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松井稼頭央、坂本勇人、源田壮亮……「守備の象徴」か「攻撃の進化」あるいは“総合力”か? 「21世紀最高の遊撃手」論争

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松井稼頭央、坂本勇人、源田壮亮……「守備の象徴」か「攻撃の進化」あるいは“総合力”か? 「21世紀最高の遊撃手」論争の画像1
2026年3月開催のWBCに出場する侍ジャパンの西武・源田壮亮。(写真:Getty Imagesより)

 プロ野球のポジションにおいて、これほどまでに「見る側の評価軸」によって順位が変動する場所も珍しいのが遊撃手だ。

 かつては「守備の人」が就く聖域だったこのポジションは、21世紀に入り劇的なパラダイムシフトを経験した。

 その中でも、歴代最高と呼ばれる坂本勇人や松井稼頭央、さらにプレミア12、東京五輪、WBCで世界一を経験した源田壮亮。

 彼らの名前を並べたとき、そこに絶対的な正解は存在しない。あるのは「あなたが遊撃手に何を求めるか」という哲学の問いだけだ。

 21世紀のNPBを彩った最高遊撃手論争について、その変遷と特異性を紐解いていきたい。

2026年WBC日本代表の構想

「守備型→攻撃型→ハイブリッド」への転換期

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2026年3月開催のWBCに出場する侍ジャパンの西武・源田壮亮。(写真:Getty Images)

 21世紀のショートストップ史は、そのまま「役割の拡張」の歴史と言い換えられる。昭和から平成初期にかけての「ショートは守れて当たり前、打撃は二の次」という不文律は、ある種の突然変異的な才能たちによって破壊された。守備職人の系譜が途絶えたわけではないが、チーム編成における遊撃手の重要度は、攻撃面において飛躍的に高まったと言える。

 2000年代前半、遊撃手はまだ守備優先だった。しかし、松井稼頭央の登場が空気を変える。「遊撃手が30本打つ時代」。これは衝撃だった。

 その後、坂本勇人が“常識”を書き換える。首位打者を獲得し、40本塁打も記録。遊撃手は守る人ではなく、“中心打者”へと進化した。

 この「守備型→攻撃型」への過渡期を経て、現代ではその双方が求められる「ハイブリッド型」への要求が高まっている。そのハードルをきわめて高い次元でクリアしてきたのが、これら3人の怪物たちである。

 まず触れなければならないのが、松井稼頭央についてだ。彼の全盛期、特にMLB移籍前の西武時代におけるパフォーマンスは、遊撃手という枠組みを超越していた。トリプルスリーを達成した打撃力もさることながら、特筆すべきはその圧倒的な身体能力と走塁である。

 長打力、走力、肩、レンジ。「野球の運動能力」を凝縮した存在だった。当時の松井稼頭央は、単に「打てるショート」ではない。グラウンド全体を支配するアスリートとしての格が違った。人工芝の上を弾むように躍動し、深い位置から矢のような送球を見せ、塁に出れば相手バッテリーに絶望を与える。

「ショートに強打者を置く」というアドバンテージを、走攻守すべてにおいて最大化したのが松井稼頭央であり、その瞬間最大風速的なインパクトにおいて、彼を超える存在はいまだに現れていないと言っても過言ではない。

歴代最高と呼ばれる「坂本勇人」

 一方で、積み上げた数字と期間の長さ、そして「右打者のショート」という希少性において、坂本勇人はNPB史上の最高傑作と言える。

“総合力”という言葉が最も似合う。打撃だけなら松井と比較され、守備だけなら源田と比較される。しかし、両面でリーグトップ層を長期間維持した点において、彼はきわめて特異な存在だ。

 高卒2年目から巨人のレギュラーを張り続け、2000本安打を達成し、なおかつショートとしてMVPを獲得する。これは「攻撃型ショート」の完成形であり、ある種の到達点だ。

 坂本の凄みは、守備負担の大きいショートを守りながら、打撃タイトル争いの常連であり続けた点にある。松井稼頭央が「身体能力の化身」なら、坂本は「技術と対応力の極致」。インコース打ちの天才的な技術を含め、打撃における貢献度だけで見れば、歴代遊撃手の中でも頭ひとつ抜けている。

 彼が巨人、そして日本代表のショートに君臨した期間、我々は「ショートが打線の核である」ことを当たり前のように享受してきたが、それがどれほど異常なことだったかは、彼の後継者問題を見れば明らかだろう。

 攻撃の松井・坂本に対し、「守備力特化の最高値」を更新したのが源田壮亮だ。近年、セイバーメトリクスの普及により守備の価値が可視化されるようになったが、源田の守備はデータ以上に「美学」や「文化」の領域に達している。

「たまらん」という言葉がSNSで流行したように、彼の一挙手一投足はエンターテインメントとして成立する。捕球から送球への滑らかな移行、ポジショニングの妙、そしてミスをしない安定感。

 かつての「守備職人」たちが持っていた職人芸を、現代野球のスピード感の中で完璧に表現し、「守備だけで金が取れる」ことを再定義した。プレミア12や東京五輪の優勝はもちろん、WBCで指の骨折を押してのプレーも含め、彼の存在は「守備の象徴」として、21世紀のショート論に欠かせないピースとなっている。

 今では経験豊富なベテランとなり、2026年WBCでも守備はもちろん、いやらしい打撃も含めた活躍が期待されている。

 結局のところ、21世紀最高遊撃手論争の結論はこうなる。圧倒的なインパクトを求めるなら、坂本勇人か松井稼頭央。試合を支配する守備の芸術性を求めるなら、源田壮亮。

 これは優劣の話ではない。もちろん、鳥谷敬の選球眼とタフネス、井端弘和や宮本慎也のように長年チームを支えた職人気質の選手など、論点は尽きない。だが、この3人が「21世紀のショート像」を決定づけたことは間違いないだろう。

王者として連覇するための展望

(文=ゴジキ)

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ゴジキ

野球著作家・評論家。これまでに『巨人軍解体新書』(光文社新書)や『戦略で読む高校野球』(集英社新書)、『甲子園強豪校の監督術』(小学館クリエイティブ)などを出版。「ゴジキの巨人軍解体新書」や「データで読む高校野球 2022」、「ゴジキの新・野球論」を過去に連載。週刊プレイボーイやスポーツ報知、女性セブン、日刊SPA!、プレジデントオンラインなどメディアの寄稿・取材も多数。Yahoo!ニュース公式コメンテーターにも選出。

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ゴジキ
最終更新:2026/02/19 12:00