サナエブームに潜む危険、迫る尖閣、旧統一教会の混乱── 週刊誌が描く“揺らぐ日本”の一週間

<今週の注目記事>
【1】「アベノミクス生みの親 浜田宏一が直言『サナエノミクスで日本は不況になる』」(「週刊文春」12月18日号)
【2】「激やせ『高市首相』を悩ます悪名高き『定数1割削減』の実現度」(「週刊新潮」12月18日号)
【3】「高市首相に地元宗教法人から『3000万円』違法献金疑惑」(「週刊新潮」12月18日号)
【4】「『尖閣有事』シミュレーション」(「週刊ポスト」12月26日号)
【5】「統一教会『返金より祖母の裁判費用を』田中会長と韓鶴子の孫が銭ゲバ暗闘」(「週刊文春」12月18日号)
【6】「12月なのに各地で出没…冬眠しない『子グマ』が増加中のナゼ」(「週刊新潮」12月18日号)
【7】「ついに谷原章介『サン!シャイン』終了 今も中居問題を引きずるフジテレビの迷走」(「週刊新潮」12月18日号)
【8】「WBC大谷ジャパン(秘)ベンチ裏」(「週刊文春」12月18日号)
【9】「戦火を越え、日本で夢を実現したウクライナ出身大関安青錦」(「サンデー毎日」12月14日号)
【10】「『高市首相に流行語大賞』は忖度!? 選考委員やくみつる氏に“疑惑”直撃」(「FLASH」12月23日号)
まさに世はサナエブームといってもいいだろう。週刊誌は世を映す鏡である。台湾有事、物価対策、流行語大賞までサナエである。
メディアの世論調査では支持率が70%以上もあるという。どこの誰が支持しているのか? 私の周りには誰もいないが?
初の女性総理という「初物に弱い」国民性だから致し方ないが、週刊誌までサナエ、サナエである。
世の中の多くが右を向いているときは、週刊誌は左を向けと私たちは教えられたが、今の週刊誌人間たちはそう教えられていないようだ。
今週の最初はFLASHだが、今年の年間流行語大賞に「働いて働いて働いて働いて働いてまいります」が選ばれたのは「政権に忖度」したといわれても仕方あるまい。
ワークライフバランスなど持ち出さずとも、40年から50年昔の「オーモーレツ」を思い出させる時代錯誤も甚だしい言葉である。
勝手にお前が働くのはいいが、他人にそれを強いてはならないという常識が、この女宰相にはないのだろうな。
昔から、流行語大賞というのは時代とズレているといわれてきたが、もはや「時代を映す流行語」にはなりえない。今年限りで終わりにしたらどうか。
毎年、清水寺の坊さんが「今年の漢字」というのをやっていて、今年は「熊」だったが、これも納得がいかない。
たしかに今年のクマの出没は多かったと思うが、全国的に見れば、今年1年を表す漢字は「米」ではなかったか。
それとも「苦」かな? まあどっちにしても、いい年ではなかったことは間違いない。
一足早いが、来年こそはいい年になってほしいものだ。
さて、FLASHだが、高市首相の言葉が流行語大賞に選ばれると、当然ながら多くの批判が巻き起こった。
高市首相は受賞の挨拶で、
「賛否両論いただきました。多くの国民の皆さまに、働きすぎを奨励するような意図はございません」
と釈明したが、一国の首相が軽々に「働け」などといっていいわけはない。
発言直後に「台湾有事」と同じように大問題発言だったのだから、取り消すべきではなかったのか。
だが、選考委員の一人である辛酸なめ子は、
「選考委員のなかには、政治や権力に近しい言葉を選ぶことに懐疑的な意見もありました。ただ、年間大賞を選ぶ際に、『初の女性総理を応援しよう』といった空気感になっていったと記憶しています」
と話している。
ということは、辛酸はこの言葉がふさわしいと考えたわけだ。
むろん、高市が無理強いしたのではないことは間違いないだろう。しかし、流行語にさえなっていない言葉を大賞に選ぶのは、選考する側に「忖度」があったと見られても致し方がないはずだ。
それを無理に押す大義などないと思うのだが。
もう一人のやくみつるも、「何やら陰謀論が渦巻いてましたね」と、そうした批判が起こることは予期していたようだ。やくはさらに、
「今年の後半は政治の年だったので、高市さんの言葉に収斂していくことに(選考委員から)異論は出ませんでした。私としては『ワークライフバランス』を候補にしていたのですが、『働いて~とワークライフバランスのどちらか』という議論になり、抵抗することなく、『働いて』になりました」
やくは日本共産党の機関紙「しんぶん赤旗・日曜版」にも4コマ漫画を掲載しているのだから、自民党、特に、安倍の流れをくむ高市の言葉を選ぶのに慎重であるべきだったのではないか。
まあ、高市が似非保守なのだから、似非反自民がこぞって高市を持ち上げるというのも仕方ないか。
だが、この言葉は高市政権がぶっ潰れれば、あっという間に忘れ去られるはずだ。まあ、流行語というものはそんなものなんだから目くじら立てるほどのことはないか。
お次はサンデー毎日から。
初土俵から14場所で大関に昇進した安青錦新大(あおにしきあらた・21)は、ウクライナ中西部のビンニツァン出身で、本名はダニーロ・ヤブグシシンという。
子どものころからレスリングと相撲に没頭したという。安青錦の得意技である内無双は、レスリングのタックルを思わせるが、相撲とレスリングのいいとこ取りをした技なのだ。
安青錦は16、17歳が参加するレスリングの世界カデット選手権では、ウクライナ代表で9位に入ったことがあるそうだ。
日本へ来るきっかけは関西大相撲部コーチの山中新大(26)と知り合ったことだった。
2019年10月、大阪府堺市で世界ジュニア相撲選手権大会があり、ウクライナ代表でダニーロが参加していた。
山中の父親が見ている前で、並み居る強豪を次々に倒し、3位に食い込んだ。その時の優勝者は現在十両にいる三田だった。
大会が終わった後、トイレに行くダニーロに声をかけると、まだ15歳だという。
その後インスタグラムでやり取りを続けた。
山中は報徳学園の相撲部出身。安治川部屋(元関脇・安美錦)に声をかけ、親方も練習を見に来て、強さに一目ぼれして入門の運びとなったという。
親方の名にウクライナの国旗の青を入れて四股名にしたという。四股名の下の字は、兄のように慕う山中新大からとった。
入門する前に戦争がはじまり、安青錦は仕事でドイツにいた母親のもとへ行くが、ドイツには相撲をする場がなかった。
山中に「日本に避難できますか?」とメールを打ち、その後、来日したそうだ。
山中の家に居候し、避難者のための日本語学校に通ったが物足りなくて、別の日本語学校へ通った。語学力のすごさに驚いて、本人に尋ねると、「日本語は音がウクライナ語と近い」といったそうだが、テレビでマイクの前でしゃべるのを聞くと、とても来日して3年ぐらいとはとても思えないほど流暢である。
地頭のいい若者なのだろう。だが、戦争については、記者に聞かれてもしゃべろうとしないそうだ。
大横綱・大鵬の父親はウクライナ出身だったそうだ。大先輩の背中を追って横綱に最速で上り詰めるか? 安青錦の来場所が楽しみである。
さて、WBCに大谷翔平が出場すると決定した。
ドジャースの史上初のワールドシリーズ連覇に貢献し、名実ともに「世界一の野球選手」となって帰ってくる来年3月の大会は、動画配信大手「ネットフリックス」が、150億円とも言われる放映権料を支払い、日本国内での全試合を独占配信することでも話題だ。
「かつてネットフリックスの経営陣はスポーツを『死につつあるジャンル』と評し、進出しないことを明言していた。それを翻意したのは、前回大会の経済効果654億円と試算される大谷マネーが魅力的だったからに他ならない。同社は大谷が出場する確信があったから巨額の放映権を獲得したと言います」(スポーツジャーナリスト)
侍ジャパンの井端弘和監督は、失礼ながらあまりパッとしないから、大谷が参加を正式表明したことで、実質的には大谷ジャパンといっていいだろう。
では、大谷ジャパンの布陣はいかになるのだろうか? ワールドシリーズで全4勝のうち3勝を挙げMVPに輝いた山本由伸は出場する見込みだという。しかし、
「来季も開幕投手として本命視されており、チームは怪我のリスクを懸念している。日本で行われる1次ラウンドには参加せず、ベスト8が出揃うアメリカラウンドから合流する案が出ています」(スポーツ紙記者)
シーズン終盤に故障から復活した佐々木朗希は出たいといっているようだが、ドジャース側が否定的だという。
では、大谷の二刀流はあるのだろうか。
「大谷は登板せず、打者専任での出場になる予定です。来季、先発投手としてフル回転するのであれば負荷が大きすぎる。ただ、山本や佐々木と違って、投げるかは本人に一任されており、1イニングなど限定登板はあり得る」(前出・記者)
カブスのエース・今永昇太は、シーズン終盤に不調に陥ったことから出場は見送られる見込みだという。だが、同じ左腕で白羽の矢が立ったのが、大谷が憧れる先輩だそうだ。
「同じ岩手県花巻東高校出身でエンゼルスの菊池雄星です。意外にも侍ジャパン経験のない菊池ですが、井端監督に自ら“逆オファー”をしているそう。日本球界に恩返ししたい思いが強く、昨年は花巻市に私財を投じ野球施設を整備した。WBC出場は恩返しの格好の場になるので出たいのでしょう」(同前)
しかし、大谷は意外にも、
「大谷が、井端監督に『雄星さんは出ますか?』と探りを入れていた。他のメジャー組の動向も気にしているが、それとは違って『出て欲しい』というニュアンスではなかったと言います。先輩がいると、気を遣ってやりづらいのかもしれません」(前出・チーム関係者)
まあ、野球はチームワークだから、そういうこともあるのかもしれないが、試合が始まればそんなことなど気にしている暇はない。
カブスの鈴木誠也は出場するという。そして、あのレジェンドにも。
「パドレスのダルビッシュ有です。10月に2度目のトミー・ジョン手術を受け、来季を全休するため出場はない。ただ、ベンチ入りするスタッフ枠が空いていることから、コーチを打診する案が出ている」(同前)
井端監督は、こうした布陣を考えているそうだ。
「阪神の若きスター・森下翔太です。外野はライトに鈴木、レフトに近藤を置く。そこで11月の韓国戦では森下を、本職のライトからセンターでテストしていた。広島カープの内野手で首位打者の小園海斗、阪神の優勝に大きく貢献した坂本誠志郎捕手も、井端監督の希望で代表入りするとみられます」(別のスポーツ紙記者)
フレッシュなメンバーも加入し、強力な大谷ジャパンだが、アメリカはさらに強力な布陣で臨んでくるという。
「主将は二年連続でア・リーグMVPを受賞したヤンキースのアーロン・ジャッジ外野手。今季60本塁打を放ったマリナーズのカル・ローリー捕手、サイ・ヤング賞を獲得したパイレーツのポール・スキーンズ投手らが出場予定です。カブスの若きスター選手PCAことピート・クロウ=アームストロング外野手も参戦を表明している」(MLB担当記者)
正式なメンバーの発表は、来年1月中旬頃だそうだ。
お次は新潮から。フジテレビの迷走が止まらないという。
中居正広の性加害問題が発端で、CMスポンサーが離れたフジだが、先月、前年比約86%まで回復したと、清水賢治社長が幹部社員の前で宣言したという。
これからは来年4月の番組改編が重要だが、それがうまくいってないというのだ。
その象徴が今年3月にスタートしたばかりの『サン!シャイン』が、来年3月をもって終了することだという。
デイリー新潮(12月09日)はこう報じていた。
「『サン!シャイン』の視聴率は初回こそ4・0%だったが、その後は2~3%台が続いている(ビデオリサーチ調べ、関東地区・世帯)。だとしても『平日朝の帯番組が、たった1年で終了するのは珍しい』と話すのは元テレビ朝日プロデューサーの鎮目博道氏だ。
『帯番組というのは何かをきっかけに視聴率が上向くことがあります。そのため、苦しくても2~3年は我慢するのがセオリーです。ただし、「サン!シャイン」はあまりにも迷走していました。仕切り直したほうがいいという判断だったのでしょう』
メインMCの谷原章介(53)は前身番組『めざまし8』からの続投。同様に、お笑いコンビ・メイプル超合金のカズレーザー(41)もスペシャルキャスターとして引き続き出演。そこに武田鉄矢(76)が加わって『サン!シャイン』はスタートした。
『新しいことをやろうという気合いは感じられました。しかし、この人選からもわかるように、どの世代の視聴者をターゲットにしているのかがわかりにくい。朝のワイドショーは今、「羽鳥慎一モーニングショー」(テレビ朝日)と「あさイチ」(NHK)が高齢層をターゲットにしていて、前者はNHKを含む同時間帯の年間視聴率が5年連続で1位。一方、若者層をターゲットにしているのが「ラヴィット!」TBS)で、視聴率はそれほどでもありませんが13歳から49歳のコア視聴率が高い。これらと比べると「サン!シャイン」は、高齢者向けでも若者向けでもない。放送中に図解される手描きのイラストも見づらく、コンセプトが混乱していてまとめきれなかった印象です。番組を作る側がブレると、見ている側はとてもじゃないけれどついて行けません。それが低視聴率につながったのだと考えられます』(鎮目氏)」
その上、致命的な過ちを犯したというのだ。
「9月末から急遽、アナウンス局次長の佐々木恭子アナ(52)を、キャスターに抜擢したことです。彼女は『サン!シャイン』の前々番組で、かつて高視聴率で鳴らした『とくダネ!』の司会者でした。コンテンツ投資戦略局(旧編成局を解体して新たにつくった局=筆者注)は“夢よもう一度”とばかり佐々木アナに寄りすがったと見られています。案の定、このテコ入れは場当たり的で、視聴率は一向に上向きにならなかったのです」(フジの社員)
打ち切りは仕方なさそうだが、なぜ、もっと早くしなかったのか。先のフジ社員がこう語る。
「清水社長は組織改編にあたって、フジが新たなコンテンツカンパニーに生まれ変わるために、個々の企画における投資効率を重視する方針を示しました。AIやデータサイエンスを用いて、資金の回収可能性を計算するといった企画選定方法を作り上げていくようです。しかし、そんなものは絵にかいた餅で、現在に至るまで具体的な手法が、これと言って伝えられないままだというのです」
テレビはもちろん、雑誌も企画が勝負である。ユニークな企画というのは、AIに生み出せるはずがない。また、効率を考えていては、破天荒な企画など生み出せるわけがないのだ。
まだまだ、どこまでフジの泥濘は続いていくのやら。
