比嘉愛未、独立で気になる「貪欲な実力派女優」の今後…今田美桜の事務所に移籍の可能性でさらなる飛躍も
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女優の比嘉愛未(ひが・まなみ)が、1月末をもって長年所属していたライジングプロダクションを退所した。事務所のマネジメントに対する不満が溜まった末の退所とも報じられ、ある意味で「ケンカ別れ」のような印象があることから今後を危ぶむ声も上がっている。その一方、今田美桜を擁する気鋭の事務所に移籍する可能性が指摘されており、近年の停滞を打ち破るような飛躍が期待できるとの見方もある。
現在放送中のテレビ朝日系ドラマ『フォレスト』で岩田剛典とW主演を務めている比嘉。彼女の業界内の評価や今後の展望について、豊富な業界知識を持つ芸能記者に見解を聞いた。
同性から共感集める実力派女優に
「比嘉は高校1年生のとき、地元・沖縄のモデル事務所にスカウトされてデビュー。高校2年生で東京の芸能事務所に所属しましたが、もともと女優志望ではなかったこともあって、演技の習得に苦労した。しかし持ち前の負けず嫌いな性格で演技の勉強に打ち込んだ結果、20歳のときに2,156人の中からオーディションに勝ち抜き、NHKの朝ドラ『どんど晴れ』のヒロイン役を射止めました。それを機にライジングプロダクションの前身『ヴィジョンファクトリー』に移籍しました」(芸能記者)
2007年に放送された『どんど晴れ』はテレビドラマ初出演にして初主演だったが、若手らしからぬ演技力と爽やかな清楚系の魅力でヒット作に。同年12月にフジテレビ系スペシャルドラマ『美ら海からの年賀状』で民放ドラマに初出演し、2008年にはのちに人気シリーズとなる同局系『コード・ブルー -ドクターヘリ緊急救命-』のメインキャストに抜擢。2009年には『天地人』でNHK大河ドラマ初出演を果たすなど、人気女優への階段を順調に上がっていった。
「その後、2011年にフジテレビ系『マルモのおきて』、テレビ朝日系『DOCTORS〜最強の名医〜』、2012年にTBS系『ハンチョウ〜警視庁安積班〜』と各局の人気ドラマでメインキャストを務める売れっ子になりましたが、真面目な性格であるがゆえ、演技力はあるが、小さくまとまっている印象があった。比嘉自身、過去の自分を振り返って、20代のころは模索の時期で、同世代の俳優と自分を比べてしまうことが多かったと明かしています。実際、ドラマの仕事は途絶えることがなかったものの、主演を務める機会は少なかった。
だが30代になって、人生の岐路に立たされて天職を見つけるWOWOWの『本日は、お日柄もよく』、夫の浮気に悩む結婚2年目の人妻をリアルに演じたテレビ東京系『にぶんのいち夫婦』、病気療養で急遽降板となった深田恭子の代役で主演を務めたフジテレビ系『推しの王子様』、料理好きな派遣社員を生き生きと演じたNHK『作りたい女と食べたい女』など、数々のドラマで主演を飾り、さまざまな役柄で等身大のヒロインを演じられるように。同世代の女性からの共感性の高い女優として生まれ変わった印象がある。30代半ば以降は映画出演も増え始め、女優としての幅が広がったように感じられます」(同)
今田美桜の事務所へ移籍の可能性
誰もが認める実力と美貌とを兼ね備えた人気女優でありながら、一つのイメージにとらわれることを拒否し、2022年に大胆なランジェリー姿などを収めた写真集『本心』(集英社)を発売。当時のインタビューで「守りに入っている自分を壊したい」などと語り、朝ドラ時代から続く清楚系イメージからの脱却を図った。
確かな実力がある上に女優としての成長に貪欲なことは頼もしいが、それが退所の遠因になったとみられている。近年のライジングプロは業績が悪化し、コストカットの影響でマネジメント体制にほころびが見え始め、それが「新しい仕事をもっとしていきたい」と考えていた比嘉の不満につながったという。
12日付の「文春オンライン」(文藝春秋)の報道によると、比嘉はライジングプロからの独立に際して、今田美桜が所属する「コンテンツ・スリー」の社長らに相談。一部では「引き抜き」との見方もあったが、実際は契約終了を待って交渉を進めていくのだという。
「コンテンツ・スリーは、系列会社が映画やアニメなどの制作、不動産業などを手掛けていて地盤はしっかりしているが、俳優・モデルのマネジメントは若手が中心で、売れっ子は今田美桜のみという状況が続いていた。しかし今年1月、中堅女優で演技力に定評のある山下リオが移籍しました。
比嘉の退所について、コンテンツ・スリーの社長は『文春』の取材に対し、ライジング側ともやり取りしたことを明かしています。スターダストプロモーションを退所してフリーランスとして活動していた山下を迎え入れたことからも、新たに比嘉を入れて女優部門を強化していきたい気持ちがあるのは間違いないでしょう。
俳優事務所としては歴史が浅いからこそ、比嘉も自分の意向を伝えやすく、やりやすい環境になりそう。また現在出演中の『フォレスト』には、松田美由紀、水野美紀、黒沢あすか、朝加真由美といった、波乱万丈な女優人生を経て現在の地位を築いた先輩がたくさん出演しているので共演は勉強になるはず。ドラマ自体は視聴率不振や誤解を招く表現によるトラブルなどで苦戦を強いられてはいるが、新たな一歩を踏み出そうとしている比嘉にとっては、ステップアップに向けてのいい経験になるでしょう」(同)
エースの今田を軸として、新たに実力の高い山下を迎え入れ、勢いを増しているコンテンツ・スリーに加入となれば、比嘉は大きく飛躍する可能性がありそうだ。
(文=佐藤勇馬)