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「世界中のアニメ産業をつなぐ一大ハブを名古屋に」12月に初開催『ANIAFF』が描くアニメーションの未来とは?

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 長編アニメーションに特化した国際映画祭『あいち・なごや インターナショナル・アニメーション・フィルム・フェスティバル(ANIAFF)』が、12月12日(金)より6日間にわたって、愛知・名古市内で開催される。先行する『新潟国際アニメーション映画祭』の創設にも携わったジェネラル・プロデューサーの真木太郎氏らに、新たな舞台として「名古屋」を選んだその狙いと意義をうかがった。

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▲左からジェネラル・プロデューサーの真木太郎氏、フェスティバル・ディレクターの井上伸一郎氏、アーティスティック・ディレクターの数土直志氏

「今年は名古屋でもアニメの映画祭をやるらしい」。その一報を聞いたときにまず頭に浮かんだのは、「すでに新潟があるのに、なんで名古屋?」という素朴な疑問だった。

 確かに、かの地ではコスプレに特化したイベントとしては世界最大級の『世界コスプレサミット』が2003年から開かれているし、隣接する長久手市では、『愛・地球博記念公園』の敷地に、22年に開業した『ジブリパーク』も人気。アニメとの親和性がもともと高い土地柄には違いない。

 だが、そうした文化的なバックボーンを有するのは、新潟も同じ。輩出したアニメ・マンガ関係者の多さという部分も共通する。ではなぜ、いま愛知であり、名古屋なのか──。

 新潟の創設メンバーでもあったジェネラル・プロデューサーの真木太郎氏が言う。

「もちろん、文化的な素地では新潟も決して引けは取らない。過去3年間を新潟でやってきた僕らとしては、今回のANIAFFもこれまでと“地続き”という思いではいるんです。ただ、映画祭自体の継続性を考えると、県や市といった自治体が最初から主体的に関わってくれるというのは、やっぱり大きい。サブカルチャーに対する理解と実績が、他とはまるで違うと言いますか。くだんの『コスプレサミット』も、実行委員会には外務省と並んで、愛知県と名古屋市も入っていますからね」

 そんなANIAFFの大きな目玉のひとつが、「アニメーション界のアカデミー賞」とも称されるアニー賞との正式コラボだ。同賞を運営する国際アニメーション映画協会(ASIFA−Hollywood)からは、エグゼクティブ・プロデューサーを務めるオーブリー・ミンツ氏が来日。国内外から選りすぐられた11作品で競われる国際コンペティション部門の審査員にも名を連ねる。

 北米での記録的ヒットも話題の『劇場版「鬼滅の刃」無限城編 第一章 猗窩座再来』や『劇場版「チェンソーマン レゼ篇」』を引き合いに、フェスティバル・ディレクターの井上伸一郎氏がこう続ける。

「両作品のヒットもあり、日本のアニメーションに対する評価はかつてなく高まっていますが、それに比して、日本のアニメ業界とアニー賞のような海外との関係性はまだまだ薄い。そうした海外とのパイプを太く強くする“交流の場”を提供するのも、この映画祭が担うべき大事な役割のひとつだと思っています。いろんな人に会ったり、いちどきに作品を観たりするのに、映画祭ほど効率的な機会もそうはない。関係者の方々にも、ぜひうまくANIAFFを活用してもらって、ゆくゆくは世界中のアニメ産業をつなぐ一大ハブにしていきたい。それこそ、“西のアヌシー(※)、東の名古屋”と言ってもらえるぐらいにまで成長していけたらいいですね」

※アヌシー国際アニメーション映画祭(フランス)。カンヌ国際映画祭から独立する形で、1960年に創設。アニメ特化の映画祭としてはもっとも長い歴史をもつ。

 また、今回のANIAFFから新たに始まる試みでは、クリエイターやプロデューサーらの作り手が自ら作品のプレゼンを行い、出資を募ることができる「企画マーケット(ピッチマーケット)」も興味深い。ここで実際に資金を得て制作された作品が、コンペ作品として“凱旋”するなんて流れができれば、これから世に出る若き才能たちにとっても、大きな希望となりそうだ。

「一朝一夕にはいかないとは思いますが、そうなればまさに理想的。企画実現までのプロセスにバリエーションがあまりない現状から、少しでも間口を広げるのが、僕らの目指すところでもありますしね。映画祭であれば、国内だけでなく海外の出資者とのマッチングも容易にできる。申請のあった企画のなかにはパイロット版もまだない、コンテや企画書段階のものもありますよ」(真木氏)

 一方、多彩なゲストの来場も予定されている映画祭ならではのプログラムでは、最新作『果てしなきスカーレット』も話題沸騰! 細田守監督のフィルモグラフィから11作品の特集上映がすでに決定。他に、ご当地・日進市の出身で『ONE PIECE FILM RED』や『コードギアス』シリーズで知られる谷口悟朗監督のオールナイト上映なども組まれている。

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特集上映では、細田守監督ご本人の来場も決定/撮影:神藤 剛

 プログラムを統括するアーティスティック・ディレクターの数土直志氏の狙いはこうだ。

「ひとりの作家の“変化”を追っていくというのも、こうした特集上映だからこそできる楽しみ方。これまでの細田作品とはキャラクターデザインもガラッと変わった“スカーレット”を観てから、テーマ的には近い『時をかける少女』なんかをあらためて観れば、また違った発見もきっとあると思うんです。一方、今回は初期代表作『スクライド』など3作品をかける谷口監督も、過去には『ジャングル大帝~勇気が未来をかえる~』も手がけるなど、その作品遍歴は幅広い。当日のトークショーではそのあたりを含め、いろんなお話をたっぷりお聞きしたいと思っています」

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©サンライズ

 なお、コンペ部門にノミネートされた海外勢8作品のうち、7作までもが、本邦初公開となるジャパンプレミア。映画祭全体のオープニングを飾る韓国の新鋭キム・ヨンファン監督の『Your Letter』も、国内では初お目見えと、そのラインナップには新鮮な顔ぶれが数多く並ぶ。

 コスパ重視の世のなかだからこそ、イレギュラーな予期せぬ出会いを──。世界各国から集いし気鋭のクリエイターたちの情熱が、12月の名古屋を熱くする。

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オープニング作品『Your Letter』のメインビジュアル

<インフォメーション>
『あいち・なごや インターナショナル・アニメーション・フィルム・フェスティバル』
日程▶2025年12月12日(金)~17日(水)
主要会場▶ミッドランドスクエア シネマ、109シネマズ名古屋ほか

公式サイト:https://aniaff.com
X:https://x.com/AichiNagoyaIAFF

最終更新:2025/11/25 14:00