『ザ・イロモネア』復活に歓喜の声 8年経っても愛され続ける理由は…
TBS系バラエティ『ウンナン極限ネタバトル ザ・イロモネア 笑わせたら100万円』が8年ぶりに特番として復活することが5日に告知された。ネット上の多くの視聴者が歓喜し、早くも期待の声が高まっている。過去に類を見ないほどの歓迎ムードとなっているが、なぜこれほど同番組はいまだに愛されているのだろうか。
ウッチャンナンチャンが司会を務めていた同番組は、芸人たちが5つのネタ見せステージに挑戦。ステージごとに「サイレント」「モノボケ」「一発ギャグ」など5つのジャンルから選択し、制限時間1分で即興ネタを披露する。第4ステージまでは観客の中からランダムで選ばれた5人の審査員のうち3人を笑わせるとクリア。最終ステージは5人全員を笑わせる必要があり、クリアすれば賞金100万円が贈呈される。
2008年から2年にわたってレギュラーとして放送され、その後も2017年まで単発特番が組まれていたが、以降は動きがなく完全終了したとみられていた。しかし、新たに開設された番組公式SNSが「2025年早春8年ぶりに復活!!乞うご期待」と復活を告知したのだ。
この発表を受けて、ネット上では以下のような声が上がっている。
「イロモネア、ふつうに面白かった。2000年代にエンタの神様、レッドカーペットとかお笑い番組が台頭していた中で一番好きだった」
「懐かしいな〜、毎回食い入るように見てた番組。楽しみでしかない」
「コロナがあったので、もう一生見れないかと思ってたから、めちゃくちゃ嬉しい!何度爆笑したことか!」
「芸人たちが苦戦する鬼門のサイレントを考えたスタッフは天才。レギュラー放送は難しいかもだけど、定期的に特番でやってほしい」
SNS上でかつての視聴者たちは歓喜しているが、これほど復活を歓迎されたバラエティ番組はなかなか他に思いつかない。芸人たちからも復活を祝う声が相次いでいる。
大発明だった「観客審査」システム
なぜいまだにこれほど視聴者や芸人たちから熱烈に愛されているのか。豊富な取材経験と業界知識を持つ芸能ライターの田辺ユウキ氏はこう解説する。
「『ザ・イロモネア』は、やはり審査システムが画期的でした。それまでもネタバトル番組、コンテストなどで『観客審査』はありましたが、いずれも『投票制』でした。『ザ・イロモネア』の場合は観客が笑うか、笑わないかで、しかもチョイスされる観客はランダムですから、いわゆる『ファン投票』にはなりづらい。『お笑い芸人VS.観客』という図式を審査化させたのは、『ザ・イロモネア』の発明だと思います。
テレビを観ている視聴者が、会場で審査する観客と同じ気分で番組を観ることができるのも人気の要因の一つ。視聴者のなかには『笑ってたまるか』という感じで『ザ・イロモネア』を観ていた方も少なくないように思えますが、笑わなかったら『堪えた』となるでしょうし、笑ったら『負けた』となります。つまり、自分が『審査員に選ばれた気分』で芸人たちのチャレンジを見ることができるんです。また、審査の基準がよくある点数制ではなく『笑えたか』『笑えなかったか』だけなので、視聴者も判定を下しやすいんですよね。
芸人の立場で考えると、素人に『点数』で評価されるのは戸惑いもあるでしょうが、『笑えたか』『笑えなかったか』だと納得いくはず。そしてなにより、この審査システムだと『絶対に全員を笑わせてやる』という闘争心が湧き上がるでしょう。ネタバトルやコンテストでは『対芸人』ですが、『ザ・イロモネア』は『対観客』という点が、いつもとは違う新鮮さとやりがいにつながっている気がします」
復活『ザ・イロモネア』で活躍する芸人は
レギュラー放送当時に出演していた常連組はもちろん、放送が終わってからブレイクした新世代の芸人たちの参戦も期待される。田辺氏に復活した『ザ・イロモネア』で活躍しそうな注目の芸人を挙げてもらった。
「ファンにとっても最大の注目点となるのが、最多出場、100万円最多獲得数を誇る『ミスター・イロモネア』のバナナマンが参戦するかどうか。実現の可能性は、今のバナナマンにとって出演する理由があるかどうかに懸かっているのではないでしょうか。
あと、キンタロー。さんは間違いなく今回、エントリーされるでしょう。はっきり言って100万円獲得の最有力候補です。定番のジャンルとしては『一発ギャグ』『モノマネ』『モノボケ』『サイレント』の4つは確実にクリアできそう。最難関の『サイレント』もキンタロー。さんにとっては得意分野の一つです。また、霜降り明星・せいやさんも『ザ・イロモネア』に向いている気がします。せいやさんは『一発ギャグ』『モノマネ』『ショートコント』『モノボケ』『サイレント』のすべてを網羅できる芸風。多少問題が起きても、力技で強引に笑いに持っていけるでしょう。
それと、ロングコートダディの堂前透さんが参戦すればすごいことになるはず。ショートネタ番組『千原ジュニアの座王』(カンテレ)や、2023年2月放送の特番『笑い飯presents ひとりで60分~ロングコートダディ・堂前編~』(読売テレビ)は『ザ・イロモネア』と近い要素がある番組ですが、堂前さんはそれらで瞬発的かつ発想力のある笑いを見せつけています。『ザ・イロモネア』との相性は抜群ではないでしょうか」
(文=佐藤勇馬)
協力=田辺ユウキ
大阪を拠点に芸能ライターとして活動。映画、アイドル、テレビ、お笑いなど地上から地下まで幅広く考察。