「関コレは毎回ボロボロ」フォロワー240万人超・ゆりにゃの美と狂気の限界突破術

ミュージシャン、アイドル、タレント、役者、声優と、多くの人たちが“歌”で自己表現を追求する日本のエンタメ業界。歌唱からさまざまな活躍やバズが生まれる一方、テクノロジーの進化とトレンド至上主義によって、エンタメ業界の競争は激化し、プレイヤーたちは溢れかえっているともいえる。これからは、演者も運営も制作者も、グローバルな視点を広げ、時代を考察し、鍛錬を積んだ“本物”だけが生き残ることができるだろう。
指先ひとつで音楽も歌も半自動的に生まれるこのAI時代において、人間が、歌が、声が、世界のエンタメ業界にどのような価値を生み出すことができるのか。そして世界に通ずるエンタメを確立していくために、我々ができることは何なのか。本企画では、声楽家であり歌唱指導者である「純子の部屋」純子が、声楽家としての鋭い観点と知見、愛ある偏見で、日本エンタメの今と未来を過激に考察していく。
第3回は、本企画初のゲストとして、純子先生の教え子の一人であるインフルエンサーのゆりにゃが登場。彼女は2025年3月2日(日)に大阪で開催される「関西コレクション 2025S/S」(https://www.kansai-collection.net/)への出演を予定している。
関コレの話題になると途端に深刻そうな表情に切り替わるゆりにゃを見て、彼女にとって関コレは呪いのようなものだと思った。過去のランウェイを見返すと、彼女は輝くプリンセスでありながら、闘い抜いたファイターの目をしている。それは自らを崖の際まで追い込み、鍛錬を積み重ねてきた証だったのだと、対談を通して確信した。
夢にまでうなされる日々を乗り越え、ランウェイを歩く彼女は、呪いまでも美しい装備とし、一段と輝く姿を見せるだろう。本記事では、二人が共鳴し合う鍛錬を追求し続ける生き方から、ゆりにゃの圧倒的美ボディと高いプロ意識が毎年話題となる「関コレ」の裏話まで赤裸々に語ってくれた。
アイドルの世界進出に必要な投資
純子先生といる時だけ“音が形になる”魔法にかかる
——ある日のストーリーにて、ゆりにゃさんが純子先生のボイトレを受けている映像がアップされたことで、お二人が知り合いであることが初公開されたと思います。そもそもお二人は何をきっかけに出会ったのでしょうか?
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ゆりにゃ 初めて会ったのは、私がプロデュースするアイドルオーディションの合宿の時です。2泊3日で開催されたオーディションのボイトレの先生として、純子先生が参加してくれていたので、そこで出会いました。
純子 元々LIVE PLANETの総合プロデューサーである岡村さんと長い付き合いで、以前、AVAM(旧OdAkEiアイドルプロジェクト)の合宿オーディションに審査員兼レッスン教員として参加させていただいてたんですが、ゆりにゃちゃんのアイドルオーディションも岡村Pにお声がけいただきまして。岡村さんから頂く合宿オファーは毎回必ずものすごいことが起こるので、「合宿に来てください」と言われたら絶対にOKしてるんですよ。なので、今回も即座に日程調整を行いました(笑)。
——最初に会った時のお互いの印象って覚えていますか?
純子 山奥にある合宿所に向かうバスで、まさかのゆりにゃちゃんたちご一行と一緒でして、その時は挨拶しかできずドラクエでいう「ようすをみる」状態だったんですが(笑)、道中でゆりにゃちゃんはずっと仕事のお話をされていたんですよね。OdAkEiアイドルプロジェクトの時も、おだけいさんは5分程度の束の間の休憩時間も、すかさず次のYouTubeの打ち合わせをしていたのを見て、お忙しい人やのにさすがやなと思っていたんですが、ゆりにゃちゃんもまさに同じだなと。その瞬間、「これは絶対に面白い、すごいものができるんじゃないか」と触発されたので、3億パーセントの力で頑張ったろ!って思いましたね。
ゆりにゃ 聞かれてたんだ…! ありがとうございます。私はオーディションでのレッスン風景を見ていて、なんて情熱が伝わってくる指導なんだろうって思いました。数少ない時間の中で、オーディション生の子たちを一人の人間として見て、精魂込めて教える姿がかっこ良かったです。こんなに熱意を込めて人に向き合える人ってなかなかいないです。
——お互い仕事人としてリスペクトし合うところからスタートしたのですね。そこからゆりにゃさん自身も純子先生のレッスンを受けることになったのはどうしてでしょうか?
ゆりにゃ オーディションのレッスンを見ていて、絶対個人的にもレッスンしてもらいたいなと思っていたんですが、ちょうどその後とある仕事が決まって、歌に力を入れたいと思って個人レッスンを受けることになりました。
——実際に見る側ではなく受ける側として純子先生の歌唱レッスンを受けてみて、どんなことを感じられましたか?
ゆりにゃ 今までカラオケでしか歌ったことがなくて、流れ作業的に歌っていたのですが、純子先生のレッスンを受けると1曲の楽曲がまるで映画のワンシーンみたいに聞こえてきて、感情移入できたことが嬉しかったです。歌に色がつく、みたいな感覚っていうのかな。
純子先生って音を形で捉えて指導してくれるので、共感覚みたいに受け取ることができて、それを実感できることに感動し過ぎて毎回泣きそうになります。純子先生といる時だけその感覚になるので、魔法にかかってるみたいだなって。
——音を形にする、というのは純子先生自身も指導にあたって意識されているところなのでしょうか?
純子 めちゃくちゃ意識しています。もちろん教える子一人ひとりに合った指導内容を提供していますが、特にゆりにゃちゃんの場合は、色とか形のイメージや思い浮かぶ風景が同じで、感覚を捉えてもらうという第一段階の内容を初回レッスンでクリアしてくれたので、より高度な指導をさせてもらっています。
これは合宿時にも証明されていて、レッスン中に「先生の立場やけど泣いてしまいそう」って思うタイミングで、パッと横を見たら他の人は泣いてないけど、ゆりにゃちゃんだけが泣いている…っていう瞬間が結構あったんですよ。多分、オーディション生が頑張ってる姿に自分を投影して、その努力がわかるからこそ、泣けるんやと思います。こういう状況で自分に置き換えて考えられる、という意味でも同じ目線やなと感じましたね。
——より具体的に、だけど感覚的に…というのはとても面白い指導方法だなと思うのですが、受け手によっては難しくも感じられそうですね。
純子 こういう感覚的な伝え方って主観でも客観でも本人が理解できてるかは後々のライブなどを確認してわかることが多いです。何万人と教えてきましたけど、初レッスンかつその場で完全一致で捉えて出せると確信できたのは、ゆりにゃちゃん含めて15人くらいやったはずです。いや、もっと少ないかも。
歌もダンスも基礎ができていないと絶対に上手くならない
——純子先生は、ゆりにゃさんに個人レッスンをしてみてどんなことを感じられましたか?
純子 努力を惜しまず完璧にやりこなす人やなと思いました。初めてのレッスンの時にゆりにゃちゃん自身が「まず発声練習をやりたい」って言ってくれたのですが、この発声練習がなかなか大変なんですよ。私の場合、発声練習での体の動きを見ることで、その子がこれまでどういう活動をしてきたか、どういうことに取り組んできたかというのが一発でわかるので、ちょうど良いなとは思ってたんですけど、ゆりにゃちゃんは一番しんどい足上げ運動まで奇声を発しながらも最後までやり遂げてくれましたね。ここまでできたのは教え子で2人目です。
でもこの奇声っていうのは、マネージャーの太一さんが横で動画を撮っていたので、一種のファンサービスとしているものであって、カメラの回っていない環境で完全なるレッスンモードになったら、きっと無言でクールに、最後までやり遂げるんやろうなと思いました。
——ゆりにゃさんは努力を黙々と積み重ねられる人であるというのが、発声練習だけでも感じられるとは…!
純子 その姿を最初に見たので「この人は1言ったら10、いや200と答えられる」と感じましたし、よりレベルを引き上げた指導や抽象的な指導もできるなと判断できました。それを1回目のレッスンから実感できたという、貴重な教え子さんです。
ゆりにゃ おっしゃる通り、全力でやってます。
——「発声練習からやりたい」って自ら志願する人は少ないイメージです。
ゆりにゃ え、そうなんですか?
純子 あんまりいないですね。やっぱり皆すぐに歌いたいですからね。それに「ちょっとだけ上手くなれたらいい」「歌で映えることができたらいい」という緩い考え方をしている人は、発声なんてどうでも良いんですよ。でも、yosugalaの汐見まといをはじめ、自ら発声からしっかりやりたいって言う子は必ず大きい舞台で成果を出してます。

基礎と向き合うというのは、ちゃんと自分の体を知って根源的なところから引き上げていきたいという、長期的な目線で歌に向き合えている証拠だと思います。なので、そういう子たちには250%のパワーで、より解像度の高い指導をすることを心がけているのですが、ゆりにゃちゃんはまさにそれを実践しています。
——ゆりにゃさんはどうして発声練習をやりたいって思われたのですか?
ゆりにゃ 何事にも基礎が大事だと思っているからです。ダンスも同じで、基本的な体の動かし方やリズムトレーニングを省いて振り付けだけやっていても絶対に上手くならない。数学の勉強も、足し算・引き算・掛け算・割り算を覚えていないと次のステップには進めないじゃないですか。だから結局はすべて基礎が大事なのだと思いますし、発声練習も大好きです。
純子 私もそうです!音大生の時なんか、365日ずっと発声練習していました。小学校の時もリコーダーで発声練習したり(笑)、でも基礎が好きと言える人はなかなかいないです。
すぐに歌を歌いたいっていうのは、演者目線ではなく、まだお客さん目線なんですよ。「ちゃんと基礎からやらないといけないよ」と言われてやるのではなく、自ら「ここが大事なんだ」と見極めて基礎練ができるというところが、ゆりにゃちゃんは最初から演者目線で歌を捉えているなと感じたところですね。
——「基礎が大事」ということを頭で理解していても、いざ実践できる人というのは限られていますよね。
純子 ええ。何よりゆりにゃちゃんのマインドは、言葉だけじゃなくて行動でもわかります。アイドルオーディションの合宿中も、絶対に忙しいはずやのに、私のレッスンやダンストレーナーとして参加されていたのぶりん先生のレッスンをすごく見てらっしゃったんですよ。アイドルオーディションは何度か経験してるんですけど、こんなにしっかりレッスン内容を見られる方はなかなかいないと思います。
あと間違えてゆりにゃちゃんのメモがエアドロで届いて見てしまったことがあるんですが、その時もオーディション生一人ひとりの良いところも悪いところも細かく書かれていました。フィードバックは自分自身への鍛錬でもあるし、その上でアドバイスを行うという行為も必ず自分自身の取り組みや成長に繋がってきますから。
動画は2倍速視聴!常に思うのは「食らいついてやる」こと
——2回目のレッスンを受けた時に、1回目のレッスン時との違いや変化って感じられましたか?
ゆりにゃ 1回目は女性の曲を、2回目は男性の曲を歌ったので、全く別物な感じというか、どちらも新たなことに挑戦してるみたいな感覚でした。
純子 2回目はCHANCE GYM(ゆりにゃプロデュースのパーソナルトレーニングジム)のトレーナーの方と一緒にレッスンを受けていただいたんですが、男性と二人なこともあって、せっかくなので男性の曲をアレンジした歌い方を即興で考案して、アイドルみたいに歌割りも作ってその場で実践してもらいました。私のレッスンではいきなり「こういうことをやってみましょう。じゃあBメロのここから、ハイどうぞ!」って歌わせるみたいな、説明から実践までのスピードが速いのですが、ゆりにゃちゃんは迷わずついてきてくれるんですよね。
ゆりにゃ 純子先生のそれ、好きです!
純子 ずっと取り組まれてきたダンスの経験とかSNSを通してのご活動など、全部ひっくるめた上での結果が出てるなと思います。自分のレッスンを受けてもらって、秒でオーダーに答えられる能力が鍛えられていった子はたくさんいますが、ゆりにゃちゃんが既にその力をもっていたというのは凄いことやと思います。
——ゆりにゃさんが持つ瞬時の理解力と瞬発力というのはパフォーマーとしてとても重要なスキルだと思うのですが、どのように培われたものなのでしょうか?
ゆりにゃ 私、映画とか動画を普段から2倍速で見るんですよ。だから脳の処理能力が高まっているのかもしれないです。純子先生って2倍速で話してるみたいな感じだから、ついていけるのかも。
純子 2倍速って、私めっちゃ仕事頑張ってるやん!はー、これは自分でも気づいてなかったですね。
ゆりにゃ あと、ボイトレを受ける子の中には、羞恥心がある子が多いんじゃないかなって思います。間違えたらどうしよう、どうしたらいいんだろう、恥ずかしい…みたいな。そう思っていたら、すぐに行動には移せない気がします。そういう羞恥心は捨てて「食らいついてやる!」みたいな気持ちでレッスンを受けていたら、考えるより先に行動していた…っていう感じですね。
純子 ゆりにゃちゃんがそういうスタンスなので、私もゆりにゃちゃんから連絡きたら「すぐ行きます!」って返します。
ゆりにゃ 嬉しいです、ありがとうございます。
純子 教え子に優劣をつけることはないんですけど、レッスン時間は60分、90分と有限だからこそ、お互い250%の力を出し合って高め合える子やその熱量が高い子の方が、レッスンする側としても力が入りますね。
自信がないから誰よりも取り組む——関コレ裏に隠された努力
——「食らいついてやる」というのが最高なマインドだと思うのですが、常にそう思えるようになったきっかけは何でしょうか?
ゆりにゃ 筋トレを始めてからですかね。筋トレも自分との戦いで、「やるしかない」みたいな責任感を持って、失敗してもいいからとにかく自分でやり切ることが大切だから、そこでメンタルが強くなったのかも。自分に甘いというのは、つまり自分への裏切りだと思っているので、全力で今あるものへ向き合わなければいけない状況を自分で作ってるイメージです。
——その取り組みの代表的な結果が、ゆりにゃさんの〈関西コレクション〉でのご活躍だと思います。関コレへの出演のたびに、美しいボディメイクと堂々たるパフォーマンスが話題となっていますよね。
ゆりにゃ 「前回の自分に勝ってやる」という気持ちで毎回挑んでいます。これは仕事ですし、仕事は遊びじゃないので、全力で取り組まなきゃいけないものだと思っています。関コレの場合は、期待をしてくれているファンを背負っている…とまでは言えないかもしれないけど、遠くから足を運んでくれるファンもたくさんいるので、その子たちを満足させなきゃ、と思っています。プレッシャーも大きいから、関コレ前日なんかは寝れないしボロボロだし、毎回「出なければ良かった」と思うくらい逃げたくなります。
——TikTokなどで公開されている関コレの舞台裏を収めた動画も、泣きそうになる程プレッシャーを抱えながらウォーキングや筋トレに励む姿が映っていて、その過酷さが視聴者にも伝わってきます。ボロボロになるとわかっているのに、出演し続けられるのはなぜでしょうか?
太一(ゆりにゃマネージャー):自信がないから?
ゆりにゃ 確かに、自信がなさすぎるよね。どれだけ痩せても、どれだけ鍛えても、どれだけウォーキング練習しても、全然自信がつかないです。だからこそ自分を追い込んで、誰よりも取り組みます。取り組むことは誰でもできるので、そこで誰よりも技術を磨けば形にはなるなと思ってます。
純子 合宿の時にたまたま太一さんと一緒になった時に、ボソッと「ゆりにゃはああ見えて自信がない子なんですよ。だから、自信を持つためにこうして頑張ってるんですよね」ってお話しされてて、ゆりにゃちゃんのこと本当に理解している理想的な彼氏さん兼マネージャさんやなと思いました。
私も自信がないし、料理もできないし食事は絶対ウーバーという社会不適合者なので、人として終わってるなと思うんですけど、歌に関しては音大に入った時からずっと取り組んできたし、それだけしか自分の価値がない。だったら価値のある部分だけを全うしようと思ってます。
ゆりにゃ それ、すごくわかります。
——大きい舞台を更新し続ける、というプレッシャーを自分にかけてこなしていくという姿勢は、歌唱の成長やパフォーマーとしての成長にも欠かせないものでしょうか?
純子 本当にギリギリの精神で努力している子たちというのは、絶対にその努力を表に見せないです。ゆりにゃちゃんの場合は動画で見せているのはあくまでエンタメの延長線上であり、本当に努力している姿は動画に出してないと思います。でも「裏ではこんなことをやっていて、努力を継続してしているんだろうな」というのは、見ていてわかります。やっている者同士にしか分からない共通点というものもありますから。
ゆりにゃ:そうですね、見せていない部分もたくさんあります。
純子 ですよね。私自身「ボイトレ」という言葉があまり好きじゃなくて、「ボイトレ今日も頑張った♡」みたいなポストを見ると「可愛い自撮りあげたいだけやんけ」みたいなものも多いじゃないですか。何かの芸を鍛えて極めるというのは、そういうファッション的なものじゃなくて、練習している姿は見せず、裏で努力を続けるものだと思うし、そういう人がステップアップしていくというイメージがあります。
ゆりにゃ:家の廊下がちょうど関コレと同じ長さなんですけど、お風呂上がりにスッピンで誰にも見せないのに、夜中の1時2時までずっと歩き続けるとかしてます。
純子 でしょ!こんな話、直接聞いてないですけど、歌とかからめっちゃわかります。それがやっている子とやっていない子の差ですね。それが心に響くパフォーマンスにも繋がると思います。
成功している人は怖いくらい優しくて謙虚
———ゆりにゃさんはインフルエンサーとして、純子先生は歌唱指導者としてさまざまなインフルエンサーやタレント、アイドルといったパフォーマーに会ってきたことだと思います。お二人から見て、成功している人の特徴とは何でしょうか?
純子 ここぞという場でエネルギーを500億%出せる人は成功すると思います。例えその方向が結果的にまちがっていたとしても、確実にインパクトには残ります。その結果の良し悪しは受けた側が判断するので、パフォーマンスする側がいかに自分の放つパワーのレベルが観る人たちにマッチするか、刺さるかだと思っています。
ゆりにゃ 私は結局は人間性だと思います。視聴者の方々って私より私のことをよく見ていて、自分じゃ気づいていない部分まで知ってくれています。なので、人間性が欠けていると最終的には人は離れていくし、自分磨きを継続できない人は結局自分の道を諦めてしまうと思います。失敗を恐れて行動力がない人や人を妬んでばかりの人、感謝や礼儀がない人は成功していないイメージです。
——普段の行いや人間性がパフォーマンスといったアウトプットにも出てしまうと。
ゆりにゃ はい。逆に成功している人は、怖いくらい優しくて謙虚な人が多いです。人から好かれる人はなるべくしてなるんだと思います。例えば、YouTuberのヒカルさんは初めてお会いした時に「いつも動画見ていて好きです」とお伝えしたらその場でTikTokをフォローしてくれて、気遣いもさらっとしてくれたり、私の大好きな戦慄かなのちゃんも本当に面倒見が良くて、いろんな子を気にかけてあげたり。あとはお話に出ていた関コレでいうと、会長である中川(康之)さんも仏様のように寛大な心をお持ちの方です。
純子 ちょっとした気遣いができる人は素晴らしいですね。ゆりにゃちゃんも合宿所で会った時に「これ純子先生絶対好きだと思って」ってSWIMMERのお皿をくれたんですよ。実際に大好きやし「なんでわかるん!?」ってめちゃめちゃ嬉しくなりました。
ゆりにゃ えー、良かった!
純子 私もアイドルのワンマンにいく時は必ずその子たちが好きそうなものを考えて差し入れするんですけど、そしたら喜んでくれるし、後々動画のドキュメンタリーに差し込んでくれることもあるんですよね。お互いの信頼関係は歌の向上に結びつくし、謙虚な姿勢を見ると「この人ともっと高いところに登っていきたい」という思いにも繋がります。気遣いと共に、お互いにとってWIN-WINの関係であることが大事やなと思いますね。
——そうして生まれた信頼関係はパフォーマンスはもちろん、人と人が繋がるプロジェクトやライブ、イベントを一緒に作るにあたっても必要ですよね。
純子 そうですね。行動一つでその人の人となりがわかりますからね。前回参加したOdAkEiアイドルプロジェクトでも、参加者はもちろん、スタッフさん含めてファミリーみたいなものでしたし、合宿人生中は一番しんどかったです、全員が。講師の先生が泣きながら叱ってるし、スタッフさんも感動でガチ泣きしてるし…(笑)。でも、AVAMのメンバーの子たちはSNSでおだけいさんや私をフォローし続けてくれてます。彼女らはとても正直な子たちで、嫌なものは無理、良いものは良いって言う子たちだから、その理由が行動からも見えてきますよね。

ゆりにゃ:いい人のところには、自然と人が集まってくるものですよね。
全力で取り組むことが誰かのためになる
——3月2日には関コレという大舞台に再び立つことになります。ゆりにゃさんはインフルエンサーとして表舞台に立つ人に求められる条件は何だと思いますか?
ゆりにゃ インフルエンサーたちには人の心を動かすような人になってほしいです。私がボイトレを受けている様子をインスタに載せた時に「今日すごく病んでたけど、動画を見てすごく元気になった」「ゆりにゃちゃん、今日も生きてくれてありがとう。あなたのおかげで今の私があります」みたいなメッセージをもらって、何かを全力で取り組むことが誰かのためになってるんだと思いました。声から伝わる思いとか熱意とか生き様を、ストレートに受け取ってくれる人って絶対に世界に一人はいるので、その人のことを思ってお仕事をしたり、新しい挑戦をしたりしてほしいなと思います。
純子 ゆりにゃちゃんがストーリーにあげてくれた時、私のストーリーの閲覧がめちゃめちゃ増えてびっくりしました(笑)。
ゆりにゃ 私のファンは行動力がある人が多くて、私と似ていて感受性の強い方が多いから、気になったらすぐに見に行くんだと思います。
純子 ファンはまさに鏡ですよね。私と教え子も鏡同士で、それが信頼に繋がって、高め合って行ける関係になれる理由かなと思います。
ゆりにゃ そういう部分が合わないと、ずっと一緒にはいれないですよね。
純子 ゆりにゃちゃんの周囲には、真っ当に真面目に活動してきた人ばっかりなんですよね。アイドルオーディションでご一緒させていただいたのぶりん先生も、お若いのにめちゃめちゃダンスがうまいなんて、いうのも憚られるほどカッコよくて、美麗で、ストイック。合宿中の一瞬で仲良くなれました。私、前回の関コレのゆりにゃちゃんのステージングがめちゃくちゃ好きなんですけど、実はのぶりん先生が作ったと聞いた時は驚くと同時に深く納得しました。
ゆりにゃ のぶりん然り、私の周りには職人気質みたいな人が多いかもしれないです。ゆりかも、そういう人じゃないと教えてもらいたくないし。トップを走り続けてる人としか一緒にいたくないです。
——そのお答えには「トップを走る人たちと一緒にいるためにも自分を磨き続ける」というゆりにゃさんの意志も感じます。そんなゆりにゃさんの努力と覚悟と責任感が、いつも関コレという舞台で発揮されているんですね。
ゆりにゃ 関コレ前にはいつも「成功しますように」という願いを込めて絵馬を書くんですが、今はその写真を待ち受けにしてます。関コレ直前なので夢にまで出てくるほど、関コレのことばかり考えています。
純子 わかる! 何か本番を控えてる時って、2カ月前から毎日しんどくて、1か月前にもなったら本番のイメトレばかりするから、寝てる時も起きてる時もそのことばっかりになりますよね。こうした準備を半年近く前からしているからこそ、大きな結果を残せるんやと思います。3月2日、私も観に行かせてもらうので、とても楽しみにしてます!
ゆりにゃ ありがとうございます!ファンの子たちも楽しみにしてくれているので、それに応えられるように頑張ります。
(文=宮谷行美)
アイドル化するアナウンサーの実態
なぜハロプロは「すっぱり引退」するのか?
●ゆりにゃ
YouTube、TikTok等で活動するインフルエンサー。162cm・40.5kgというスレンダー美ボディと、SNSで公開するダンス動画や努力を惜しまない日々の体験管理、筋トレ姿が人気を博し、総フォロワー220万人超。パーソナルトレーニングジム『CHANCE GYM』のプロデュース、本格派コスプレイヤーなど多岐に渡って活動中。