三日前に、萩の林事務所にいる秘書さんが、『今年はこのくらいで』とまとまったお金を支部に持ってくるんです。何をしてはいけないとも、特に言われなかった」
彼女によれば、選対本部が選挙区内各地の自民党支部に、労務費の総額を先に決めて配分。受け取った支部長が住民らに労務を依頼し、報酬額を決め、支払い後に領収書に記名してもらうという。
『有権者にサインしてもらった領収書を、選挙が終わって数日後くらいに秘書さんに渡します。秘書さんが本部まで持って行ってくれます』(同前)
労務者も内容も未定で総額を先に渡すこと自体が異常だが、支部幹部クラスは、この金の流れは『長年の慣習』『昔から』と口々に言う。
以上を総合すると、林氏を頂点とするピラミッド型の陣営では、陣営中枢から各地の責任者に『労務費』をまず配分。その過程で選挙運動も頼んだ、または選挙運動をしても構わないと示した疑いがある。組織的関与が見て取れるのだ」(文春)
ここに「政治とカネ」の原点があることは間違いない。
お次は、あのトランプ大統領をぎゃふんといわせた新しいニューヨーク市長、ゾーラン・マムダニ、34歳。
20世紀以降としては最年少。南アジア系で両親はインド系。5歳までアフリカのウガンダで育った。そしてイスラム系で、イスラエルのガザ戦争に強く反対している。
初物尽くしで、しかも、アンチ・イスラエル。金持ちのユダヤ人が多く住むニューヨークで、よくこのような人物が市長に選ばれたものだ。
しかも前の州知事であったアンドルー・クオモに勝ったのだ。
こういう先例なら、日本でも起きてもらいたいものである。
ニューズウイーク日本版は、マムダニが勝った理由を分析している。
ライバルになったクオモの汚職やセクハラ疑惑が追い風になったこともあるが、「物価や家賃の高騰など、生活に密着した問題に焦点を絞ったマムダニの選挙戦術も有効だった」「インスタグラムなどの動画系SNSでは圧倒的な存在感を示し、自分と同じ若い世代の共感も得ていた」などなど。
しかし、地元の有力紙ニューヨークタイムズによれば、マムダニは「稀有な聞き上手」だという。
「インタビューを受けても、彼は質問に答える前に20秒ほど沈思黙考することが多い。そして6月の民主党予備選でクオモを抑えて勝利した後には、市内の財界・文化界の有力者に片っ端から面会を申し込み、自分に反対票を投じた理由を聞きだしている」
まさに民主主義の基本を絵に描いたようなアプローチだと讃え、「政治哲学で言う『熟議民主主義』(大事なのは投票に先立つ討議だとする考え方)を、マムダニは実践している」という。
熟議という言葉自体は少し前に流行ったが、この国には定着していない。やはりアメリカは、懐が深い。トランプ大統領のようないかがわしい人間からマムダニのような熟議、熟慮する市長も輩出するのだから。
ここから高市早苗に関する三大特集をドド~ンと放出しよう。
まずは、日本最大の圧力団体の一つである日本医師会の要求を高市総理は拒むことができるのかという文春の特集。
日本医師会の主体は開業医で、彼らは2年に1度行われる「診療報酬の改定時期」に、引き上げさせるために自民党の有力議員たちに 多額の献金を行ってきた。
この記事を書いている東京新聞編集委員・杉谷剛によると、
「毎回12月の予算編成時に決まる診療報酬改定率は、22年度も24年度も、厚労・財務の両大臣折衝で決まらず、最後は官邸に持ち込まれ、岸田文雄氏による『首相裁定』で決着した。
22年度改定の際、日医連は岸田氏側に1000万円の高額献金をしていた。その前後、日医連とダミーの政治団体が副総理兼財務相(当時)の麻生太郎氏率いる麻生派にも計5000万円の巨額献金をしていた」
というのである。
文春によれば、奈良県の医師会のドンといわれる安東範明会長が「高市早苗議員を内閣総理大臣にする奈良の会」の会長を務めていたそうだ。
またこんなことがあったという。
「二十三年の五月下旬、政府の経済財政諮問会議が毎年策定する『経済財政運営と改革の基本方針』(骨太の方針)の文言をめぐり、日医連から各都道府県医連に『至急のお願い』として『地元自民党国会議員への働きかけについて』という文書が届いた。
そこには『地元選出の自民党国会議員へ、早急に別添の日本医師会の主張をご説明いただき、会議での発言等をお願いし、その実現を強く働きかけていただきますよう』とあった。
奈良県医連は日医連のお願い文書を添付し、安東委員長名の『自民党政調全体会議におけるご発言について(ご依頼)』という文書を地元の各議員に送った。
すると、先に述べた高市氏のサイン入りの返信(写真アリ=筆者注)がすぐに届いたのだ。そこには、『先日に書状を賜り、早速、厚生労働省に話をしました』『自民党としても、政府に対して、令和6年度診療報酬改定における大幅な引き上げの実現を求めていきます』などとあった。
『一番理解してくれた』
こうした文書が表に出るのは珍しい。有力議員が支援団体の利益確保のために省庁に働きかけた口利きの証拠文書に他ならないからだ。
骨太の方針の原案には、『患者・利用者負担・保険料負担の抑制の必要性を踏まえ、必要な対応を行う』とあったが、最終形は『抑制の必要性』が削除され、『影響を踏まえ』と大きくトーンダウンした。医師会が、高市氏を始め全国の自民党議員に働きかけたのが功を奏した格好だ。
この半年後の23年12月に決まった24年度の改定率は、プラス0.88%(4300億円)と、前回22年度改定の0.43%を大きく上回った」
医師会側は高市総理は理解してくれていると信じ、献金もしている。
だが今年は状況が変わった。「医療費を4兆円削減して現役世代の保険料負担を年6万円減らす」と公約に掲げる日本維新の会と連立してしまったからだ。
果たした高市総理は、どちらを選ぶのか?
次はポストから。
高市総理は、「台湾有事は日本有事」「外国人規制強化」などタカ派色をますます強めているようだが、ポストは、その総決算として、「臨時国会終了後、総理は靖国神社を電撃参拝するつもりだ」という話が自民党と高市支持派から流れているというのである。
高市は、これまで靖国神社の春と秋の例大祭、8月15日には、靖国参拝をほぼ続けてきた。
だが、10月17日からの秋の例大祭には参拝せず、玉串料を納めた。
トランプ大統領らとの首脳会談を終えた今、自分が靖国神社へ参拝すれば、ガチガチの保守層へのアピールは台湾有事発言をしのぐ多大なものになると考えたのか。
Xデーは、ポストによると12月26日。高市の尊敬する安倍晋三元総理が、首相に返り咲いてちょうど1年目の2013年12月26日に靖国神社を参拝した、その日である。
当時、高市は安倍に自民党政調会長に抜擢された。
今一つは、小泉純一郎が総理時代、靖国に毎年参拝したが、2004年元日に靖国神社を参拝していた。その元日の朝という見方もあるようだが。
それを止められるのは、安倍の靖国参拝を止めようとした総理首席秘書官兼首相補佐官で、現在は高市が三顧の礼で迎えた特命担当の内閣官房参与、今井尚哉ではないかとみている。
しかし、今回は、高市総理は何が何でも行く気だそうだ。それは、トランプ大統領が靖国については何もいっていないからだ。
そして、1月国会の冒頭解散。サナエ流衆院選爆勝方程式通りになるのだろうか?
今日(11月17日)の朝日新聞は、「高市内閣支持69% 歴代屈指の高さ維持 物価高対応評価 朝日世論」と報じている。
物価高対策に熱心なように見せかけているからだろうが、高市総理としては、この高い支持率のまま解散・総選挙へ雪崩れ込みたいという思いは強いだろう。
では、本当に選挙になったら、どうなるのか? 文春がやってくれました。
この選挙予測が、今週最後の特集。
文春編集部と政治広報システム研究所代表の久保田正志が全289選挙区の当落を完全予測したそうだ。
「過去、発足時に高い支持率を記録した政権が解散した際の選挙結果に照らせば、自民の圧勝は固い。さらに“サナエ人気”が驚異的なのは、就任から一カ月近く経っても支持率が上がっている点です。もし今、解散すれば、『小泉劇場』と呼ばれた二〇〇五年の郵政選挙に匹敵するイベント性の高い選挙になるでしょう。投票率は、政権交代のきっかけとなった〇九年衆院選以来となる六〇%超えも見えてきます」(政治部デスク)
若者層からの支持率の高さも高市政権の特徴だという。JNNの世論調査によれば18歳から29歳の支持が最も高く、88%。男女別では男性が81%、女性が83%とやや女性が高い。一方、自民の政党支持率はいまだ横ばい。ということはサナエ個人の人気がすごいということか。
「若者や女性からの支持に加え、イベント性の高い選挙であることを踏まえれば、サナエ人気が自民の支持を底上げするでしょう」(同前)
鍵を握るのが無党派層だ。
「昨年の衆院選と今夏の参院選では自民が歴史的大敗を喫し、自公で過半数割れとなりました。この時の各社の出口調査や各種調査データを分析すると、無党派層の票が、昨年の衆院選では立憲に、今年の参院選では国民民主や参政に大きく流れたことが分かる。これらの無党派層は、もともと自民に投票していた人たち。こうした層が高市首相への期待感で自民支持に回帰すると見られます」(同前)
公明との連立解消で、支持母体である創価学会票が自民から剥がれることを懸念する声がある。報道各社は公明票が減った場合の自民獲得議席への影響を試算し、中には「最大50議席減」(日本テレビ)という試算もあったのだが。
「組織票よりも無党派層の方がはるかに影響力が大きい。自公連立解消で自民が議席数を減らすことにはならないでしょう」(同前)
恐ろしいほどのサナエ人気だが、私も含めて、彼女の考えている国のビジョンや経済再生の道筋は、いまだ見えてこない。
まあ、見えないうちにやってしまえというのが本音なのだろう。
その結果は、高市の思惑通り、自民党の大勝だというのである。
自民は現有議席から小選挙区で31、比例区で14議席を上積みし、合計241議席。単独過半数(233議席)を8議席上回る試算となったというのだ。
高市自民とは対照的に、首相指名選挙で足並みを揃えられなかった野党は、概ね議席減の見通しだという。
野党第一党の立憲は野田佳彦代表が存在感を発揮できずに埋没し、現有議席の148から43減の計105議席。
国民民主は、玉木雄一郎代表が次期首相候補に浮上しながらも“日和った”姿勢が支持率に大ブレーキをかけ、予測は1議席減となった。
そんな中、特筆すべきは参政党の大躍進だ。11月9日投開票の東京都葛飾区議選で、参政の新人候補が次点に2000票近く差をつけてトップ当選したことも話題となった。今回の予測でも小選挙区ではゼロ議席だが、比例で得票を伸ばし、現有の3議席から約6倍増の19議席獲得という結果になったというのである。
「前述の調査データでは、野党の中で唯一、参政が全国での支持率を維持している。参院選以降も勢いは衰えていません」(同前)
衆院選後は自民党と参政党が連立か? そんなに急にこの国に極右政党ばかりできて、どこへ向かおうというのか? 日中戦争は近い? 嫌だ嫌だ。(文中一部敬称略)
(文=元木昌彦)
