KIBA x ANCHANG インタビュー対談後編 ~お金を払うとかライブ会場に行く、そいうことを含めて音楽には価値がある

――いまKIBAさんは1人でGargoyleをやられているわけなんですけれども、1人でバンドを続けることについてソロ経験もあるANCHANGさんは感じることはありますか?
ANCHANG:これはぼくに関しては簡単で、メタルが好きだけど、グランジ・オルタナみたいなのも好きだから、そういうのもやってみたいということで、ソロもやったんですね。でもメタルしかできないんだなっていうことがよく分かりました。やっぱりバンドが好きみたいなところもあって、まぁ無いものねだりだったかもしれないですけど。
でもKIBAさんはソロでやってみてちゃんと歌おうみたいなものじゃなく、KIBAさんはKIBAさんの世界観しか作れない人だと思うんですよ。ということはそれを作り続けてください、っていうのがぼくの思うところというか、KIBAさんはそうであってほしいです。天草四郎であってほしい(笑)
KIBA:ぼくもいろいろ考えた結果、これしかできないですけど、1つできることがあって良かったってところに行きついたんですよね。
ぼくは上手く歌うとか、こういうことも、ああいうこともはできないけど、「俺、1つだけど、これができるじゃん。良かった。なんとかなる」ってところに行きついてるんで、そこに関しては何とも思ってないですね。
――バンドでやっている時と比べて1人だと苦労は多いものなのですか?
KIBA:楽なことも苦労もどっちもあるけれども、大変で幸せって感じですよ。っていうのは、普段大変なことなんて、すぐにさぼりたい、やめちゃいたい、と思うタイプなんだけど、こんな大変なのに、さぼりたくもやめたくもなくて、一生懸命やりたいものが持ててるって幸せ。そういう物が自分の人生にあって良かったなって感じです。
――ANCHANGさんはどうでしょう。ソロだけでやっていこうとは考えたことはないのですか?
ANCHANG:全然ないですね。やればやるほど、ソロとかではできないんだな、と。SEX MACHINEGUNSに関してはちょっと不思議なバンドというか、SEX MACHINEGUNSマジックみたいなのを持っているので、そういうのが楽しいかな。
SEX MACHINEGUNSって、ダメな奴ばっか集めたんですよ。その当時他のバンドからのけ者にされてたのがNOISYです。SUSSYもやってたバンドから「お願いだから辞めてくれ」と説得されているところを捕まえてきたんです。へなちょこなやつが集まって協力して戦うっていうのが好きなんだと思います。
――KIBAさんの連載の時は毎回皆さんに訊くのですが、いまと昔で違いを感じることって何かありますか?
ANCHANG:バンドが少なくなったのと、ライブハウスがさっき言った弱くなってるなっていうのはありますね。
KIBA:お仕事的というか。
ANCHANG:そうですね。ライブハウスに客商売的な感覚が上がってきたっていうか。昔はちょっと部活的なところがあったんですよね。
KIBA:そうね、村感があったね、ぼくのイメージでは。ここの村、ここの人たち、みんなで頑張ろうみたいな。いまはレンタルしてライブする場所ってイメージ。
ANCHANG:そうですよね。お金払ってくれるんだったら、みたいな。言い方悪いですけど。
――昔のようにライブハウスとの結びつきが強いときの方がやりやすかったとか、やりにくかったとかありますか?
ANCHANG:一長一短でしょうね。ライブハウスがバンド育てるという意味では厳しいほうがいいし。名物おやじみたいなのがいて、野球チームの監督じゃないけど、面倒くさい人のほうがたぶんそのチームは育つ、と。ただやっぱりね、このご時世だから個性を伸ばすという意味では、「好きにやったら?」みたいなところも逆に面白いバンドが出てくる可能性もある。
KIBA:ANCHANGはメタルの人たちからすごく慕われてる。若い人に聞かれたらどういう風に言ってる? ぼくらのバンドどうでしたか? って。
ANCHANG:ふわふわふわ~って答えるだけです(笑)
――後輩のバンドはちゃんと観てあげるのですか?
ANCHANG:観ますけど、あんまり言わないかな。厳しい答えがほしいか、優しく持ち上げてほしいか、どっち? みたいな聞き方をするかもしれないです。
KIBA:褒めて伸びるタイプもいるからってこと?
ANCHANG:じゃなくて、どっちの答えがほしい? って。ぼくに聞かれた場合は本気で厳しく答えると、偉そうなことになるじゃないですか。ただでも、いまここに居るのは君らが頑張ったからだよっていう言い方もできるじゃないですか。だから、そういう意味では俺に何か聞いて、教えることもないし、教えるなんて偉そうなこともないんで「頑張ってください」っていう。そういうスタンスかな。
KIBA:いまだに研究もする?
ANCHANG:いまだに。なるほど、こいつを世に出してはいかん! 出る杭は打ってやるって(笑)
