2025年元日のスポーツ紙「熱愛スクープ」が地味過ぎた背景 タレント自身の“結婚発表”も小粒…
毎年、元日のスポーツ紙といえば有名タレントの熱愛・結婚スクープ合戦となるのが恒例だが、2025年の元日は少々物足りなかった――。
年が明けてすぐの1月1日午前1時52分、「日刊スポーツ」のウェブサイトでは、モデルで女優の篠田麻里子とIT企業ナレッジワークCEO・麻野耕司氏が今春にも結婚すると報じた。
さらに、同日午前3時には「スポーツニッポン」のウェブサイト「Sponichi Annex」にて、女優の伊藤沙莉と脚本家の蓬莱竜太氏が結婚の意志を固めたと伝えた。
その後、同月4日に伊藤がインターネットラジオ番組『伊藤沙莉のsaireek channel』で蓬莱氏との結婚を発表したが、25年の元日のスポーツ紙による目立った熱愛・結婚スクープはこれらだが、例年と比べると盛り上がりに欠けるのが実状だ。
“元日スクープ”といえば、24年には「スポニチ」や「スポーツ報知」などが人気グループ「KAT-TUN」の亀梨和也と田中みな実の熱愛を報じた。
一部では2人が共演するドラマの放送を同年4月に控えていたということもあり、「番宣のためのスクープだったのでは?」とも囁かれたが、双方の事務所とも「お仕事をご一緒して以来、仲良くさせていただいています」と交際を認めていた。
さらに派手だったのは2023年で、「スポニチ」が土屋太鳳と「GENERATIONS」の片寄涼太の結婚スクープだった。
当時は交際すら報じられていなかった2人だったが、本人たちもその直後に正式に結婚を発表。同時に土屋が妊娠していることも明らかになった。
一方で、信憑性の薄い熱愛スクープが元日のスポーツ紙を飾るケースも少なくない。
2015年の元日には、「日刊スポーツ」が綾瀬はるかと松坂桃李の熱愛をスクープ。
その後「女性セブン」(小学館)が“松坂が自宅マンションから綾瀬のマンションに向かってタクシーで移動したものの、引き返した”という記事を掲載しているが、2人の交際を裏付ける情報はなく、「日刊スポーツ」の元日スクープはいわゆる“飛ばし記事”に近いと見る向きも。
ほかにも、過去をさかのぼると神田正輝と三船美佳などのカップルの熱愛が元日のスポーツ紙で報じられているが、交際を裏付ける情報はなく、これもまた“飛ばし記事”だったと見られている。
そもそもなぜ、元日のスポーツ紙では芸能人の熱愛・結婚スクープが続々と出てくるのだろうか。
芸能ジャーナリストの竹下光氏はこう説明する。
「まず前提として、昔からこの時期は各スポーツ新聞社内でプロ野球をはじめ、普段スポーツ紙の誌面を賑わすプロスポーツの多くがオフシーズンに入っていることから、芸能記事のニーズが高まるといった事情があります。加えて、元旦は購買者にインパクトを与えるのに最適のタイミングということもあり、一面などで派手に報じるに値するスクープ記事が求められ、各社の芸能面担当のデスクや記者が元旦スクープのための取材に力を入れるわけです」
とはいえ、前述のように元旦スクープの中には虚実入り交じった記事も多いのも事実だ。
「いわゆる制作ニュースなどの一次情報を扱うメディアであるスポーツ紙は大手芸能事務所やテレビ局、レコード会社、映画会社などとは日頃から付き合いがあり、持ちつ持たれつの関係でもある。週刊誌や女性誌、写真週刊誌のように、芸能事務所やレコード会社などの不利益を承知で強引にスクープを飛ばしたり、好き勝手に書き逃げをしたりはし難い立場です。それ故にスポーツ紙の元旦スクープの多くは、お付き合いの延長として水面下で懇意の芸能事務所などから情報をリークしてもらったり、報じる許可を得たうえで記事化するものも多い。結果、“今春ゴールイン”や“年内結婚へ”など広いレンジの表現も目立ちます。すでに交際が発覚しているカップルのおめでたい話題であれば、多少トバシ気味に書いてもそのタレントの商品価値をそこまで傷つけることにはならないですからね。もっとも最近は、所属事務所サイドが内々で記事化を認めていても、記事を書かれたタレント本人がこうした裏事情を知らず、SNSなどで報道を否定することもありますけどね」(竹下氏)
では、25年のスポーツ紙での熱愛報道が例年に比べて地味だったのは、どういった理由があるのだろうか。
「紙媒体が隆盛だった昔とは異なり、近年はwebメディアが数多く存在し、スポーツ紙が元旦に芸能スクープを飛ばす意義が薄らいでいるというのはありますよね。それに前述のようにトバシ気味に書くと記事の渦中のタレント本人からSNSで完全否定されたり、ネット上でバッシングの対象になったりといったリスクもありますし。加えて、芸能事務所の影響力やパワーの衰えも無視できないでしょう。ひと昔前は、各スポーツ紙が担当記者を用意していた大手芸能事務所の中には業界内のさまざまな情報が集まり、自社タレントの宣伝やプロモーションに協力した記者たちにその貢献度や忠誠心に応じて記事になる芸能ネタを提供したりする事務所もあったくらいですからね。いかに日頃のお付き合いが大事だったかということです。ちなみに、25年に関しては24年末に『ダウンタウン』の松本人志さんや中居正広さんの件が大きな話題を呼び、元旦スクープどころではなかったなんて話も耳にします」(竹下氏)
減りつつある元旦結婚発表
こうした事情もあり、年々トーンダウンしている観もある元旦スクープだが、他方、近年はタレント自らが結婚を発表するケースも多い。
25年は平成ノブシコブシの吉村崇がSNSで一般女性との結婚を発表。
また、錦鯉の長谷川雅紀は元日放送のフジテレビ系『新春!爆笑ヒットパレード2025』内で結婚をサプライズ発表した。
ほかにも俳優の溝端淳平が一般女性との結婚を有料のファンクラブサイトで発表、声優の神谷浩史と俳優・逢沢りなも所属事務所を通して結婚したことを報告した。
元日に結婚を発表するタレントが多い背景について、エンタメウォッチャーの大塚ナギサ氏はこう話す。
「お正月はワイドショーも放送されていないし、週刊誌の発売もない。ネットメディアもお休みモードで動いています。だからこそ、元日に結婚発表をすれば、あまり続報が出てこない。また、世の中も芸能ニュースにあまり目を向けていないということもあり、プライベートの報告をできるだけ穏やかに済ませたいというタレントさんにとって、元日は発表しやすいタイミングなんですよね」
一方で大塚氏は、元日に結婚を発表するタレントは減っていきそうだと予測する。
「元日が発表しやすいタイミングであることは変わらないのですが、もっと自身の都合に合わせたタイミングで結婚などを発表するタレントさんが増えていきそうです。たとえば、俳優さんであれば、自身の出演作が公開されるタイミングで結婚を発表したら、作品の宣伝のためにメディアに露出するたびに結婚が話題になってしまう。そういったことを避けるため、自身のメディア露出があまりない時期にプライベートの動きを発表するというケースも増えてくると思います。逆に、作品の宣伝に利用したいがために、プライベートの動きをそこにぶつけて発表するタレントさんもいるかもしれません。
特に最近は、SNSでサラッと報告することができるので、事務所を介して各メディアに情報を流す必要もなく、情報発信のコントロールがしやすい。つまり、元日を選ばなくても、自分の好きなときに好きな形で発表できるようになっているわけです。25年の元日に結婚を発表するタレントさんが少なかったのも、そういった背景があるのだと思います」(大塚氏)
時代とともに芸能マスコミのあり方も、タレントの情報発信のスタンスも変化する。熱愛スクープや結婚発表で元日のスポーツ紙が彩られる慣例は、もはや過去のものとなりつつあるのかもしれない。
(取材・文=サイゾーオンライン編集部)