『名探偵コナン 隻眼の残像』で注目! 「長野県警」声優の業界評――「唯一無二の武器」とは?


大ヒット公開中のアニメ映画『名探偵コナン 隻眼の残像(フラッシュバック)』(以下、『隻眼の残像』)が、5月6日までに累計興行収入100億円を突破した。同作でメインキャラクターを演じている声優たちの評判について、業界関係者に話を聞いた。
映画『名探偵コナン 隻眼の残像』、 興収104億突破でシリーズベスト3の成績
「劇場版 名探偵コナン」シリーズの第28作目として4月18日に封切られた『隻眼の残像』。私立探偵・毛利小五郎(声優・小山力也)、長野県警の警部・大和敢助(声優・高田裕司)と諸伏高明(声優・速水奨)、上原由衣(声優・小清水亜美)がキーパーソンとなり、同県の雪山で起きた過去と現在の事件を軸に物語が展開する。
興行通信社の発表によると、公開から3日間で観客動員231万5000人、興行収入34億3900万円を記録し、『コナン』シリーズで歴代ナンバーワン発進となったそう。その後も勢いを落とすことなく、ゴールデンウィーク期間でさらに客足を伸ばし、振替休日だった5月6日までの累計成績は動員726万人、興収104億円を突破した。
「今作では小五郎と“長野県警”という大人たちの活躍が描かれており、これまでのシリーズと比べるとシリアスなトーンで物語が展開。サスペンス要素も強くなっています。近年、劇場版シリーズはキッズだけでなく大人もメインターゲットに据えていますが、今回はより大人向けにシフトしている印象を受けました。早くもシリーズベスト3の数字をあげていますし、歴代最高興収の『100万ドルの五稜星(みちしるべ)』(24年公開)の158億円、2位の『黒鉄の魚影(サブマリン)』(23年公開)の138.8億円にどこまで迫れるか注目です」(声優ライター・勅使河原みなみ)
『名探偵コナン』 長野県警声優・ 高田裕司&速水奨の業界評
なお、主要登場人物の一人である小五郎と比べると、長野県警組の3人はテレビアニメ版(日本テレビ系)でも出番が少なく一般知名度は低いだけに、キャラクターや演じている声優陣についてもよく知らないという人は多いだろう。
劇中、雪山で雪崩事故に遭い隻眼となった敢助の声を担当しているのは、『コードギアス 反逆のルルーシュ』シリーズ(TBS系)で藤堂鏡志朗役を演じた高田裕司だ。業界関係者は彼の評判について以下のように話す。
「高田さんは、声優というよりも、舞台俳優やナレーターとして長年活躍されてきた方。演技経験が豊富なこともあって声優としての演技も非常に安定しており、加えてナレーションに求められる高度な技術と、高田さんならではの深く響く声を持ち合わせています。それが安定した仕事ぶりにつながっているのでしょう」(制作会社関係者、以下同)
続いて、敢助の幼なじみで、「黒ずくめの組織」に「スコッチ」として潜入し、後に殉職した公安部の警察官・諸伏景光の実の兄、高明役を務めている速水奨については、「甘い低音でよく響く唯一無二の声質の持ち主で、『あの声がほしい』と名指しでオファーされることは多いはず」とのこと。
実際、『BLEACH』シリーズ(テレビ東京系)の藍染惣右介役をはじめ、音楽原作キャラクターラッププロジェクト『ヒプノシスマイク-Division Rap Battle-』の神宮寺寂雷役など、人気作品のキャラクターを多く演じてきた速水だが、一方では、「肝心の演技は、どこか“棒演技”」と厳しい意見も聞こえてきた。
声優・小清水亜美の “アニメ声”とは一線を画す「ならではの魅力」
そして、同じく敢助の幼なじみで彼に想いを寄せる上原由衣役の小清水亜美は、「子役として芸能活動を始めた後、声優へと転向し、確かなキャリアを築いてきた方」で、「声優養成所出身者に多い“アニメ声”とは一線を画す、彼女ならではの個性的な声質が魅力」だそう。『交響詩篇エウレカセブン』(TBS系)のアネモネ役、『スイートプリキュア♪』(テレビ朝日系)の北条響/キュアメロディ役などで知られている、
「『コナン』などの人気作品に現在も出演できていることが、彼女の実力を裏づけています。特に、女性声優は“アイドル売り”が重視されることも多く、年齢とともに露出が減る傾向にあるため、長く活躍し続けるためには、演技力や表現力といった技術に加え、自身の声の個性を活かす力が求められます。アラフォーに突入してなお現役で活動を続けていることは特筆に値するといっていいでしょう」(同)
なお、アニメ現場からナレーターへの転向を図る声優も少なくないというが、「ナレーションはまた別の高い技術と表現が必要」だとか。小清水のように声優としてのキャリアを持続させるには、「年齢や声質の変化に応じた仕事の選び方、事務所のマネジメント力も重要な要素」となるようだ。
「今後、AIの進化により、声優業界も大きな変化を迎えることが予想されます。そうした中で、小清水さんは40代前後の女性声優として、現在も安定したポジションを保っている、ひとつの成功例といえるでしょう」
3人共通して、唯一無二の“声”を武器に活躍していることは間違いないだろう。『隻眼の残像』をきっかけに、長野県警組のファンも増えているだけに、テレビシリーズでも登場回数が増えることを期待したい。
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