『台湾有事』発言の余波から愛子天皇論まで 週刊誌が煽る“日本の分岐点”
お次は文春から連続3本。
まずは、日本維新の会の藤田文武共同代表の公金流用疑惑からいこう。
「しんぶん赤旗日曜版」がスクープした藤田代表が自身の公設秘書を務める人物の会社、リ・コネクト社にビラ印刷代など約2千万円を支出していた報道は、もはや疑惑ではない。
しかし文春がさらに調べると、
「リ・コネクト社に支出していたのは、藤田共同代表が代表を務める政党支部『日本維新の会衆議院大阪府第十二選挙区支部』。同支部の二十一年分の収支報告書には、他にも目に留まる記載がある。
『機関紙誌印刷代』として株式会社デザインビレッジ(以下、デザイン社)に計八件の支出があり、総額は五百六十九万二千百二十円に上る。同社登記簿の目的欄には〈広告代理店業並びに広告デザインの企画及び制作〉〈ポスター、カレンダー、パンフレット等の印刷物の企画、制作、製造および販売〉と記されている。だが公式HPは存在せず、その業態は判然としない。
現在、同社の本店住所に記されているのは、大阪市内のシェアオフィスだ。小誌記者が当該住所を訪れるも、従業員を見つけることはできず、ビル関係者に尋ねると、『顧客に住所地として貸し出しており、いわゆるバーチャルオフィスとなっている』旨を説明された。どこでポスターなどの印刷物を製造しているのか」(文春)
このデザイン社は21年8月まで大阪市内のマンションの一室に本社登記がされていたという。所有者欄に「藤田暁」と記名されているという。
これは、
「大阪維新の会の藤田あきら大阪市議です。デザイン社は藤田市議の関係企業なのです」(大阪市政関係者)
はて? 藤田市議とは、どのような人物なのか。
「12年に初当選。現在3期目で、日本維新の会の広報局長を務める。維新政治塾の1期生で藤田共同代表とは同期。かつて藤田共同代表がブログに〈W藤田でユニット組もうかと思っています。笑〉と書き込むなど、2人は盟友なのです」(全国紙記者)
前出の維新関係者は、
「候補者側は『公選法に詳しい会社』という触れ込みでデザイン社を紹介されていた。藤田共同代表の知り合いの会社という認識だった」
と話している。
藤田市議に問い合わせると、デザイン社との関わりは認めるものの具体的なことは明言しなかった。
そこで文春は、さらに取材を進めるとこんな事実が浮かび上がったというのである。
「別の維新関係者が衝撃の事実を明かす。
『設立時から昨年四月まで同社の代表を務めていたA氏は藤田市議の姉なのです。デザイン社は事実上、藤田市議の会社ですが、自身の名前が前面に出ることを避けるため、姉に代表に就いてもらっていた。A氏は結婚して苗字が変わっているので、登記簿上も藤田市議との関連性は一見わからない。いわば、姉を隠れ蓑にするかたちで維新から自身にカネを還流させていたことになります』
再度、姉がデザイン社の代表を務めていたことについて藤田市議に電話で尋ねると、A氏が『姉』であることについては答えず、ひたすらこう語るのだった。
『家族であったとしても法令や内規に反していないことは変わりません。A氏など社のメンバーは法律の範囲内でやっています』」
やはりこの方に登場願うしかないのだ。
「政治資金に詳しい神戸学院大学の上脇博之教授が指摘する。
『維新の会の議員が関係している企業に同党の議員らが政治資金を支出している構図は、価格が適正かどうかも含め、合理的な説明がなければ『身内への政治資金の還流』と受け取られても仕方がありません。公金が含まれていることから、なぜ市議の関連会社に業務を発注したのか、維新には説明責任がある。今回の事案は、リ・コネクト社であったような手口が、維新内部で蔓延している可能性が高いことを示しています』」
藤田代表は共同代表を辞するべきである。
文春が告発した林芳正総務相の選挙買収疑惑は、上脇教授が林の選挙区のある近隣で、「特別刑事部」のある広島地検に告発を検討中だという。
高市政権の中心人物たちが続々辞任ということになるのだろうか。
女はしぶといなどといったら、当世、女性差別だと金切り声を上げられるのだろうが、伊東市の市長だった田久保眞紀は辞任したが、市長選に再出馬するというし、男性市役所職員とラブホへ行った小川晶前橋市市長も、「ラブホへ入ったが何もしてない」と抗弁を繰り返し、自ら辞任しようとはしない。
文春は、小川市長が「釈明会見」を開いたというが、マスコミを排除して、そこで小川が語ったことに新味はあったのだろうか。
前橋最大のお祭り「前橋まつり」に市内が沸く11月11日、支持者らのフェイスブックで「一連の騒動について 市長に直接聞いてみよう!」と銘打った「対話会」のお知らせが拡散されたという。
告知によると「対話会」は午前と午後に計6回実施。各回20人ずつの参加者を募り、注意事項として「前橋市外の方、マスコミの方はご遠慮ください」とあったそうである。
会場は急遽、ホテルに変更になり、会場では「住所が確認できる身分証明書が必要です」という厳戒態勢。
文春はあえなく退席させられ、出てきた参加者に話を聞いたそうだ。
小川支持者の女性はこういう。
「自民党王国だった群馬を変えてほしい。無関係なことで市政を止めるようなことをしないでほしい。事実はわかりませんが、一度の失敗で再起不能になるような社会ではなくあってほしいです。中には、『これまでも市長を応援してきた』『反省して頑張ってほしい』と自分の考えを述べながら、涙を流す方もいました」
別の時間に参加した男性は、
「――ラブホ密会についてはどう考えているか。
『公務とは直接、関係ないですからね。市政に関しては小川さんは悪く言われたことはないはずです。これからも続けてほしいですね。農業をやっている高齢の男性だったかな、その方も「小川市長に期待をしている」と発言していた。「あなたくらいいい人はいない」と、自分で話しているうちに感極まって涙を流していました』」
支持者を多く集めたようだ。
別の高齢女性も、
「――では、不倫関係にあると思う?
『思いません。下品ねえ~。そういう場所であることは、わかりますけど、それ(不倫は)ないだろうと思いました。私はなぜかそういうことがあるとは全然思えなかったです。普段自分が頼っている秘書課長さんとの間に信頼関係があったのかなと、相談に乗ってもらって、さよならと帰ったと。それを十何回もした。そういうところに度々足を踏み入れる、その神経はわからないですけどもね』」
この「対話会」に先立って、SNSでは小川市長を応援する声が相次いだという。11月7日には小川市長の続投を求めるオンライン署名も立ち上がり、現在1000を超える賛同が集まっているそうだ。署名サイトやSNSには、「男女の関係はありません」とする小川市長を「信じている」として、未来を託す人々の声が溢れつつあるというのだ。
しかし、こんな質問をしたシニア男性もいたという。
「――小川さん、私のお願いを聞いてください。孫も『ラブホ市長』などと言っています。一刻も早く辞任をしていただきたい!
会場内から拍手が起きる。
『みなさんに失望を与えてしまったことは一番に申し訳ないと思っています』小川市長)」
そしてついに、ラブホ利用の詳細を問う質問者も。
「『――ホテルのアメニティや水回り、ベッドなど、相談以外の目的を想起させる設備の利用はなかった?』
小川市長は、ひと呼吸おいて、こう答える。
『えっと……ホテルの中でお弁当を食べたりしていましたので、あの、電子レンジとかは使わせていただきました。手も洗っているので、手を洗ってタオル等は使わせていただきました』
説明はさらに詳細に。
『ベッドは使ってはないですけど、腰掛けたりしているので、そういうふうな形で、ベッドに座って、ということはありました。以上でございます』
――カラオケや露天風呂は使った?
『カラオケは使っていません。露天風呂も使っていません』
――肉体関係がなかったと証明できるか。
『どうやって証明できるのか、ずっと考えているんですけれども……』」
こんな質問も出たそうだ。
「――小川市長は、発覚しなければ今もラブホに行っていたかもしれません。否定できますか。
『発覚を受けなければ、ラブホテルに行ってるんじゃないかということですけれども、もしかしたらそうだったかもしれないということは、これは否定できないことだなというふうに思っております。(略)行動を続けていた可能性もあった』」
小川の一生懸命さは伝わってくるが、やはり、市長がこんな質問をされること自体が、恥ずかしいことである。
11月27日までに辞職しない場合は、市議会7会派が「不信任決議を行う」としているそうだ。可決される見通しだが、また田久保のように、解散して再出馬するのだろうな。
ところで、天皇皇后の長女・愛子さん(23)がラオスを訪問しているが、大歓迎らしい。
この歓迎ぶりを見て、誰もが再び、「愛子天皇実現を」と思うに違いないと文春が報じている。
「十時間を超える移動の疲れを見せることなく、手を合わせ、ラオス式の挨拶をかわした愛子さま。柔らかな立ち振る舞いには、天皇直系の風格が漂っていた。
『愛子さまにとって記念すべき初の海外公式訪問。日本との国交樹立七十年を記念し、ラオス政府がお招きしたかたちです。五泊六日の日程で約二十の行事をこなす過密スケジュールでは、トンルン国家主席への表敬訪問、パーニー国家副主席主催の晩さん会へのご出席など、天皇陛下のご長女として国賓に準じる接遇を受けています』(皇室担当記者)」
愛子さんはラオス訪問前にラオス史に詳しい東京外国語大学の菊池陽子教授の「ご進講」を受けたという。
「両陛下も熱心にメモを取られ、雅子さまからも質問を受けました。陛下は前回の訪問を振り返り、古都ルアンパバーンの様子やラオスの食事、特に『もち米が美味しかった』と話され、愛子さまは笑顔で『楽しみ』と応じておられました。両陛下が愛子さまを大切に慈しんでいるお気持ちが強く伝わってきました」(菊池教授)
家族一体で臨まれたご進講だが、そのなかで、愛子さんが真剣な眼差しで問いかけたのが、ラオスの戦争被害に関するものだったという。
「通史の説明後、愛子さまからはラオス内戦の被害についてもう少し聞きたいとお言葉がありました。ラオスはベトナム戦争下、米軍の激しい空爆に遭い、大量の不発弾が全土に残存しています。愛子さまは事前に予習からそうした被害にも関心を持たれていたご様子で、国の複雑な背景にお心を寄せられていたのが印象的でした。雅子さまも『ラオス史は激動の歴史ですね』と仰っていました」(同)
戦争で傷ついた人たちに寄り添い、平和を願う天皇皇后や愛子さんの思いは、今回のラオスの訪問先にも滲むという。
事前にラオスを現地取材してきた放送作家のつげのり子は、「最も注目するのは、愛子さまが11月19日に足を運ばれる『コープ・ビジターセンター』です」という。
半世紀前、大量に投下された不発弾の被害を伝える同施設は、多くの日本人が知らないであろう、ラオスの凄烈な戦禍を物語るそうだ。
「ラオスは世界で最も空爆された国。今も不発弾の脅威に晒されています。愛子さまのご訪問は、平和の大切さを考える機会になるでしょう。戦争の記憶継承という両陛下の痛切な願いを背景に訪問先に組み込んだものと思われ、平和へのご覚悟が感じ取れます」(同)
ラオスは平均年齢が25歳という若い国だという。23歳の若さで初の海外公務に臨まれる愛子さんにとっても、相応しい訪問先といえるだろう。
さて、初の海外公務を終え、帰国した愛子さんには、多くの国民の「愛子天皇」待望の期待がかかる。
神道学者で皇室研究家の高森明勅はこう話す。
「国民に敬愛される両陛下のお子さまとして愛情深く育てられ、お2人のお気持ち、お考えを深く学んでこられた愛子さまは、誰よりも天皇に相応しい。令和の時代、女性という理由だけで愛子さまが天皇になる選択肢が除外される現行の皇室典範は、時代錯誤と言わざるを得ないのです」
高市総理の師である安倍晋三元総理も「女性天皇」には理解を示していたといわれている。高市総理も「女性天皇なら」と、かつてはいっていたそうだ。残された時間はあまりない。総理! ご決断を。
今週は愛子さんがらみの報道が多いような気がするが、今週最後に紹介する女性セブンの記事は、それらとはまた違った愛子さんものである。
タイトルを読み返してもらいたい。
「皇室内幕 愛子さま(23)ラオス奮闘で高市早苗首相(64)『買春法改正』の決意」
愛子さんが初の海外公務でラオスに行って大歓迎を受けたことは先に紹介した。
だが、そのことと高市早苗が「買春法」を改正することとどう結びつくのだろう?
私は長いこと週刊誌をやってきた。一見、全く違うことを屁理屈を付けて結びつけるということはよくやったが、このタイトルには驚かされた。
このところ、文春や新潮が面白くない。内容もそうだが、タイトルに工夫がない。文春も、不倫記事には面白いタイトルをつけるが、政治記事や事件ものにアッという驚きのあるタイトルがない。
新潮が昔、フランスで猟奇事件を起こして日本に帰ってきたS(当時は実名)を取り上げ、「S君が歩いている」という名タイトルを付けたのは有名な話である。
タイトルは週刊誌、雑誌の華である。そのために編集長がいるようなものである。
久しぶりに新聞でセブンのこのタイトルを見て、慌ててコンビニへ走った。
愛子さんのラオス訪問と、高市総理が「買春法改正」を決意するのと、どうやって結びつくのか? 今日(11月24日)80歳になったボケた頭では、なかなか思いつかなかった。
導入部は、愛子さんがラオスをお訪れたことから始まる。
かつての激しい戦闘の跡、それから長く続いた貧困という厳しい道を辿ってきたラオスの描写。
現在も約8000発もの不発弾が地中に残り、毎年のように爆発事故が起きているという。
さて、ここからである。
「現在、その貧困に乗じた一部の日本人による蛮行が、大きな問題になっている」というのだ。
ハハ~ン、そうきたか。
国際ジャーナリストはこう話す。
「アジア最貧国ともいわれるラオスの農村家庭では、子供たちが売春のために売られていくことも日常茶飯事だといいます。これに目をつけた日本人男性が、幼い子どもたちを“買う”ために、こぞって渡航しているという実態があるのです。事態を重く見た駐ラオス日本大使館は今年6月、ラオスで児童買春を行わないように、と異例の注意喚起を発しました。
今年8月には、ラオスで児童買春に及んだ日本人男性2人が『児童ポルノ禁止法違反』で逮捕されています」
愛子さんのラオス訪問が発表されたのは今年の5月末。大使館の異例の注意喚起はそれから1カ月後。その3カ月後には、日本人男性が逮捕されているというのである。
「買春に対する注意喚起は愛子さま来訪のための露払いだとみる向きもあります。実際、愛子さまのご訪問で同国の“闇”の部分に光が当たり、児童買春を行う日本人の足も遠のくのではと期待する声も上がっている。愛子さまもこうした現状はもちろんご存じで、解決を強く願われています」(宮内庁関係者)
愛子さんがラオスの「買春」をご存じって本当だろうか?
まあいい、先を続けよう。
それに呼応するかのように、買春の実態を懊悩される愛子さんが、ラオスへの出発を控えている11月11日。
その日の国会答弁で、高市総理はこう発言していたというのである。
「売春防止法について、“買春行為の罰則化を検討するように”と、法務大臣に指示を出したのです。これまで、時の首相が買春行為の罰則化について言及したことはほとんどなく、異例の発言といえる。法改正に向けた、高市首相の強い決意が感じられました」(政治部記者)
朝日新聞デジタルを検索してみた。11月11日 19時45分にこの記事があった。
《売買春を禁じる一方で、公衆の面前での「勧誘」や「客待ち」など売る側の行為にのみ罰則を科す売春防止法のあり方について、高市早苗首相は11日の衆院予算委員会で、売春の相手方となる買う側への処罰の必要性について、「必要な検討を行うことを法務大臣に指示する」と答弁した。
緒方林太郎議員(無所属)の質問に答えた。平口洋法相も「必要な検討を行う」と述べた。
1956年に制定された売春防止法は売買春を禁じるが、買春行為には罰則規定がない。一方で売る側の公衆の面前での「客待ち」や「勧誘」の行為には罰則を科す。
これに対してスウェーデンやフランスなどは、売る側を被害者として保護し、買う側を処罰する「北欧モデル」と呼ばれる法体系を採用している。》
アメリカや英国なども「買う側にこそ問題がある」という考え方で、日本のような買う側が罰せられないのは、国際社会から厳しい目を向けられているというのだ。
「愛子さまのご訪問のタイミングも重なり、ラオスでの児童買春は国際的にも議論の的となった。高市首相も当然、この問題は把握しているはずで、買春側の罰則化に踏み込んだ背景には、ラオスの悲惨な実態を知った愛子さまに共感した部分もあったのかもしれません。愛子さまも、高市首相の発言に納得していることでしょう」(皇室ジャーナリスト)
なるほど、なるほど。週刊誌の牽強付会なやり方は何かと批判が多いが、今回のセブンのやり方は、後味がさっぱりしていて、気持ちがいい。
朝日新聞は11月15日から「連載『買春は暴力』」の連載を始めた。第1回目は、「買春したのは『妻の妊娠』『仕返し』…フランスで罰を受けた男たち」である。
これまでも買春側に罰則をという動きはあった。だが遅々として進まなかった。女性の総理が出てきたことで、山が動き始めた。
だが、ソープランドのように「公認された売春の場」はどうするのか? 全部非合法にすれば、行き場のなくなった性が暴走するという危惧もある。
こうした問題は、密室ではなく、広く国民全体で議論する必要があるのではないか。(文中一部敬称略)
(文=元木昌彦)
