『「鬼滅の刃」無限城編』胡蝶しのぶ役・早見沙織の“リアルさ”にファン脱帽――業界関係者も好感を持つ演技の魅力


現在大ヒット公開中の『劇場版「鬼滅の刃」無限城編 第一章 猗窩座再来』(以下、『無限城編』)。映画を見た原作ファン、アニメファンの間では、メインキャストの一人である女性声優・早見沙織の“熱演ぶり”が話題を呼んでいるようだ。
『劇場版「鬼滅の刃」無限城編 第一章 猗窩座再来』、日本映画史上最高のオープニング成績を記録
2016年2月から20年5月にかけて「週刊少年ジャンプ」(集英社)で連載された人気漫画(作・吾峠呼世晴)が原作の同アニメ。主人公・竈門炭治郎(声優:花江夏樹)が、鬼になった妹・禰豆子(声優:鬼頭明里)を“人間へ戻す”ために入隊した「鬼殺隊」で、成長を遂げる姿を描いた作品。
19年3月に同4月スタートのテレビアニメ『「鬼滅の刃」竈門炭治郎 立志編』(TOKYO MXほか)の第1話から第5話までで構成された特別上映版『「鬼滅の刃」兄妹の絆』が劇場先行上映され、20年10月には、続編として『劇場版「鬼滅の刃」無限列車編』が公開。最終興行収入404.3億円という大ヒットを飛ばし、国内歴代興収第1位に躍り出た。
「今回の『無限城編』は、その後に全7話で再構成されたテレビ版『無限列車編』(フジテレビ系、21年10月~11月)、『遊郭編』(同、21年12月~22年2月)、『刀鍛冶の里編』(同、23年4~6月)、『柱稽古編』(同、24年5~6月)に続く物語。宿敵・鬼舞辻無惨(声:関俊彦)の根城である『無限城』を舞台にした最終決戦の模様を3部作で映像化するうちの第1章で、タイトルにもある通り、『無限列車編』で鬼殺隊の炎柱・煉獄杏寿郎(声:日野聡)と死闘を繰り広げた十二鬼月の上弦の参・猗窩座(声:石田彰)らとの戦いがメインで描かれています」(声優ライター・勅使河原みなみ)
興行通信社の発表によると、映画公開初日に動員数115万人、興行収入16.5億円でスタート後、祝日の7月21日を含む4日間の累計は動員数516万人、興収73億円まで伸ばし、日本映画史上最高のオープニングを飾ったそうだ。
ネット上には、「映画ならではの映像美と声優の迫力の演技がすばらしかった」「原作読んでるから内容知ってはいたけど、猗窩座のエピソードで泣いた」「終始石田彰さんのお芝居に圧倒された」などと、映画を見た人による感想が溢れている。
『鬼滅の刃』胡蝶しのぶ役・早見沙織の“リアルな演技”に絶賛の声! 業界関係者が好感を持つワケとは?
また、今作では、姉である胡蝶カナエ(声:茅野愛衣)の仇を討つため、因縁の相手である上弦の弐・童磨(声:宮野真守)と対峙する蟲柱・胡蝶しのぶの活躍も描かれており、演じている早見について、「セリフひとつひとつに童磨に対する怒りと怨嗟が込められててすごかった」「片方の肺をやられてゴロゴロ音が混じった呼吸とかリアリティがありすぎて驚いた」「演技力の高さにあらためて脱帽した」と絶賛する声も多い。
早見は2007年4~9月放送のテレビアニメ『桃華月憚』(TOKYO MXほか)でデビューし、『俺の妹がこんなに可愛いわけがない』新垣あやせ(同)、『魔法つかいプリキュア!』シリーズの花海ことは/キュアフェリーチェ/はーちゃん(テレビ朝日系)、『 賭(か) ケグルイ』シリーズの 蛇喰夢子(TOKYO MXほか)、『SPY×FAMILY』ヨル・フォージャー(テレビ東京系)など、さまざまな人気作で主要キャラクターを演じてきた実力派だ。
彼女の印象について、制作会社関係者は以下のように語る。
「早見さんは、自然体な演技をする声優です。『声を聞いても誰だかわからない』というように、特徴的な声を持たない同世代声優がいる中で、彼女は透明感のある柔らかな声質が際立つ稀有な存在といえるでしょう。多くの声優は、まずいわゆる“アニメ声”を作り上げ、その後キャラクターを形作る傾向がありますが、早見さんは自分本来の声を活かした演技をするタイプ。まっすぐな演技スタイルが魅力的で、非常に好感が持てます。もしかすると、彼女が声優を志すきっかけになった、洋画『ローマの休日』(1953年)などで知られるイギリス人女優、オードリー・ヘプバーンの吹き替えを務めた池田昌子さんの影響があるのかもしれません」
なお、早見は22年5月に日本テレビ系「金曜ロードショー」枠で『ローマの休日』が放送された際、新たな吹き替え声優としてアン王女役を演じている。
「子役経験があり、女優として舞台やドラマでも活躍していた池田さんは、とてもナチュラルな演技をされる方。早見さんも池田さんにならい、声を変えることで演技の幅を広げようとはせず、むしろ自分の声を活かしながらキャラクターを演じ分けたいと考えているのでは。実はこのように、一つの声でキャラクターを演じ分けようと挑戦することはとても大切なことです。早見さんは、心から演じているのが伝わってくる声優のひとりだと思います」
作り込みすぎず、自然体で演じているからこそ、キャラクターにリアリティが生まれるのだろう。劇場に足を運んだ際は、「生々しくて怖かった」との声も寄せられている早見の熱演ぶりにも注目してほしいところだ。
(取材・文=サイゾーウーマン編集部)