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「好きな司会者」1位の川島明と松本人志不在で再評価されるMC芸人たちの今

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イメージ画像(写真:Getty Imagesより)

 毎年恒例となっているオリコンの「第17回 好きな司会者ランキング」が2月末に発表され、TBS系『ラヴィット!』のMCを務める麒麟の川島明が初の1位に輝いた。川島の司会者としての評価やランキングの情勢変化について、業界事情に詳しい芸能ライターの田辺ユウキ氏が解説する。

 今年の同ランキングは、1位が川島、2位がサンドウィッチマン、3位が内村光良、4位がTBSの安住紳一郎アナ、5位が上田晋也、6位が浜田雅功、7位がタモリ、8位が明石家さんま、9位が有吉弘行、10位が千鳥という結果になった。浜田と千鳥は昨年圏外からのトップ10入り。

 川島は2023年に同ランキング初登場で2位になり、昨年は4位に順位を落としたものの、今年は急浮上して初の首位を獲得した。帯番組の『ラヴィット!』を中心に司会者のイメージが浸透している上に好感度が高く、納得の1位といえそうだ。

芸人の「いい人」化に大きなリスク

業界人がハマる「川島の絶対的安定感」

 川島の業界内での評価について、田辺氏はこう解説する。

「テレビ制作者にとって『MC・川島明』は、“一度その味を覚えたらもうやめられない”という存在だと思います。司会進行は落ち着きがありますし、優れた大喜利力の持ち主なので、なにごとも瞬時に反応して笑いに持っていけます。『ラヴィット!』はもう4年もメインMCをやっていますが、ハプニングが起きがちな朝番組であるにもかかわらず、大きなミスがほとんど見当たりません。その安定感には驚くばかりです。加えて、声の良さ、清潔感がある見た目は、番組のテイスト、時間帯、視聴者の世代などを問わず受け入れてもらえるもの。そんな川島さんの味を覚えたら、テレビ制作者はやっぱり抜け出せないですよね」

 田辺氏によると、川島の絶対的な安定感は『ラヴィット!』だけでなく他の意外な番組からもうかがえたという。

「川島さんは、関西地方で放送されている競馬番組『KEIBA BEAT』(関西テレビ)のメインMCを2014年から約8年半にわたり担当されました。川島さんが就任する前は、杉崎美香アナと関西テレビの川島壮雄アナのコンビ、その前は俳優の金子昇さんが、いずれも2年ほど司会を務められました。前身の長寿番組『DREAM競馬』を若者向けに刷新しようと番組改革が行われて以降、関西テレビの競馬番組の司会は入れ替わりが激しかったのですが、川島さんが司会に抜擢され、杉崎アナと組むようになってから安定するようになりました。

 これもやはり『川島力』だと思います。ちなみに2022年の番組卒業時、『卒業』という言葉ではなく、競馬用語で競走馬を牧場で休養させる意味の『放牧』と言い表したのは絶妙なうまさがありました。そのように川島さんが司会を担当する番組は長期安定する傾向が見られる気がします。前述したように、どんな番組でも、どんな視聴者層にも受け入れてもらえるイメージの良さと、安定・安心の司会回しが評価につながっているのでしょう」

ダウンタウン浜田と千鳥がランクインした理由

 今回のランキングでは、昨年1位だったマツコ・デラックスが5年連続首位となったことで殿堂入りし、昨年5位だった中居正広が引退したこともあり、情勢に変化が見えた。とくに注目すべきは、ダウンタウンの浜田雅功と千鳥が昨年の圏外からトップ10入りとなったことだ。この変化について、田辺氏はこう分析する。

「浜田さんのランクインは非常に興味深いです。もう何十年も司会で活躍されていますが、ここにきて再評価されたのは間違いなく『松本人志不在』の影響があると思います。これまではダウンタウンで司会を行う際、やはり松本さんのボケが目立っていました。松本さんが表舞台から姿を消し、浜田さんの個人の力が見えやすくなったのかもしれません。隣に松本さんがいれば厳ついツッコミができるのですが、いなくなったことでそれがなくなりつつあり、逆に意外と浜田さんの優しい部分が見えるようにもなりました。そういったところが好感につながっているのかもしれません。

 千鳥もやはり『松本人志不在』の影響で、『酒のツマミになる話』(フジテレビ系)の司会進行を務めるようになったことが大きいでしょう。あと若者にとっては、TikTokなどでショート動画がよく回る『チャンスの時間』(ABEMA)の司会ぶりも影響があるのではないでしょうか。

 千鳥はこれまでも『相席食堂』(ABCテレビ)や『千鳥のクセスゴ!』(フジテレビ系)などのMC番組がありましたが、いずれも『見守り役』のような立ち位置で、がっちり仕切っているという感じではありませんでした。また『千鳥の鬼レンチャン』(フジテレビ系)もMCですが、かまいたちとセットという印象が強かった。『火曜は全力!華大さんと千鳥くん』(関西テレビ・フジテレビ系)も博多華丸・大吉との共同MCでした。そう考えると『酒のツマミになる話』と『チャンスの時間』でMCとしての千鳥の印象が強まった気がします」

 浜田と千鳥のランクインについて、田辺氏は「松本人志の不在」が大きく影響したとみているようだ。さらに、田辺氏は今後のランキング入りが狙える注目の芸人を挙げてくれた。

「個人的には、モグライダーあたりが何年後かにここに入ってくる気がします。芝大輔さんは、ひな壇に座ってもほぼ必ず回し役の席が用意されるほどの進行上手。テレビ朝日公式YouTubeチャンネル『動画、はじめてみました』などで配信中の人気企画『まいにち大喜利』での司会なども素晴らしいです。一方、ともしげさんも、芝さんありきではありますが司会進行は悪くない。コンビとしてさらに経験を積めば、いずれ地上波ゴールデンでのメイン司会もあるのではないでしょうか」

(文=佐藤勇馬)

協力=田辺ユウキ 大阪を拠点に芸能ライターとして活動。映画、アイドル、テレビ、お笑いなど地上から地下まで幅広く考察。

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佐藤勇馬

1978年生まれ。新潟県出身。SNSや動画サイト、芸能、時事問題、事件など幅広いジャンルを手がけるフリーライター。雑誌へのレギュラー執筆から始まり、活動歴は15年以上にわたる。著書に『ケータイ廃人』『新潟あるある』がある。

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最終更新:2025/03/04 09:00