【秋ドラマ初回・個人視聴率ランキング】トップは妻夫木聡『ザ・ロイヤルファミリー』、最下位はあの“死に枠”作品


2025年10月期のGP帯連続ドラマが続々とスタートし、初回の平均個人視聴率が出そろった。民放5局で放送中の作品を対象に、ランキング形式で紹介する。
1位『ザ・ロイヤルファミリー』(TBS系)、人気の理由は「競馬の描き方」にアリ!
GP帯連続ドラマの視聴率トップは、TBSの看板ドラマ枠「日曜劇場」で放送中の『ザ・ロイヤルファミリー』(TBS系)で、初回の平均視聴率は個人6.8%、世帯11.7%(ビデオリサーチ調べ、関東地区/以下同)だった。
早見和真氏による同名小説(新潮文庫)を原作とする同作は、競馬の世界を舞台に、夢を追い続けた熱き大人たちが、家族や仲間たちとの絆で奇跡を起こしていく、人間と競走馬の20年にわたる壮大な物語。妻夫木聡が、馬主・山王耕造(佐藤浩市)との出会いにより、耕造が社長を務める会社の競馬事業部の専任秘書になる税理士・栗須栄治役で主演している。
10月19日放送の2話も、視聴率は個人6.0%、世帯10.4%と2桁台をキープしており、ネット上の視聴者からは、「競馬のことも馬のことも全然知識ないけど、おもしろい!」「ナレーションで補足説明してくれてありがたい」「人の繋がりのドラマに感動し、お仕事ドラマとして競馬のいろんな面を学べる」「さすがの日曜劇場クオリティ」などと概ね好意的な意見が寄せられている。
ドラマライターの北村有氏は、同作が支持されている理由を以下のように分析する。
「王道の日曜劇場枠でありながら『競馬』というニッチな題材を“ギャンブル”ではなく“ビジネスと血統のドラマ”として描き直した点に、人気の理由があるように思います。競馬は実況者が状況を伝えてくれるため初心者でも臨場感を共有しやすく、レースの勝敗がそのまま企業の命運に直結する構図は、ドラマとしての緊張度を極限まで高めていると感じました。さらに、馬個体の生き方を尊重する調教師と勝利至上主義の馬主という対立構造が、『何をもって“成功”とするのか』という普遍的テーマを浮かび上がらせています。妻夫木をはじめ、佐藤浩市、沢村一樹ら信頼度の高い俳優陣と、BGM・演出の巧みさが重層的な感情の波を生み、視聴者を毎話“クライマックスへ向かう高揚感”で包み込む点も人気の大きな要因ではないでしょうか」
なお、前回同枠で妻夫木が主演した、23年1月期放送の『Get Ready!』は、初回に個人6.1%、世帯10.2%でスタートを切るも4話以降は1桁台に沈み、最終話は『2023 ワールド・ベースボール・クラシック』の1次ラウンド「日本対オーストラリア」戦の中継(43.2%)と“裏被り”していた影響もあり、個人3.7%、世帯6.4%まで下落。全10話の平均も、個人5.7%、世帯9.4%と、2桁台を連発している「日曜劇場」作品としてはパッとしない結果に終わった。
前期の同枠ドラマ『19番目のカルテ』(嵐・松本潤主演)は、全8話の平均は個人6.06%、世帯10.18%となったが、『ザ・ロイヤルファミリー』はこのままの勢いをキープし、有終の美を飾ることができるのか――物語の展開とともに注目だ。
ワースト3位『ぼくたちん家』、NEWS・手越祐也の「視聴者を構えさせない」演技に注目!
一方で、最下位となったのは、葵わかなと神尾楓珠のダブル主演作『すべての恋が終わるとしても』(テレビ朝日系、日曜午後10時15分~)で、個人視聴率は1.5%にとどまった。
放送されている「日10」枠は、裏で情報番組『Mr.サンデー』(フジテレビ系)、バラエティ番組『日曜日の初耳学』(TBS系)など、各局で人気番組が放送されていることから、もともと視聴率が取りづらい“死に枠”として知られ、前クールで放送された『こんばんは、朝山家です。』の初回は、個人1.8%、世帯3.5%だった。
『すべての恋が終わるとしても』は、冬野夜空氏の同名小説シリーズ(スターツ出版)を原作とする切ない群像ラブストーリーで、同枠ドラマ初となる非オリジナル作品だが、例にも漏れず低調スタートとなった。
同じく低空飛行が続く日本テレビの「日曜ドラマ」枠(日曜午後10時30分~)で放送中の及川光博主演『ぼくたちん家』(日曜午後10時30分~)も、個人2.8、世帯5.1%で今回も苦戦。フジテレビの「木曜劇場」枠(木曜午後10時~)でスタートした北村有起哉の地上波GP帯ドラマ初主演作『小さい頃は、神様がいて』(木曜午後10時~)と同率のワースト3位という結果に。
『ぼくたちん家』は、心優しきゲイのおじさん・波多野玄一(及川)と、クールなゲイの中学教師・作田索(手越祐也)、大金を抱えた訳アリ女子中学生が(白鳥玉季)が奇妙な共同生活を始めるホーム&ラブコメディで、及川の恋の相手を手越が演じるということで大きな注目を集めていた。
なお、手越にとっては、18年7月期放送の『ゼロ 一獲千金ゲーム』(日本テレビ系/第5、6、7話に出演)以来となるドラマ出演とあって、注目を集めていた。
前出の北村氏によれば、今作での手越の演技は「バラエティ番組でよく見ていたような、いわゆる“チャラ男”イメージが一切感じられず、“等身大の人間”として存在する自然さが際立っている」とのこと。
「彼が本作で演じている作田は、恋にも人生にも冷めたクールなゲイ教師という難役ですが、その飄々とした佇まいに無理がなく、良い意味で視聴者を構えさせない。アイドルとしての色やクセが抜けていたことで、キャラクターの内面や孤独、優しさが素直に伝わってくるのが最大の魅力だと思います。華やかな過去を持つ人物が、飾らない演技で“ただの一人の人間”として画面に立つ。そのギャップに、手越祐也の俳優としての新たな可能性が宿っているように感じました」
ドラマは始まったばかりだけに、ストーリー展開はもちろん、役者陣の演技によってもまだまだ巻き返しは可能だろう。今後どうようにランキングが推移していくか見守りたい。
2025年GP帯秋ドラマ“初回”個人視聴率トップ10
1位 『ザ・ロイヤルファミリー』(TBS系)個人6.8%、世帯11.7%
同率2位 『緊急取調室』第5シーズン(テレビ朝日系)個人6.1%、世帯10.8%
同率2位 『相棒 season24』(テレビ朝日系)個人6.1%、世帯10.4%
4位 『ちょっとだけエスパー』(テレビ朝日系)個人4.8%、世帯8.5%
5位 『良いこと悪いこと』(日本テレビ系)個人3.7%、世帯6.2%
6位 『絶対零度~情報犯罪緊急捜査~』(フジテレビ系)個人3.6%、世帯6.5%
7位 『コーチ』(テレビ東京系)個人3.5%、世帯6.3%
同率8位 『じゃあ、あんたが作ってみろよ』(TBS系)個人3.4%、世帯6.3%、
同率8位 『フェイクマミー』(TBS系)個人3.4%、世帯6.2%
同率10位 『新東京水上警察』(フジテレビ系)個人3.1%、世帯6.0%
同率10位 『終幕のロンド―もう二度と、会えないあなたに―』(フジテレビ系)個人3.1%、世帯5.9%
同率10位 『もしもこの世が舞台なら、 楽屋はどこにあるのだろう』(フジテレビ系)個人3.1%、世帯5.4%
同率13位 『ぼくたちん家』(日本テレビ系)個人2.8、世帯5.1%
同率13位 『小さい頃は、神様がいて』(フジテレビ系)個人2.8%、世帯5.0%
15位 『ESCAPE それは誘拐のはずだった』(日本テレビ系)個人2.5%、世帯4.7%
16位 『すべての恋が終わるとしても』(テレビ朝日系)個人1.5%、世帯3.0%
