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バッテリィズ、M-1準優勝から東京進出で本格ブレイク秒読み…実力と人気の秘密を解剖

バッテリィズの画像1
イメージ画像(写真:Getty Imagesより)

 『M-1グランプリ2024』準優勝をきっかけに注目度が跳ね上がったお笑いコンビ「バッテリィズ」が、ついに4月から東京に進出する。関西で初の冠番組の放送が決まるなど勢いに乗っており、本格ブレイクまで秒読み段階の気配だ。これからのお笑い界を担う存在になりそうな彼らの実力や人気の秘密、今後の展望について、お笑い事情に詳しい芸能ライターの田辺ユウキ氏が解説する。

 バッテリィズはエースと寺家(じけ)のコンビで、2017年に結成。昨年の『M-1グランプリ』では、ファーストステージで最高得点の861点を獲得し、お笑いファンに鮮烈な印象を与えた。念願の決勝に初進出し、令和ロマンに破れたものの、審査員からも視聴者からも高評価となった。

 以降は各局のバラエティでよく見るようになり、コンビ結成当初から掲げていた「東京のテレビで人気者になりたい」という目標をかなえるため、4月から東京に拠点を移すことを発表した。さらに、初の冠番組となるABCテレビ『バッテリィズがチャリで来た。』(全3回)が3月15日から放送されることが決定。3月31日にスタートするABCラジオの新番組『がっちゃんこ』でラジオ番組初レギュラーを務めることも決まっている。

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識者が指摘する「寺家の有能さ」

 まさしく、本格ブレイクの兆しがビンビンという状況で、今後のお笑い界の台風の目になりそうだ。バッテリィズというと、おバカキャラのエースが目立っている印象だが、関西在住の芸能ライター・田辺ユウキ氏は別の視点から彼らの実力を分析する。

「『M-1』のときはエースさんのアホっぷりが注目を浴びましたが、ここにきてそれをコントロールする寺家さんの有能さがクローズアップされてきた感があります。コンビのネタは寺家さんが書いているので、『M-1』で披露したネタも『いろんなことを知っていないとあのネタは書けない』と評価されていましたから。

 たとえば1月、大阪の公演でエースさんが遅刻をしてしまい、舞台に間に合わなかったとき、寺家さんはネイビーズアフロのみながわさんと即席コンビを組みました。そこで見せたネタは、エースさんとは真逆となる知識豊富なみながわさんに、寺家さんが翻弄されるというもの。寺家さんは、エースさんのセリフ『全部聞き取れたのにー!』を取り入れた漫才などで観客を沸かせました。改めて寺家さんの、漫才師としての勘の良さを実感できた舞台でした」

 バッテリィズの面白さは、エースだけでなく寺家の存在も大きいようだ。田辺氏は続ける。

「私がバッテリィズにインタビューをしたとき、寺家さんは『実は自分もまあまあアホなんです』と明かしていました。しかし、アホキャラのエースさんに物事を教えるという漫才のフォーマットがあり、なおかつエースさんがアドリブでアホなことを言ってもちゃんと対応できるよう、できる限り時事問題などを勉強しているとのこと。現在のバッテリィズの好調の裏側には、そういった寺家さんのハンドリングのうまさと陰の努力があると思います」

東京進出でどうなる?

 彼らの人気の秘密について、田辺氏は意外な角度からこう指摘する。

「バッテリィズの人気の理由は、おもしろさ、キャラクターはもちろんなのですが、ルックスの良さも影響していると思います。エースさんは凛々しい顔つきですし、寺家さんは清潔感があって優しそうな表情の持ち主。お茶の間に受け入れられやすそうな見た目が人気に拍車をかけているのではないでしょうか」

 右肩上がりで人気が上昇しているバッテリィズは、東京進出でどのように活躍の場を広げていくのか。田辺氏はこのように予測する。

「最近は東京の番組にたくさん出演するようになり、徐々にバラエティ慣れしていっているようにも見え、お二人とも状況に応じていろんなリアクションをとれるようになっていますよね。まずはスタンダードにいろんなバラエティ番組のひな壇に座って、エピソードトークなどを披露する役割になると思います。

 その一方で、寺家さんはお子さんもいらっしゃいますし、清潔感があって優しそうな雰囲気も漂っていますから、今後は『パパ芸人』としても声がかかるのではないでしょうか。あと、コンビとしてはグルメリポートなどが合いそうです。エースさんがピュアすぎるアホコメント、寺家さんがメニューに関する知識を披露すれば、それだけでリポートが成立します。そのフォーマットがあれば、バッテリィズはいろんな仕事に合うように感じられますね」

今年こそ…『M-1』の初優勝は?

 人気を不動のものにするためには、少し気の早い話だが今年の『M-1』で初優勝を飾るのが最もドラマチックで効果的だ。そうなれば文句なしの本格ブレイクとなりそうだが、田辺氏はどう見ているのか。

「個人的には、2025年の『M-1』に関してはかなり大変だと思います。『アホに物事を教える』という漫才フォーマットが広くバレてしまい、さらにテレビ出演も増加してキャラクターが知れ渡ったことで、2024年の大会に比べると衝撃度が薄らいでしまうからです。

 もちろん、漫才フォーマットやキャラクターが周知され、初見時に時間を要する『自分たちのことを分かってもらう』という導入や説明が省かれ、観客にすぐ笑ってもらえるようにはなります。ただ、漫才フォーマットやキャラクターがバレたコンビは『中盤からのもう一展開に欠ける』という状況に陥ることが多々あり、それはバッテリィズにも当てはまると思います。

 しかし、寺家さんは自分たちの漫才フォーマットの秘訣をできるだけ流出させないように務めていらっしゃいます。私は2回、単独インタビューをしていますが、漫才の構成に関する指摘に対して『できればそこは隠してもらえると』とお願いされたことが2回ともありました。寺家さんはクレバーな方なので、フォーマットやキャラクターのネタバレはある程度想定した上で、対策を練ってくるように思えます」

(文=佐藤勇馬)

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佐藤勇馬

1978年生まれ。新潟県出身。SNSや動画サイト、芸能、時事問題、事件など幅広いジャンルを手がけるフリーライター。雑誌へのレギュラー執筆から始まり、活動歴は15年以上にわたる。著書に『ケータイ廃人』『新潟あるある』がある。

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最終更新:2025/03/13 09:00