ゆりやんレトリィバァ、渡米前にPR案件連発…インフルエンサーとしての地位を高める戦略か
アメリカのロサンゼルスに活動拠点を移すというお笑い芸人・ゆりやんレトリィバァ。12月10日の渡米前、最後の日本国内でのイベント出演は、12月8日に都内で行われた鳥取県の蟹をPRするイベントだった。
ゆりやんは、2017年の『女芸人No.1決定戦 THE W』(日本テレビ系)と2021年の『R-1グランプリ』(フジテレビ系)で優勝を果たし、ピン芸人として結果を出しているだけでなく、今年9月に配信開始されたNetflixドラマ『極悪女王』ではプロレスラーのダンプ松本役を好演し、俳優としても高い評価を得ている。
さらには、フェンシングのパリ五輪代表・江村美咲や俳優・伊藤沙莉、磯村勇斗らとともに『VOGUE JAPAN THE ONES TO WATCH 2024』を受賞するなど、もはやセレブのような活躍も。
12月6日には、世界最大級のポップ・カルチャーの祭典『東京コミックコンベンション2024』のオープニングセレモニーにサプライズ登場。『バック・トゥ・ザ・フューチャー』のドク役で知られるクリストファー・ロイドにアメリカで成功する秘訣を聞くというやり取りも話題になった。
芸人としても俳優としても結果を残し、セレブのように表彰され、ハリウッドの大物とも共演するゆりやん。ピン芸人のなかでもトップクラスの人気・知名度・注目度であり、企業や自治体のPRイベントに出るとしても、“大型案件”に出演することが多かった。しかし、そんなゆりやんにとっての日本国内最後となる公の場が“鳥取県の蟹のPR”というのは、少々“小粒な仕事”な気もする。
ちなみに、11月30日にはBSよしもとで『ゆりやんレトリィバァと静岡競輪〜走る、夢〜』と題する静岡競輪をPRする番組が放送されている。地上波の番組ならまだしも、特に競輪と関係性が深いわけではないゆりやんがBSよしもとでしか放送されない競輪の番組にキャスティングされるというのも異例だ。
これら、イレギュラーにも見える仕事をゆりやんが受ける背景には、一体何があるのか。
「たしかに鳥取県のカニのPRや競輪番組というのは、ゆりやんさんの知名度や注目度を考えると、小さい仕事かもしれません。渡米前ということで、吉本としてもできるだけゆりやんさんの稼働を増やしたいという狙いはあるでしょう。渡米すれば国内の仕事も減ってしまうので、稼げるときに稼がせたい。ゆりやんさんとしても、いわば自分のわがままで渡米するわけだから、吉本に恩返しということで、どんな仕事でも受けていたのでは」(お笑い事務所関係者)
さまざまなPR案件に駆り出されている形のゆりやんだが、こういった活動が今後につながっていくという見方もある。
「たとえば、一足早くアメリカを拠点に活動している渡辺直美さんは、時々日本に帰ってきて企業系のイベントに登場していますが、ゆりやんさんも直美さんのような活動の方向性を考えているのかもしれない。実際にアメリカでどんな活動ができるのかはまだまだ不透明ですし、少しでも収入を確保しておきたいという思いもあるのでは」(同)
実際、PR系イベントで渡辺直美やゆりやんは重宝される。その理由を、元広告代理店社員でネットニュース編集者の中川淳一郎氏が解説する。
「共通するのは、芸人で謙虚だということです。キャスティングは売れているかどうかも重要ですが、『性格の良さ』『自我を出しまくらない』『事務所が規制をあまりかけない』といった点も採用ポイントになります。
一方で、芸人側にも当然思惑があります。在米芸人の先輩といえば野沢直子さんがいますが、野沢さんは『出稼ぎ』と称して、年間数カ月日本に来て着実な仕事をするスタンスを長年続けている。日本で目立った活躍をしているわけではなくとも、“一時帰国”となれば、そのレア度で価値が高まるというわけです」
実際に、ゆりやんが登場したカニのPRイベントは、多くのネットメディアで取り上げられており、“渡米前最後”という話題性を利用したPRは、それなりに結果を残せたと言える。その点では、ゆりやんはすでにインフルエンサーとしての信頼度を高めており、今後も同様の仕事のオファーが続くであろうことは想像に容易い。
アメリカでお笑い芸人として成功し、さらにはハリウッドでも活躍したいと目標を掲げているゆりやん。その道は簡単ではないだろうが、小さな仕事を丁寧にすることが、世界的な成功のための布石につながっていくと信じたい。
(取材・文=編集部)