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米コストコ従業員の時給が4650円以上に⁉

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イメージ画像(写真:Getty Imagesより)

 会員制量販店大手のコストコ(本社:米ワシントン州イサクア)が、ほとんどの店舗従業員の給与を時給30ドル以上にするという。1月最終週に米国の従業員に送られてきた経営陣のメモで明らかになった。

 最近、外国為替市場では日本円は1ドル155円近辺で値動きしており、このレートで換算すると、コストコ従業員の時給は4650円を超える。日本では政治家が口を開けば「賃上げ、賃上げ」の大合唱だが、目標とされる時給1500円の最低収入すら達成できないでいる。日本の賃上げが、あまりにも情けなく見える。

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米国内の従業員は21万9000人 だれもが働ける職場での高給

 コストコは世界10カ国で897店を運営するマンモス企業だ。米国内には617店あり、21万9000人が働く。

 9年連続で増収増益を続け、2024年9月期決算では売上高は約2540億ドル(約39兆円)にのぼった。2025年以降も増収増益が見込まれている。純利益は2019年に比べ2倍になった。

 不振にあえぐ小売業界の中で、ずば抜けて業績が良いことから、業界内でも給料が高いことで知られるが、特殊な技術を持つ人しか働くことができない職場ではなく、家庭の主婦ら一般的な米国市民が正社員やパートタイムとして働く代表的な職場である。

 米国メディアによると、コストコが賃上げを提示したのは労働組合に加入していない従業員に対して。社内の賃金基準の最高位にある従業員の時給を、新しい賃金体系の初年度に1ドル増額し、30ドル20セントとする。その後、2年間、1ドルずつ上げる。3年後の時給は32ドル20セントで、現在の為替レートで換算すると約4991円と時給5000円に迫ることとなる。

 また、入社して間もない、社内賃金基準が最低位の時給は50セント増額し時給20ドルとなる。最低位でも日本円では時給約3100円だ。

 コストコによると、米国の従業員のうち労働組合に加入しているのは10%にも満たない。このため、90%以上の従業員が今回の会社側の賃上げ対象となり、その多くが時給30ドルを超えることとなるという。

 この提案は、コストコの労働組合が待遇改善をめぐって会社側と交渉している最中にもたらされた。組合側は増収増益が続いているにもかかわらず、会社側は従業員に十分な見返りを提供していないとして、ストライキまで構えていた。

 非組合員への時給30ドル超の提案になびくようなかたちで、組合は会社側と一時的な合意を交わし、ストライキは回避された。時給30ドル超は労使間の対立さえ解決してしまう額だ。

21州で最低賃金アップ 広がる日米の格差 もはや追いつけない

 物価が高止まりする米国では賃金も上昇している。公務員の給与は目を見張るほどいい。

 先日、ニューヨーク市の地下鉄に乗っていたら、刑務所の看守募集の広告があった。米国では刑務所は「ならず者」が集まる「危険な場所」とされ、看守のなり手が少ない。最近では給料を増やして人材募集に力を入れているが、募集広告には、看守になって5年半過ぎれば「こんなにもらえるぞ」とばかりに年収例が大きく記されていた。その額10万1590ドル。日本円にして1574万円を超えている。

 法定最低賃金も上がっている。最低賃金は州ごとに決まるが、2025年も多くの州で軒並み上昇する。

 最低賃金が一番高いのは首都ワシントンがあるコロンビア特別地区で、1時間当たり17ドル50セント。日本円で約2712円だ。7月1日からは50セント上がり18ドルとなり2800円に迫る。

 カリフォルニア州は1月1日から50セント上げて16ドル50セントになった。ニューヨーク州は15ドルが15ドル50セントになったが、ニューヨーク市とその周辺は特別扱いで、16ドルだったところが16ドル50セントにアップされた。カリフォルニア州とニューヨーク市などは日本円にして約2557円だ。

 上げ幅が大きい州もある。ミシガン州はこれまで10ドル56セントだったが、2月20から2ドル近くアップして12ドル48セントにする。

 2025年中に最低賃金が上がるのは全米の州の半数近い21州にのぼる。

 日本政府は全国平均を1500円にすることをめざしているが、現在、全国平均は時給1055円。最も高い東京都でさえ1163円と、ニューヨーク市やカリフォルニア州などに遠く及ばない。コロンビア特別区にいたっては、3倍近い差をつけられている。

 ここまで賃金に差がついてしまったのは、安倍政権以来の円安政策で日本経済がぬるま湯につかって成長しなかったことと、何もしない日本の金融政策にある。日本経済はもはや世界に追いつけないほど遅れてしまった。

 ニューヨーク市には低所得者向け住宅が多くあり、入居募集は度々行われる。応募には当然、所得制限があるが、4人家族の場合、世帯年収の上限は7万7650ドルだ。日本円にして約1203万5750円。裏を返せば日本円で1200万円稼いでも、ニューヨーク市では低所得者である。

(文=言問通)

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言問通

フリージャーナリスト。大手新聞社を経て独立。長年の米国駐在経験を活かして、米国や中南米を中心に国内外の政治、経済、社会ネタを幅広く執筆。

最終更新:2025/02/17 09:00