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上沼恵美子、SMAPの“絆”イジりで炎上…批判続出でも関西で「絶対的支持」の理由

全国的には炎上が目立つ上沼恵美子の関西での評価についての画像1
上沼恵美子(写真:サイゾー)

 関西の大御所で芸能界のご意見番でもあるタレントの上沼恵美子が、中居正広氏の「最後の動画」をめぐる発言で炎上した。これに限らず、近年は上沼の発言が頻繁に炎上し、過去に「M-1騒動」で芸人からも不満が出るなどしたことから、彼女に対する批判的な見方が強まっている。

 しかし、上沼のホームはあくまで関西圏。関西ではどのように昨今の言動が受け止められているのだろうか。関西在住の芸能ライターが解説する。

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中居と木村の「絆」イジって炎上

 女性トラブルが原因で芸能界を引退した中居氏は、2月19日に有料ファンクラブ閉鎖に際し、会員向けの最後の動画を公開。動画では、中居氏のものと思われる右手が空に向かって手を振り、こぶしを握り締め、また開くという印象的なシーンがあった。ファンに向けてさよならをしているのか、5本の指でSMAPを表しているのか、さまざまな解釈ができる手のしぐさだった。

 この翌日、木村がInstagramのストーリーズで右手を空にかざす写真を公開。中居の動画に呼応した「惜別」の意味ではないかと騒がれ、ファンの間で「美談」として話題になった。

 これが23日放送の関西の情報バラエティ『上沼・高田のクギズケ!』(読売テレビ)で取り上げられると、上沼は「木村さん、チョキにしたらよかったね。『中居に勝った~!』って」と、じゃんけんに例えて笑いのネタに。上沼らしい発言とも思えるが、これがSMAPファンの逆鱗に触れた。

 SNS上では「上沼さん好きだったけど幻滅しました」「これはまったく笑えない」「あまりにも人を侮辱した発言ではないでしょうか?」「人の心を踏みにじる行為」などと憤りの声が続出。「面白おかしく時事問題をイジる番組なんだから上沼さんは仕事しただけ」といった擁護コメントもあるが、批判的な意見が目立つ状況だ。

 これに限らず、近年は上沼の発言が炎上する事態が増加。2018年の『M-1グランプリ』で審査員を務めた後、とろサーモン・久保田かずのぶとスーパーマラドーナ・武智が配信で上沼批判を展開したことがあったが、そのあたりから業界での立場も微妙になった印象がある。実際、その後に長寿番組からの降板も相次いだ。

関西での本当の評価

 今回の炎上でさらに批判的な見方をする人が増えそうだが、彼女の本当の評価や人気は「関西圏」を抜きにしては語れない。関西在住の芸能ライター・田辺ユウキ氏に上沼の「西での評価」について語ってもらった。

「『M-1』では、上沼さんの講評や審査などに対して批判的な意見が頻繁に上がっていました。審査なのでそれは仕方ないところもありますが、関西圏以外での上沼さんのレジェンドぶりがいまいち伝わっていない感じもしました。たとえば、アイドル界の『大喜利女王』と称された渋谷凪咲さんは小さいころから上沼さんのラジオ番組『上沼恵美子のこころ晴天』(ABCラジオ)を聴いてトーク術を学んだと公言しています。そのように関西での影響力はやはり絶大です。

 あと関西では、1995年から2020年まで放送された『快傑えみちゃんねる』(関西テレビ)が世代を問わず親しまれました。同番組での豪快な司会まわし、そして怒とうのおしゃべりは圧巻でしたから。私はその収録現場を取材したことがありますが、上沼さんはとにかくしゃべりまくります。そして話題をどんどん切り替えていきます。いろんなバラエティ番組の取材をしてきましたが、上沼さんのような凄みのある司会進行は見たことがないです。ひな壇に座る出演者たちも相当気持ちを強くして挑まないと、上沼さんの気迫にすぐ飲まれます。上沼さんのしゃべりを遮ることなく、ちょっとした隙間を見つけたら一撃で笑いを起こすような話を差し込まないと、あの番組ではやっていけませんでした」

 やはり「しゃべくり」の実力の高さについては疑いようがないようだ。芸人からの評価も高く、サービス精神も旺盛だと田辺氏は言う。

「2024年1月放送『上沼恵美子の「もしも夫がゾンビになったら・・・」』(読売テレビ・日本テレビ系)も取材したのですが、収録後、共演のニューヨークにインタビューした際、嶋佐和也さんは『改めて上沼さんに圧倒されました。すごいパワーで次から次へと話をしていって。初めて「さんまのお笑い向上委員会」(フジテレビ系)でさんまさんとご一緒させていただいたとき『すごい』と驚いたんですけど、今日は久しぶりにそういう感覚になりました』と話していらっしゃいました。

 ほかの出演番組の収録も取材していますが、いずれの現場でも上沼さんは、観覧に来ているお客さんに“おみやげ”を持って帰らせてくれます。どういうことかというと、『ここだけの話』をしてくれるんです。自分が嫌いな芸能人、絶対に番組に呼ばないと決めたタレントなどを教えてくれる。もちろんそれらは、その日のお客さんだけの秘密。そういうサービス精神が抜群なところが、上沼さんが関西人に好かれる要因ではないでしょうか」

上沼恵美子は「炎上を恐れない」

 関西での支持や信頼感は健在といえそうだが、このところの炎上多発について田辺氏はどう見ているのか。

「まず触れておかなければいけないのが、上沼さん自身、今のテレビ番組に自分の居場所はなくなってきていると考えていらっしゃること。コンプライアンスが厳しくなった上、いろんな発言がすぐに炎上してしまうこのご時世。上沼さんは『ネットの時代に入ってから、自分ははみ出し者のタレントだ』とコメントしていらっしゃいました。ですので、ご本人が一番、自分は炎上や批判を受ける人間だということをよく分かっていらっしゃいます。

 それでも『上沼恵美子』としてテレビに出る以上、たとえ批判が相次いだり、炎上したりしても、やはり譲れないものがあるはず。また上沼さんの番組には、長年ご一緒されているスタッフの方々が携わっていることが多いのですが、きっとそういう上沼さんと一蓮托生の気持ちで番組制作されていると思います。だからトークの内容も、下手にカットはしない。話がおもしろかったり、流れがちゃんとできていたりするものは、よほどでない限りそのまま放送するようにしていると思います」

 関西の女帝と称される彼女は「上沼恵美子」であり続けるため、時代との軋轢と闘う道を選んだようだ。田辺氏は続ける。

「上沼さんは出演番組で、シリアスな話題、タブーとされている話題も恐れることなくしゃべります。それが上沼さんの話芸です。収録現場を取材しているとよく分かるのですが、ご自身でいろんな話題を挙げ、共演者が話しづらそうにしていてもお構いなしで持論を展開し、自分できっちりオチをつけて回収するんです。なんにしても話の責任は自分で取られます。他人には絶対に任せない。

 中居さんの件も、そういう上沼さんのやり方の一つだった気がします。もちろんファンの方にとってそれは受け入れられなかったはず。それらが良いか悪いは置いておいて、どんなことに対しても遠慮なく切り込み、必ず笑いでオトすのが『上沼恵美子』なのです」
(文=佐藤勇馬)

協力=田辺ユウキ
大阪を拠点に芸能ライターとして活動。映画、アイドル、テレビ、お笑いなど地上から地下まで幅広く考察。

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佐藤勇馬

1978年生まれ。新潟県出身。SNSや動画サイト、芸能、時事問題、事件など幅広いジャンルを手がけるフリーライター。雑誌へのレギュラー執筆から始まり、活動歴は15年以上にわたる。著書に『ケータイ廃人』『新潟あるある』がある。

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最終更新:2025/02/28 09:00