2位ダウンの『名探偵コナン 隻眼の残像』特典商法に賛否! 『岸辺露伴』新作には絶賛も……映画興収ランキングトップ10


最新の全国週末興行成績ランキング(興行通信社調べ、5月23~25日)で、『ミッション:インポッシブル/ファイナル・レコニング』(5月23日公開)が1位を獲得。アニメーション作品『名探偵コナン 隻眼の残像』(4月18日公開)のV6を阻止した。
『名探偵コナン 隻眼の残像』6週目で首位逃す――“特典商法”には賛否も
5月26日発表の全国週末興行成績ランキングで首位に立った『ミッション:インポッシブル/ファイナル・レコニング』は、トム・クルーズが主演を務める人気シリーズの最新作。先行上映も行われていたことから、前回のランキングでも土日2日間の成績で2位にランクイン。今回は週末3日間で観客動員53万1000人、興行収入8億4900万円をあげ、満を持して1位をマーク。累計興収は16億円を突破している。
そんな新作の勢いにより、初めて首位を明け渡した『名探偵コナン 隻眼の残像』だが、公開6週目の週末3日間も動員25万5000人、興収3億7600万円という成績で2位につけた。累計興収は128億円を超え、国内で上映された歴代映画の興収ランキングでは29位と、早くもトップ30入りしている。
しかし、映画ライターのヒナタカ氏によれば、前作『100万ドルの五稜星』(最終興収158億円)は同じく6週目で135.3億円を記録していたことから、客足は「少しペースダウンしている」とのこと。
「『隻眼の残像』は公開からわずか19日間で104億円を超え、コナン映画史上最速で100億円を突破していたのですが、今回はゴールデンウィーク明けの落ち込みが顕著だったようです。ファミリー層をターゲットにした『マインクラフト/ザ・ムービー』という強力なライバルの存在と、アクション映画の需要に応えた『ミッション:インポッシブル/ファイナル・レコニング』が本公開された影響も大きいのでしょう」(ヒナタカ氏、以下コメント同)
なお、コナン映画は「入場者特典なしでもここまでの興行成績を叩き出していることが称賛されてきた」というが、今作をめぐっては“特典商法”が賛否を呼んでいるそうだ。
「5月30日からスタートするコナン映画史上初となる『SCREENX』や『ULTRA 4DX』での上映は歓迎されていますし、全上映回での原作者・青山剛昌氏による『描きおろし100億突破イラストを”名前入り”でゲットできるデジタルコンテンツ』の配布も好評のようです。ただ、次回作の第29弾にまつわる新規『後付け映像』(8月末ごろ東宝MOVIEチャンネルにもアップ予定)の追加をめぐっては、『コナン映画は露骨な観客動員サービスがないのが魅力だったのに』『あまりこざかしいことはやってほしくない』とネガティブな声が上がっているんです」
さらに、6月6日からは、豪華キャスト6名が耳元でエピソードトークを繰り広げる、映画館でしか聞けない「副音声上映」もスタートする。
「何しろコナン映画は熱心なファンの数がとてつもなく多いため、もちろんこれらの施策により観客動員数を伸ばすでしょうし、実際に好評を得るとは思いますが、歓迎ムード一色ではないのも事実。特典の内容次第では、ファンを“冷めさせる”結果になりかねないので、製作側はファンの声に耳を傾けるようにしていただきたいですね」
4位初登場『岸辺露伴は動かない 懺悔室』、原作ファンから絶賛の声
そのほか、今回の全国週末興行成績ランキングでは、高橋一生主演の『岸辺露伴は動かない 懺悔室』が4位に、長編アニメ『ドラゴン・ハート―霊界探訪記―』が6位に、寺尾聰と松坂桃李がダブル主演する『父と僕の終わらない歌』が8位に初登場(いずれも5月23日公開)。
『岸辺露伴は動かない 懺悔室』は漫画家・荒木飛呂彦氏が手がける人気作『ジョジョの奇妙な冒険』(集英社)シリーズのスピンオフ『岸辺露伴は動かない』を高橋主演で実写化した映画の第2弾。2020年からNHKで不定期にドラマ化され、23年に映画第1弾『岸辺露伴 ルーヴルへ行く』が公開された。
第2弾の今作は、主人公の岸辺露伴(高橋)が「幸せの絶頂を迎えた時に“絶望”を味わう」という呪いをかけられた男の懺悔を聞き、やがて自身も呪われていることに気づいて……といった内容。全国337スクリーンで封切られ、初日から3日間で動員17万7000人、興収2億5900万円を記録した。
「前作『岸辺露伴 ルーヴルへ行く』は、ドラマ版の影響で高橋の人気が高まったこともあり、272スクリーンとやや抑えられた上映館数でも公開から3日間で3億1400万円(最終12.5億円)という好スタートを切っていました。今作は数字こそ落としているものの、ドラマの放送開始から時間が経ち、同じく漫画原作の邦画『かくかくしかじか』がライバルとなっている中では上々の出足でしょう。高橋と泉京花役の飯豊まりえは、前作での共演がきっかけで24年5月に結婚し、今作では夫婦として作品に参加しています。2人への“ご祝儀”代わりで劇場に足を運んだ人もいそうですね」(前出・同)
今作ではほかにも井浦新、玉城ティナ、戸次重幸、大東駿介らが新たにキャスティングされており、また、「邦画初イタリア・ヴェネツィア、オールロケ敢行」というスケールの大きさも見どころとなっている。
「ネット上では、『ヴェネツィアでロケしているだけあって映像がきれい』『原作に足された要素もあったけど、きちんとまとまってたと思う』『高橋一生がよかったのはもちろん、井浦さんや大東さんの「ジョジョ」っぽい演技が最高。戸次さんの役はすごく怖かった』などと、シリーズ最高といえるほどに原作ファンから絶賛の声が多く寄せられています。原作漫画は49ページの『短編』でしたが、2時間弱の長編映画に仕立てるにあたって『原作の再現』『必然性のある“その後”の物語』『岸辺露伴の漫画家としてのプライド』の示し方など、それぞれが申し分ない出来でした。『かくかくしかじか』もそうですが、こうして原作を大切にしつつ、映像化作品ならではの新たな魅力もしっかり打ち出した邦画が今後も生まれることに期待したいです」(同)
ローマ教皇選挙の裏側描く『教皇選挙』、トップ圏外でも興収10億円突破!
続いて、6位の『ドラゴン・ハート―霊界探訪記―』は、「霊界探訪」をテーマに宗教家・大川隆法氏が原作・製作総指揮を務めた長編アニメ。いとこ同士の中学生・竜介(声優・小林裕介)と知美(声優・廣瀬千夏)が川で急流にのまれ、元の世界へ戻るために霊界の旅をする模様を描いている。
8位の『父と僕の終わらない歌』は、イギリス人親子の実話をもとにしたヒューマンドラマ。ミュージシャンとしてレコードデビューを目指しながらも、息子・雄太(松坂)のために夢を諦めた過去を持つ主人公・間宮哲太(寺尾)が、ある日、アルツハイマー型認知症と診断され、父親の夢を実現させるべく息子が奔走する感動物語だ。
そのほか、現在トップ10圏外ではあるが、ローマ教皇選挙「コンクラーベ」の舞台裏と内幕に迫ったミステリー『教皇選挙』(3月20日公開)は口コミを広げ、ついに興収10億円を突破。
一方、5月30日からは漫画家・芥見下々氏の人気作『呪術廻戦』(集英社)のテレビアニメ第2期のエピソードの総集編『劇場版総集編「呪術廻戦 懐玉・玉折」』や、同じく漫画家の吾峠呼世晴氏の人気作『鬼滅の刃』のテレビアニメ第2期を2部構成でまとめた後編『「鬼滅シアター-『鬼滅の刃』特別編集版 劇場上映-」遊郭編「遊郭決戦編」』も公開予定。
実写作品も、豆原一成(JO1)が主演を務める『BADBOYS -THE MOVIE-』や、奥平大兼と出口夏希がダブル主演する『か「」く「」し「」ご「」と「』、風間俊介とMEGUMIによる今年1月期放送の深夜ドラマ(テレビ東京系)の続編となる『劇場版 それでも俺は、妻としたい』などが上映開始予定で、ランキングにどう影響してくるか注目だ。
全国映画動員ランキングトップ10(5月23~25日、興行通信社調べ)
1位:『ミッション:インポッシブル/ファイナル・レコニング』
2位:『名探偵コナン 隻眼の残像』
3位:『マインクラフト/ザ・ムービー』
4位:『岸辺露伴は動かない 懺悔室』(初)
5位:『かくかくしかじか』
6位:『ドラゴン・ハート―霊界探訪記―』(初)
7位:『劇場版 うたの☆プリンスさまっ♪ TABOO NIGHT XXXX』
8位:『父と僕の終わらない歌』(初)
9位:『#真相をお話しします』
10位:『たべっ子どうぶつ THE MOVIE』