KIBA×KISAKI インタビュー対談 前編~「いつか後悔しても、今やりたいことをやる」

Gargoyleのボーカリスト・KIBAと、ヴィジュアル系シーンで長く活動を続けてきたKISAKI。
世代も歩んできた道も異なる二人だが、その言葉を追っていくと、不思議なほど共通するものが見えてくる。既存の「正解」に収まらないこと。自分にしかできないものを探し続けること。そして、結果がどうなるかよりも今やりたいことを選ぶこと。
今回は、KISAKIの半世紀記念作品での共演を機に対談が実現した。前編では、二人の出会いからGargoyleとヴィジュアル系、バンドを続けることについて話を聞いた。
――お二人は、もともとどのような接点があったのでしょうか。
KIBA:KISAKI君がやっている活動の中で、ライブに誘ってもらったりすることがあって。僕はヴィジュアル系にそんなに詳しかったわけじゃないんですけど、「気にかけてくれているんだったら、一緒にやってみようかな」と思って出させてもらって。そこから、ちょこちょこ連絡をもらって、ご一緒する機会が増えていった感じですね。
KISAKI:僕からすると、Gargoyleは中学生の頃から聴いていたバンドなんです。だから最初に対バンできるとなった時点ですごく緊張しました。
そこから節目節目で声をかけさせてもらって、僕の誕生日イベントにも出ていただいて。大先輩なんですけど、すごくフランクに付き合っていただいています。
――KISAKIさんにとって、Gargoyleはどんなバンドだったのでしょう。
KISAKI:ヴィジュアル系というジャンルでは活動していますけど、僕自身はクラシカルなものとロックの融合みたいな音楽が好きなんです。そういう意味でもGargoyleは独特でした。単純にロックというだけではなく、独自の世界観や音楽性を確立していて、僕にとってはとても印象に残っているバンドです。
和の要素とメタルが混ざっていて、ただのメタルバンドでもない。でも見た目はものすごくヴィジュアル系だった。演奏力も高いし、ハードコア的な激しさもある。何に分類していいのかわからないバンドというか。そこがすごく魅力的でした。
――KIBAさん自身は、当時Gargoyleをヴィジュアル系だと思っていたんですか。
KIBA:僕らの頃は、そもそもヴィジュアル系っていう言葉がなかったからね。ライブハウスに出演するとき、「ジャンルを書いてください」みたいな欄があって、普通に「ロック」って書いたりしました(笑)。
たぶんKISAKI君たちは、ヴィジュアル系の「正解」を作ってきた側だと思うんですよ。ヴィジュアル系ってこういうものだ、というものが出来上がっていく、その中心にいた一人だと思う。
でも僕らの頃には、その正解そのものがなかった。だから、とにかくやりたいことをやりたかったし、むしろ当時あった正解みたいな雰囲気からはみ出したかったんですよね。
「バンドってこういう感じだよね」というものがあったとしたら、その中にいるのはつまらない。外に出て、自分たちにしかできないものをやりたい。そんな感覚だったと思います。
KISAKI:でも僕は逆に、Gargoyleの中に入りたかったんですよ(笑)。あの世界に憧れていた。

KIBA:KISAKI君たちの世代が作ったものが認められて、やがて「ヴィジュアル系」という村になったんだと思う。でも僕らは、当時あったバンド社会みたいな村から出たかった。だからヴィジュアル系と同じ派手な格好はしていても、スタート地点の感覚は少し違うのかもしれない。
KISAKI:その個性はものすごく出ていましたよ。大阪にも髪を立てて派手な格好をしたバンドはたくさんいましたけど、Gargoyleはその中でも異色だった。一つひとつの活動が話題になるというか、常に目を引く存在でした。
――現在のKIBAさんは、世代の違うバンドとも積極的に共演していますよね。
KIBA:若い人たちともやりたいんですよ。今の自分たちが通用するのか知りたい、というのがあるんです。
例えば、お客さんから服をもらうことがあるじゃないですか。「俺だったら絶対これ買わないな」っていう服をもらったとしても、くれた人は「これがいい」と思ったわけですよね。だったら、その自分にはない感覚を試してみる。それってすごく大事だと思っているんです。
自分が得意なことだけやっていたら、幅は広がらない。全部取り入れる必要はないけれど、自分が知らないものを知りたいという欲はある。特に若い人は自分とは違うアンテナを持っているから、そこから知れることも多い。その上で、自分が今でも通用するのか試したいんですよね。
KISAKI:それはすごい素敵なことだと思います。ある程度キャリアが長くなると、同世代のベテラン同士でやることが増えていくじゃないですか。でもKIBAさんは、若いバンドともちゃんと向き合う。
僕らからすると「機会をもらっている」のはこっちなんですよ。でもKIBAさん自身は、そこから自分も何かを受け取ろうとしている。たぶん、そこがずっと活動を続けられる理由の一つなんじゃないかなと思います。

――バンドを続けることについて、KISAKIさんはどう考えていますか。
KISAKI:続けることが一番大変だと思います。年齢もあるし、お金の問題もあるし、考え方も変わる。バンドって、どうしてもメンバー間に温度差が出てくるものだと思うんです。
僕は自分のバンドがそんなに長続きしたことがない。いろんなバンドを作って、壊して、終わらせて、また新しいものを作ってきた。やりたいことの理想がどんどん高くなっていくんですよ。
でも活動を続けていると、「このままでいいんじゃない?」という人が出てくる。僕は「もっとライブをやろう」「もっと上を目指そう」という側だったので、その温度差はすごくありました。
――ライブ本数もかなり多かったそうですね。
KISAKI:多い時は年間200本くらいやっていました。日本全国を回って、ほとんど家に帰らない。ホテル代ももったいないから車中泊したり、公園にテントを張ったり。当時はインターネットもなかったから、全国の人に知ってもらおうと思ったら、自分たちで行くしかなかったんですよ。
東京や大阪だけではなくて、地方へ行く。そうすると、雑誌に少ししか載っていないのに、ものすごく詳しく知ってくれている人がいる。「本当に存在してたんだ」みたいな目で見てもらえるんですよね。それがうれしくて、また行きたくなる。その繰り返しでした。
――Gargoyleは長く同じメンバーで活動してきました。その後、KIBAさん一人になった時は、かなり葛藤があったのではないですか。
KIBA:メンバーが辞めるとなった時は、もちろん「困ったな」と思いましたよ。でも同時に、ちょっと「面白そう」とも思ったんですよね。
KISAKI:そこがすごい(笑)

KIBA:よく「あとで後悔しないようにちゃんと生きよう」と言うけど、僕は逆で。いつか後悔してもいいから、今やりたいことをやりたい。
例えばバンドでも、自分がやりたいことをやって、それで売れなかった。それは別にいいんですよ。でも、やりたくないことをやって売れなかったら、それは嫌でしょ。
この先、後悔するかどうかなんて、そんなに大きな話じゃないと思っているんです。やりたいことをやってみて、その結果がどうなるか。僕にとっては、その方が大事ですね。
KISAKI:それは今、僕もすごく感じます。今すぐ評価されなくてもいい。自分が音楽をできなくなったあと、50年後、100年後に評価されるようなものになったとしても、それはそれでいいと思うんです。だから身体が動くうちは作り続けたい。いろいろ試したいし、自分にしかできないことをやってみたい。そこは、僕がGargoyleやKIBAさんから受け取ってきたものと、どこかつながっているのかもしれないです。
(文/構成=Leoneko、写真=石川真魚)
※後編へ続く
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【GUEST PLAYER】
Vocal→
橋本直樹(OUTRAGE)
KIBA(Gargoyle)
苑(摩天楼オペラ)
団長(NoGoD)
マコト(ドレミ團・怪人二十面奏)
ryo(GULLET/ 9GOATS BLACK OUT / HOLLOWGRAM他)
椎名ひかり
Guitar→SAKI (Mary’s Blood・NEMOPHILA他) / Iyoda Kohei
Drums→森谷亮太
●詳細
KISAKI official HP

