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高市政権のほころび、国分太一の沈黙、激震のWBC 週刊誌が暴く日本の“バラマキと混沌”


 お次はシーズンオフも話題の中心である大谷翔平のWBC出場が決まったが、はて? どのような形でも出場になるのだろうか? どうやら投手としてではなく、打者専門での出場になりそうなのである。

 新潮によれば、井端弘和代表監督(50)やNPBスタッフたちの表情は冴えないという。それは大谷に追随する日本人メジャーリーガーがなかなか現れないからだそうである。

「11月13日まで行われていたゼネラルマネージャー会議でも、WBCへの選手派遣に関する質疑が交わされています。開催2日目の12日と最終日の13日、ドジャースのブランドン・ゴームズGMには大谷、山本由伸(27)、佐々木朗希(24)のことを。そしてカブスのジェッド・ホイヤー編成本部長にも『鈴木誠也(31)、今永昇太(32)の大会参加はあるのか』を米メディアが質問しました。ゴームズGM、ホイヤー編成本部長は申し合わせたように、『(本人たちと)まだ話し合っていない』と答えていました」(米国人ライター)

 前任の栗山英樹(64)はシーズン中にも関わらず、メジャーリーグの球場を訪ね、選手に侍ジャパンの優勝のために日本人メジャーリーガーの協力が必要なことを説いてまわった。彼らも日の丸を背負って戦うという、ペナントレースとは異なる緊張感を楽しんでいた。だが、今回は大谷の参加表明に追随する日本人メジャーリーガーが躊躇っているような雰囲気だというのである。

「そもそも、井端監督は前大会のスコアを振り返り、準々決勝以降、試合を決定づけた得点はホームラン絡みだったことを指して、日本人メジャーリーガーのパワーと米国での経験値が必要だと捉えていました。大谷だけではなく、鈴木や吉田、ヌートバーがいて、NPBチームから招集する選手も活かせると考えてきたのです」(同)

 さらに、投手編成にしても、日本人メジャーリーガーを中心に考えてきたそうだ。大谷、山本、今永らに先発を託し、阪神・村上頌樹(27)、才木浩人(27)、埼玉西武・今井達也(27)、日本ハム・伊藤大海(28)、オリックス・宮城大弥(24)らの国内組の投手をロングリリーフの「第2先発」のように起用する。

 だが、山本や佐々木朗希らが今大会を辞退することになれば、投手プランをゼロから作り直さなければならないだろう。日本人メジャーリーガーの所属する米球団からの返答の遅延は、国内の代表候補たちにも悪影響をもたらすだろうと新潮はいう。

 さらに難問がある。

 メジャー移籍を目指している内野手の巨人の岡本和真、ヤクルトの村上宗隆、投手の西武、今井達也の移籍先が決まっていないということだ。

 このままいくと年越しになるかもしれない。そこから所属球団に「WBCに出してください」とはいいにくいはずだというのだ。

 まあ来年のWBCも大谷翔平頼みということになるのだろうが、二刀流は封印しての出場になりそうだから、前回のようにうまくいくのか?

 アメリカに行く前に敗退ということも十分考えられる。それにNetflixが試合中継を独占するから、日本でも前回のような盛り上がりは期待できない。

 さあ、どうする! 井端侍ジャパン!

 この秋のドラマの中でTBS日曜劇場の『ザ・ロイヤルファミリー』の評判がいいようだ。

 このドラマは、早見和真の小説が原作。有馬記念制覇を目指す人間と競走馬の20年にわたる物語で、妻夫木は佐藤浩市(64)扮する馬主の秘書を演じている。

「妻夫木さんの役は情にあつく涙もろい。泣き方が毎話違い、持ち味の演技力を遺憾なく発揮しています。第8話では佐藤さんの息子役を演じる目黒蓮さん(28)の、有馬記念への熱い思いを聞いた妻夫木さんが涙をぽろぽろと流し、視聴者の感動を呼びました」(スポーツ紙記者)

 文春によれば、原作者の早見は自ら妻夫木に電話して主演をオファーしたという。その理由をインタビューでこう明かしている。

「妻夫木さんって、いろんな想いを抱えながらも誰かのために自分を捧げられる人なんです。それって栗須栄治(主人公)そのものじゃないですか」(ダ・ヴィンチWebより)

 だが、このドラマのすごいのは、JRAの全面協力を受け実現した映像美である。

「資金力が豊富な大手の生産牧場が幅を利かせる競馬界にあって、その対比として北海道日高町の零細牧場に焦点を当てリアルに描いている。一方、夜明けの中山競馬場で妻夫木さんが芝コースに立ち入り、その景色を眺める場面があったが、セキュリティの確保と公正な競馬開催の観点からありえない。ドラマの演出としてほほ笑ましく観ています」(競馬関係者)

 私も珍しく、これは毎回見ているが、競馬シーンがとてもいい。ドラマの連中と一緒に思わず、「それいけ!」と叫んだりしてしまうほど迫力があるのだ。

 だが、文春によれば、妻夫木にこんな批判があるというのである。

「劇中では横柄な態度の馬主役の佐藤に忠誠を尽くす秘書役の妻夫木。だが――。
『撮影現場ではその真逆。むしろ佐藤さんより態度がデカい(苦笑)』

 そう語るのは、撮影を目撃した調教助手だ。

『佐藤さんは、「ご協力ありがとうございます!」と、腰が低くて気さくに握手してくれます。かたや妻夫木さんは、調教(を見学するための)スタンドの壁にもたれかかり、近寄りがたかったです』(同前)

 競馬関係者の前ではロイヤルさに欠けるようだ。別のスポーツ紙記者が続ける。

『カメラが回っていないところでの評判は良くない。役者は芝居さえすれば良いと思っている節があるのです。ドラマの宣伝のためのインタビューでも、受け答えが素っ気なく、記者に対して「そんなことも知らないのか」と言わんばかりの、とげとげしい物言いになることがあります』

 ある映画スタッフはこんな場面を目撃したという。

『2016年に公開され話題となった映画「怒り」の試写会でのことです。同じ控室に共演した大先輩の渡辺謙さんがいるにも関わらず、妻夫木さんは椅子にだらしなくもたれかかり、不貞腐れていた。役者としては一流でも、素は感じ悪い』」(文春)

 主演の妻夫木と他馬との折り合いに問題ありということか。そんなことでは有馬記念は勝てないぞ!

 お次も新潮から。

 秋篠宮の60歳の誕生日にあたり、毎年恒例の記者会見が11月25日に行われた。

「記者からの質問内容は、《小室眞子さんは第一子を出産いたしました。第一報を聞いた際のお気持ちや、今後の面会についてのお考えをお聞かせください》といったものだった。これに対して、秋篠宮さまは、こうお答えになった。

《そうですね、第一報を聞いた時はとても嬉しい気持ちになりました。それと同時に、おじいさんになったんだなという、そんな若干複雑な思いもいたしました。そして、もし日本に来る機会があれば、是非会いたいと思います》」

 なるほど。ふた昔前は、「今年60のおじいさん」といわれていたからな。でも、今のおじいさんは70歳ぐらいからだろう。

 秋篠宮はまだまだ若い。皇室を背負っていくという“気概”がもっと欲しいように思えるのだが。

 今年は、紀子さんとの「ご成婚35周年」を迎えた。それについては、

「このわがままな夫をよく支えてくれていて、感謝しています」

 と話したそうだ。

 さらに家族関連の質疑の中で、秋篠宮は、次女である佳子さんと長男の悠仁さんについての思いも述べたという。その発言には、「過去」を踏まえた上での皇嗣殿下の“変化”が見て取れたと新潮はいうのだ。

 それは、昨年のお誕生日会見で、秋篠宮自身が用いられた「皇族は生身の人間」というフレーズにまつわる発言だった。

「佳子さまのご結婚については、特に話し合われていることはないとのことでした。一方で『生身の悠仁さまや佳子さまを守ることについてどのようにお考えか』と問われると、『結婚のこととか大切なことについての情報管理はしっかりと行っていかないといけない』『そのためにどうするかを考えるのは私たち親の役目』とお答えになっていた。慶事の際のメディア対策とともに、親として“お相手”の情報を把握しておく必要があるというお考えを示されたわけです」(宮内庁担当記者)

 その佳子さんは今年の末で31歳になる。だが、未だに女性皇族の人生を左右しかねない制度変更が手つかずのままであることに「思い」があるのは間違いない。

 記者会は、その後何か目に見える形で変化はあったかと聞くと、「それはないと思います」と話し、記者会が続けて、「今後、公的活動の担い手が減ることが想定されるが」と聞くと、秋篠宮は、

「その状況を変えるのは、今のシステムではできません。いかんともし難いことだと思います」

 と述べ、さらに、

「やはり、全体的な公的な活動の規模を縮小するしか今はないのではないかと思います」

 といったのである。

 宮内庁関係者がこう話す。

「いつまでたっても議論を進めようとしない政治家、ひいては政府に対する、“これまで通りに活動してくださいと言われても、さすがに限界です”という秋篠宮さまのメッセージでしょう。すでに秋篠宮さまは、ご不満を通り越して諦めのお気持ちに達しておられるのではないかと推察します」

 天皇の長女・愛子さんの天皇即位問題を含め、政治屋たちは何も議論しようとしない。

 そうした皇室側の怒りを、秋篠宮がオブラートに包みながらいったということである。

 高市総理は、この秋篠宮の言葉をどう聞くのか。皇室を尊敬する保守派ならば、早急に手を打つべきではないのか。それとも、高市の保守派は、極右票目当ての似非なのか。

 ところで、私が最近見た中で、Netflixの『イクサガミ』が抜群に面白かった。
 Netflixのホームページにはこう書かれている。

《「無意味に生きる愚か者たち。殺し合え、最後のひとりまで。」
世界最大級のオンラインエンターテインメントサービスを提供するNetflixが企画・製作するNetflixシリーズ「イクサガミ」の配信が2025年11月に決定。
あわせて、命がけの遊戯に臨む俳優陣14名を一斉解禁し、コメントも到着!主演の岡田准一に加え、本作に大抜擢の藤﨑ゆみあ、そして清原果耶、東出昌大、染谷将太、早乙女太一、遠藤雄弥、淵上泰史、城桧吏、山田孝之、一ノ瀬ワタル、吉岡里帆、二宮和也、玉木宏、伊藤英明ら超ド級のオールスターキャスト14名を迎え、新時代の日本作品が幕をあける。

「人斬り刻舟」の異名を持つ主人公・嵯峨愁二郎を演じるのは、初のプロデューサーとしても本作に臨む岡田准一。また、京都から東京へ、東海道を舞台にした命がけの戦い〈蠱毒(こどく)〉に巻き込まれる少女・香月双葉を藤﨑ゆみあ、愁二郎の義妹でもある衣笠彩八を清原果耶、元伊賀忍者・柘植響陣を東出昌大、アイヌの弓使い・カムイコチャを染谷将太、愁二郎の義弟・化野四蔵を早乙女太一、祇園三助を遠藤雄弥、借金を苦に参加した青年・狭山進之介を城桧吏、京都府警警察・安藤神兵衛を山田孝之、巨躯の男・立花雷蔵を一ノ瀬ワタル、さらに参加者の中でも異彩を放つ「公家の守護神」と呼ばれる太刀遣い・菊臣右京を玉木宏、そして「乱斬り無骨」の異名を持ち、愁二郎と因縁を持つ貫地谷無骨を伊藤英明が演じる。また、愁二郎の妻・志乃を吉岡里帆、謎に包まれし〈蠱毒〉を運営する櫻を淵上泰史、槐を二宮和也が演じる。》

 原作は今村翔吾の『イクサガミ』。これほどの俳優陣を使えるのは、日本の映画界では無理だろう。

 放映開始から世界中の視聴者のナンバー1になったというのも頷ける傑作である。シーズン2が待ち遠しい。

 今週のニューズウィーク日本版が、主演とプロデューサーを務める岡田にインタビューしている。

「岡田准一演じる貧しい剣客嵯峨愁二郎は、病に倒れた妻を救いたい一心で『蠱毒(こどく)』に身を投じる。賞金10万円(現在の貨幣価値で数十億円)をめぐり、腕に覚えのある292人が京都から東京を目指しながら殺し合うデスゲームだ。
アイドルから映画スターへと脱皮した主演の岡田は、今回プロデューサーとアクションプランナーも兼任した。共同脚本および共同監督は、19年の『新聞記者』で数々の賞に輝いた藤井道人監督。

 セットから特殊効果まで贅沢に製作費を投じた映像は、『SHOGUN』と比べても遜色がない。緻密に振り付けられたアクションが満載で、とりわけ292人が死に物狂いで殺し合う京都・天龍寺の大乱闘は必見だ。

 岡田がリアリズムにこだわったおかげで(天龍寺の292人は全員が本物の俳優で、CGは使われていない)、ゲームの参加者が限界まで戦う姿は実に生々しく迫力がある」(ニューズウィーク日本版12月5日(金)11時42分)

 岡田はインタビューの中で、こう話している。

「本作で僕がやりたかったのは『活劇』と呼ばれていた頃の『活きた時代劇』です。

 近年は『時代劇とはこういうもの』と自分たちで枠を決めてしまうことが多いと感じていました。例えば作法一つ取っても、『段取り』を覚えるにはその心を知ることが大切です。本来は相手を慮れば作法になる。でもいつしか『こうしてはいけない』と枠をはめ、道を遮断してモノを作っている気がしていました。

 体の使い方も『背筋をピンとしなさい』と教えられても、背筋ではなく仙骨を立てないと窮屈で緊張した芝居になってしまう。着物や甲冑の着方にしても、若手に時代劇を伝えるやり方にしても、いろいろと疑問を持っていました。

 なぜ侍が袴を選んだのか、なぜ正座が生まれたのかなど、これまで主演という立場で共演者にさりげなく伝えてきたことも含めて、勉強や発見をしながら自由で理にかなったモノづくりをやりたかった」

 そして自分の役については、「もともと僕はただ戦う男よりも、長く戦ってきてどこか達観し、くたびれ、それがどこかセクシーさを感じさせるキャラクターが好みなんです」

 真田広之とどこか似ている岡田だが、真田が『SHOGUN』で世界的に認知されたが、岡田もこのドラマで、真田に匹敵する存在になるだろう。

 早くシーズン2が見たい。

 さて、高市総理が打ち出した「積極財政」だが、どうやら、これまで高市寄りだった新潮までが、批判派に回ったようである。

 高市政権は、この物価高を看過できないと、過去最大規模の約21兆円の「総合経済対策」を発表し、今国会で成立を目指すが、果たして凍てつく庶民の暮らしへの“特効薬”となるのだろうか。早くも異論が噴出していると新潮が報じている。

 高市首相(64)は、先月28日に今年度の補正予算案を閣議決定。それに先立ち「総合経済対策」と銘打った約21兆円もの大型財政出動を閣議決定した。一般会計の歳出総額は約18兆円で、コロナ禍以降で過去最大の予算規模。高市首相は財務省が提示した17兆円規模の予算案を突き返し、これをトップダウンで決めたというのだ。

 だが、その内訳を細かく見てみると、「電気・ガス料金の補助」に5296億円、「子育て応援手当」に3677億円を充てているが、注目すべきは地方自治体が活用できる「重点支援地方交付金」が、今年度の追加分として2兆円が拡充されたことである。

 政治部デスクがこう解説する。

「端的に言えば、都道府県の各自治体が地域の実情に応じて生活者・事業者への支援を行えるお金となります。国としては、生活者支援に向けて五つのメニューを提案していますが、目玉となるのが『食料品の物価高騰に対する特別加算』。いわゆるお米券やプレミアム商品券、電子クーポンなど、それぞれの自治体が判断して住民に支援を行えるようになっています」

 食費の負担を減らすべく国が提案する「お米券」を元農水官僚である鈴木憲和農水相が、高止まりするコメ価格対策として盛んに口にしているが、これは物価高対策として用をなさないと話すのは、元農水官僚でキヤノングローバル戦略研究所研究主幹の山下一仁だ。

「政府が推奨する『お米券』の配布金額は、1人当たり3000円になるだろうといわれています。国民1人当たりのコメの年間消費量は約50キロ。現在の米価に換算すると年間4万~4万5000円ほどです。たとえお米券をもらったところで、1袋5キロのコメも買えませんから、ほとんど意味がありません」

 鈴木農水相は、庶民の味方ではなく、JAの味方なのではないかともいう。

「国が減反して米価を高くしておきながら、それを下げないまま消費者に買ってもらうことで、最終的に儲かるのはJAです。彼らに高値でコメを買ってもらう兼業農家などは、サラリーマンとしての給料もJAバンクに預けている。今や107兆円の預金の多くをウォール街で運用して高い収益を上げているようですから、この構図を維持するためにも米価を高く保つことが必要なのです」(同)

 ガソリン価格については、今月末で暫定税率が廃止され、それまでの移行措置として補助金が引き上げられるようになったが、都内にあるガソリンスタンド「田中商事西綾瀬給油所」の三枝直樹店長に尋ねると、

「原油の仕入れ値自体が高騰していますから、暫定税率が廃止されても、単純に25円下がるわけではありません。税金や補助金と仕入れコストとは別なので、円安を是正してもらわないと根本的な解決にはならないですよ」

 さらに、

「物価が上がり困っている庶民と、政治家との温度差を感じます。お米券に3000円とか雀の涙でしょう。現金を5万円とか配ってくれないと意味がありません」

 経済ジャーナリストの荻原博子はこう指摘する。

「9カ月連続で実質賃金が下がる中、庶民の生活実感からみても、あまりにチマチマした対策が目につきます。今回の補正予算案で物価高が何とかなるという実感が乏しい。高市政権は“やっている感”を出そうとしているだけでは」

 続けて、

「個別に見ても、お米券や商品券など目玉とされている政策は独自性がなく、効果が薄いものばかりです。エアコンの買い替え支援も東京都がやっていたことのまねですし、そもそも新しく買うのに最大8000円程度の支援では全然足りない。量販店で値切った方が安くなるでしょう。子育て世帯支援の2万円給付についても、統計では子どもをたくさん抱えているのは年収の高い世帯が多い。貧しい家庭は余裕がなくて子どもが少ない。この支援策は所得制限がないので富裕層が得をする形になりかねません」

 おやおや。サナエ支持派も、あまりにも効果の少ないバラマキ政策で、非サナエ派に転向しようかというほどの憤りである。

 こんな行き当たりばったりの政策では、習近平国家主席にハナで笑われるぞ、サナエさん。

 さて、次はポストから、

 自民党と連立政権を組む日本維新の会で国対委員長を務め、同党から唯一政権幹部入りした首相補佐官である遠藤敬に「秘書給与ピンハネ」疑惑が浮上したというのである。

 先には、藤田維新共同代表が、秘書の会社に印刷などを依頼していたことが発覚したが、今度は連立を組んだ維新の首相補佐官にまたカネの疑惑が発覚したというのである。

 ポストによれば、「遠藤氏は自民党と維新の連立交渉を担い、高市早苗・首相に『連立合意政策』担当の首相補佐官に起用された自維連立のキーマンで、政権に大きな影響力を持つ人物だ。本誌・週刊ポストは遠藤氏が代表を務める政党支部(日本維新の会衆議院大阪府第18選挙区支部)の政治資金収支報告書を確認し、遠藤氏が国から給与を支給される公設秘書3人から5年間(2019~2022年、2024年)で総額796万547円の寄附を受けていた事実を掴んだ」という。

 2002年には辻元清美(当時は社民党代議士)が公設秘書の名義借りで国から秘書給与1870万円を騙し取ったとして、議員辞職後に逮捕されている。

 昨年7月には自民党参院議員の広瀬めぐみが勤務実態のない第二秘書を国に届け出し、国から秘書給与を騙し取った容疑で東京地検特捜部の捜索を受け、今年2月に有罪判決が確定した。今年8月には日本維新の会の石井章・参院議員がやはり勤務実態のない人物を公設秘書として届け出ていたとして東京地検の捜査を受けて議員辞職後、在宅起訴された。維新は石井を除名処分にしている。

 毎年のように起こる公設秘書の給与をめぐる不正の実態。

「遠藤氏に寄附していた公設秘書たちは勤務実態があったとはいえ、税金が原資である秘書給与を上納させられ、税金が政党支部に還流していたとしたら同様の重大事案だ。『身を切る改革』を掲げる維新の大幹部で高市政権の首相補佐官が公設秘書給与まで政治資金に充てていたことになる。

 政治資金を監視している上脇博之・神戸学院大学教授は『政治責任は免れない』と語る。

『自発的に給料から議員に多額の寄附をしたいと考える秘書はいないでしょう。しかし、国会議員には公設秘書を採用し、解雇する権限がある。議員は事実上の雇用主で、秘書は弱い立場です。

 今回、別の秘書など事務所関係者がA氏に『寄附するのは当たり前』と思わせる趣旨のことを言ったのだとすれば、勧誘した可能性は高いので違法性が問われる。しかも、政治資金収支報告書に記載されているので、遠藤氏は公設秘書の寄附は知っていたと考えていい。

 寄附に当たって勧誘や要求があったのだとすれば違法行為なのだから、遠藤氏は事務所内で勧誘や要求がなされていないか実態を確認すべき立場でしょう。黙認したとすれば、違法の可能性を放置し、事務所の指導を怠ったという政治的道義的責任が問われます』」

 文春は、片山財務相の政治とカネの疑惑が発覚したと報じている。

 11月28日に総務省が公開した24年の収支報告書を紐解くと、片山が代表を務める政党支部「自由民主党東京都参議院比例区第25支部」から毎月5万円の「家賃」支出が確認できるという。支出先は、元東京都議の中屋文孝が代表を務める「自由民主党東京都文京区第二支部」だそうだ。

「片山氏が文京区内に事務所を置きたいとのことで、中屋氏の事務所を間借りしているかたちです。片山氏には、約十六万円の家賃の一部を負担してもらっている」(事務所関係者)

 2022年の収支報告書から片山氏の政党支部の所在地は同住所へと変更されている。だが、2022年と2023年の収支報告書には、「家賃」支出が記載されていないという。当時から家賃の額が変更されていないとすれば、2年間で計120万円分が不記載となっていると文春は指摘する。

 さらに、自民党の各政党支部や関連団体と片山氏の政党支部との間に寄附などのやり取りがあるが、片山氏側に支出や収入の記載がないケースが散見されるという。

 文春の集計によると、少なくとも総額57万円が不記載だったそうである。「財務相として足元の会計があまりにデタラメではないか」(文春)

 サナエ帝国に早くも亀裂が生じてきたようだ。

 さて、お次は国分太一問題である。やはり持つべきは友である。

 12月2日午後、都内のオフィス街にTOKIO元メンバーの松岡昌宏(48)の姿があったという。ラフな白色のシャツに黒縁眼鏡姿。早足で仕事先に向かう松岡に「日テレの記者会見は見ましたか」と尋ねると、言葉を選ぶように時折、神妙な面持ちをしつつ語ったというのだ。

「そうですね、大体は見させてもらいました」

 日本テレビの福田博之社長が定例記者会見を開いたのは、前日の1日のことだった。メンバー(当時)の国分太一(51)がコンプライアンス違反で看板番組「ザ!鉄腕!DASH!!」を突如降板させられ、テレビ業界から姿を消してから5カ月余が経った。福田社長は松岡らの今後の出演を問われると、顔色を変えずにこう述べた。

「続けてご出演していただくことをお願いしています」

 松岡にその発言について率直な意見を尋ねると、考え込むように空を眺め、こういったという。

「福田社長のほうから『引き続き城島さん、松岡さんには番組に出演いただきます』というお言葉をいただいたのは2度目なんです。最初に聞いたのが、この問題が公表された6月20日。そのときは『あぁ、大変なことが起きているな』『そろそろTOKIOもなくさなきゃいけないな』って思いました。でも、あのときも今も、日テレサイドからは何の説明も報告もなかったんですよね」

 さらにこうもいう。

「降板の公表前に国分の口からそのことは聞きましたが、日テレさんからは5カ月以上、何も説明はなく、全くゼロです。その状態が続く中、昨日の会見で『続けてご出演していただく』っていう言葉を聞いたときは『あぁ、もういよいよ我々にその(進退を自分で決める)選択肢はないんだな』と思いました。我々は、これからどういう立ち位置で、どういうふうに番組と向き合っていけばいいんだろうというのが率直なところですよね。説明がないので『一体何なんだ、これは』と」

――メンバーの意思とは関係なく事態が動いている?

「意思は全く聞いてもらってはいないです。『鉄腕DASH』はやっぱりお茶の間にTOKIOというものを浸透させてくれた番組だし、我々を育ててくれた番組。もう感謝しかないんですよ。ただ、30年の歴史の中でいろんな思いがあり、『一体どのときの、どの部分がコンプライアンス(に抵触する)か』というのは、聞いておきたいなというのは自分自身ありますよね」

――日テレはコンプラ違反の中身を明かしていない。

「今回、国分がこういう形で解雇になって、『城島と松岡はセーフ』にはならないと思うんです。セーフが良かったなっていう気持ちじゃなく、何がどうダメなのか。明日は我が身ですよね。どの芸能人でも……。日テレさんとは、やっぱり信頼関係はあって、一緒にものを作ってきて、様々なこともあったわけですよね。怪我もしてきましたし、病院も行きましたし。『それは、コンプライアンス(違反)ではないのか』っていうね。『どれだけ我々は病院に運ばれたんだ』っていうのはありますけど(笑)」

――日テレに何を望む?

「もう、なんか別に望むこともなく。『何か動かなきゃ』みたいなこともなんか違うような気がしていて。降板については、我々が言える立場にはないじゃないですか。(日テレに対しては)戸惑いと驚きですかね。『ディスカッションすら、もうできないのか』って」

――日テレ側は「答え合わせは難しい」と。

「『答え合わせしてください』『答え合わせはしませんよ』となると、もう話が進まない」

 大テレビ局のトップが「こいつはいらない。問答無用」といったら、どんなに貢献していたタレントでも、突然、首を切られておしまい。

 そんなことがまかり通っていいわけはない。

 松岡も城島も、「ザ!鉄腕!DASH!!」を降板することを考えているように見える。

 さあ、どうする日テレ。

 今週の最後の特集は、高市政権の後見人で副総裁の麻生太郎(85)が、ひきこもりの高市のいる官邸に突撃したという文春の記事。

 その顔は険しさを帯びていたと文春は報じている。

 その理由の一つは、高市の「台湾有事」発言で、トランプ大統領が電話会談で高市に「中国政府を刺激しないでくれ」と“助言”したという米紙ウォール・ストリート・ジャーナル(WSJ)の報道にあるという。

 だが、木原稔官房長官は11月27日午後の記者会見で「このような事実はない点を明確にしておく」と語ったのだ。

 だが、日本記者クラブの関係者によるとこうだ。

「WSJは、少なくとも日本政府の関係者2人とホワイトハウスの人間1人から裏取りをしたそうです。そもそもトランプ大統領自身、WSJの取材に対し『中国との関係はとても良く、それは日本にとってもとても良いことだ』とコメントしている。自信のある報道だったようです」

 文春がWSJに、木原長官からの「抗議」やその受け止めについて尋ねたところ、次のようにコメントしたという。

「(記事の真実性は)私たちの報道内容自体がそれを語っています。そして記事には当該事案についての日本政府のコメントを(当初から)反映しています」

 実際には相当辛辣ないい方をされたようだが、

「会談終了後の囲み取材で高市首相は、『困ったらいつでも電話してくれ』と言われたことだけ話しました。それ以外は核心に触れるため言えなかったのでしょう。いくらメンツにかかわるとはいえ、報道を否定した木原氏の態度は、事実を隠蔽しているに等しい」(日本テレビ関係者)

 もう1つは首相自身の振る舞いだという。

「高市首相に必要な情報を入れることにかなり苦労しています」

 こう嘆くのは外務省関係者。「首相は自室に閉じこもってペーパーを読み込むことに没頭していて、秘書官も距離の詰め方に悩んでいる。コミュニケーションが取れないのです」(同前)

 周囲の声に耳を傾けない高市首相に誰よりも焦りを募らせているのが、麻生だというのだ。

「本来であれば、高市氏が元首相の麻生氏を訪ねるのが一般的。逆に官邸に向かう姿には怒りが見て取れた。独りよがりな部分を見せ始めた高市首相に業を煮やし、自ら締め付けに出向いたようです。高市政権が終わりを迎えれば、麻生氏の権力も失墜する。それだけに危機感を抱いているのです」(麻生派担当記者)

 さらに麻生が最も懸念しているのが、政権の打ち出す財政膨張路線だという。
高市首相が強く打ち出す「責任ある積極財政」は露骨なバラマキに見え、「やり過ぎだ」と考えているというのだ。

 慶応大学の土居丈朗教授はこう憂慮する。

「一般的には、拡張的な財政政策をすれば物価上昇を煽る方向に作用します。貸し手としては、物価上昇率よりも低い金利で貸し付けを行うことは損。今後、物価上昇が急激に起こった場合、金利も跳ね上がり、“日本版トラスショック”が発生する可能性は否定できません」

 トラスというのは、物価高は止まらず、金利は上がり、通貨安、株安が起きる――そうした最悪のシナリオが懸念されているというのだ。

 麻生との面会時間はわずか15分だったそうだが、その後、高市は夜の会合に初めて出席したというから、今はまだ、麻生のいうことは聞くのだろう。

 今のところ、高市政権の支持率は70%台で高止まりしている。だが、バラマキの効果があまりなく、中国との関係も緊張が続くなら、国民も「この危険な政権」の実態に気づき、離れることは間違いないだろう。

 その焦りが、高市の顔に出ていると、私は思っている。

 今日発売の週刊現代(12月22日号)では、高市が解散・総選挙をした場合、どうなるかをシミュレーションしている。

 圧勝するという予測が文春であったが、意外にも自民党は14議席増にとどまるというのである。

 自民党は単独過半数には届かない。やはり公明党の票が逃げるのが大きいようだ。(文中一部敬称略)

(文=元木昌彦)

元木昌彦

編集者。「週刊現代」「FRIDAY」の編集長を歴任した"伝説の編集者"。

元木昌彦
最終更新:2025/12/08 18:00