二宮和也主演『8番出口』注意喚起が「遅い」の声も……邦画ホラー史上No.1ヒットの可能性!? 映画興行収入ランキングトップ10


最新の全国週末興行成績ランキング(興行通信社調べ、8月29~31日)で、アニメーション作品『劇場版「鬼滅の刃」無限城編 第一章 猗窩座再来』(7月18日公開、以下『無限城編』)がV7を達成した。
『「鬼滅の刃」無限城編』、累計興収300億円到達まで秒読みに
9月1日発表の全国週末興行成績ランキングでも首位を守った『無限城編』は、漫画家・吾峠呼世晴氏が「週刊少年ジャンプ」(集英社)にて連載した『鬼滅の刃』の劇場版アニメ最新作。上映開始から7週目の週末かつ夏休み期間最後の3日間も観客動員70万6000人、興行収入10億9500万円をあげ、累計興収は299億円を突破した。300億円到達まで秒読み段階に入った。
続く2位には嵐・二宮和也が主演を務める『8番出口』が、7位には中国・上海出身のベン・ウォン主演の『ベスト・キッド:レジェンズ』がそれぞれ初登場ランクイン(いずれも8月29日公開)。一方、吉沢亮が主演する『国宝』(6月6日公開)は前回の2位からワンランクダウンの3位となったものの、封切りから13週目の週末3日間も動員33万5000人、興収4億9000万円を記録。累計興収は124億円を超え、国内で上映された歴代映画ランキングでは32位まで上昇してきている。
二宮和也主演『8番出口』、『無限城編』V7を阻止した可能性&邦画ホラー史上No.1大ヒット作に!?
今回2位の『8番出口』は、インディーゲームクリエイター・KOTAKE CREATE制作の同題ゲームを実写化。二宮演じる主人公(迷う男)が無機質な地下通路に迷い込み、「異変を見逃さないこと」「異変を見つけたら、すぐに引き返すこと」「異変が見つからなかったら、引き返さないこと」「8番出口から外に出ること」といった案内に従って地下通路からの脱出を試みるが……という内容だ。
二宮のほか小松菜奈、河内大和、花瀬琴音、浅沼成が出演し、監督・脚本は『怪物』(2023年公開)の企画・プロデュースなどで知られる川村元気氏が担当。全国347スクリーンという大規模で公開され、初日から3日間で動員67万2000人、興収9億5400万円をマークした。
同作について、映画ライターのヒナタカ氏は以下のように語る。
「2025年公開の実写映画でNo.1のスタートとなり、しかもホラー要素が強い、若者に人気のコンテンツの映画化ということが共通する『変な家』(24年/最終50.7億)の初動記録4.7億円の2倍以上の成績です。公式側が積極的にホラーというジャンルを打ち出しているわけではありませんが、『8番出口』はその『変な家』をも超えて、日本のホラー映画史上No.1の大ヒット作になるかもしれません。また、7週目でも1位をキープした『無限城編』との3日間での興収の差は1億4000万円ほどでした。『無限城編』の『4DX・MX4D』の本上映スタートと新たな特典として『スペシャルインタビューブック』でのブーストがなかったら、『無限城編』のV7を阻止した可能性もあったでしょう」
そんな『8番出口』について、鑑賞済みのネットユーザーからは「ゲームを実写化ってどうするのかと思ってたけど、オリジナルストーリーもいい感じだった」「やっぱりニノは信頼できる」といった声が上がった一方、上映開始直後から「津波描写がリアルすぎる」「ゲームに出てくる波くらいだったら注意喚起しなくてもいいかもしれないけど……」「ネタバレとか言ってられないレベル」という指摘も多く寄せられていた。
こうした声を受けてか、映画公式X(旧Twitter)では9月1日に「本映画は、無限に続く地下通路を舞台としていますが、その中で津波など自然災害を想起させるシーンがございます。ご鑑賞にあたりましては、予めご注意いただきますようお願い申しあげます」(原文ママ)とアナウンスした。
「ホラー映画を見慣れていない層もたくさん劇場に訪れていたこともあってか、『怖い』というよりも、強いストレスを与える描写に拒否反応を抱いているような意見もよく見かけます。公式側のアナウンスに対して『遅い』という声が出るのももっともでしょう。それでも、ループする地下通路シチュエーションの“没入観”を映画という媒体で突き詰めている内容なので、できるだけ映画館で見てほしいですね」
初登場7位『ベスト・キッド:レジェンズ』、『トップガン マーヴェリック』を連想するワケ
今週7位にランクインしたもうひとつの新作『ベスト・キッド:レジェンズ』は、人気の『ベスト・キッド』シリーズ最新作。『ベスト・キッド』(1984年公開)で主人公・ダニエルを演じたラルフ・マッチオと、2010年公開のリメイク版『ベスト・キッド』でカンフーの達人であるミスター・ハンを演じたジャッキー・チェンが初共演することでも話題の今作は、中国・北京でハンからカンフーを教わっていた高校生・リー(ベン)が主人公だ。
リーは移住先の米・ニューヨークでトラブルに巻き込まれるが、ハンの計らいでダニエルから空手を学ぶことになり、空手とカンフー両方の格闘スタイルで究極の格闘大会に挑む……といったストーリー。前作(リメイク版『ベスト・キッド』)の最終興収15.2億円を超えられるか。
「長い歴史のあるシリーズの最新作で、18年からNetflixで続編となるドラマ『コブラ会』も配信されていたことも踏まえると少し物足りない印象もありますが、それでも映画ファンがちゃんと劇場に足を運んだからこその初週ランクインでもあるでしょう。シリーズを知らなくても楽しめる万人向けのエンタメ性と、シリーズが年月を重ねていたからこその感動が同居していることは22年公開の映画『トップガン マーヴェリック』を連想させますし、高校生の少年が格闘技や恋愛を通じて成長するドラマは共感を得やすく、上映時間が94分とコンパクトでテンポも良いので、気軽に見てほしいです」
なお、この夏は『無限城編』と『国宝』が歴史的な大ヒットを飛ばし、その異例の数字にマヒしてしまいがちだが、「洋画も健闘した」とのこと。
「『スーパーマン』(7月11日公開)が10億円、『F1(R)/エフワン』(6月27日公開)が20億円、『ジュラシック・ワールド/復活の大地』(8月8日公開)が40億円を突破と、洋画でもしっかりヒットした作品がありました。夏休み終わりにこの『ベスト・キッド:レジェンズ』が好評を得ていることは喜ばしいですし、9月5日から公開の実写版『ヒックとドラゴン』も盛り上がることを期待したいです」
そのほか、邦画では同じ5日に広瀬すず主演の『遠い山なみの光』が上映を開始。日本・イギリス・ポーランド合作の3か国共同製作で、『第78回カンヌ国際映画祭』の「ある視点」部門出品作としても注目を集めているだけに期待がかかる。
全国映画動員ランキングトップ10(8月29~31日、興行通信社調べ)
1位:『劇場版「鬼滅の刃」無限城編 第一章 猗窩座再来』
2位:『8番出口』(初)
3位:『国宝』
4位:『劇場版「TOKYO MER~走る緊急救命室~南海ミッション」』
5位:『ジュラシック・ワールド/復活の大地』
6位:『映画クレヨンしんちゃん 超華麗!灼熱のカスカベダンサーズ』
7位:『ベスト・キッド:レジェンズ』(初)
8位:『近畿地方のある場所について』
9位:『雪風 YUKIKAZE』
10位:『バレリーナ:The World of John Wick』