咲村良子プロレス挑戦記13 戦う女の園「女子プロレス」

咲村良子連載コラム第13回
「ヴィランの花道 ~咲き乱れ 散りゆくままに~」
女子プロレスは、男子プロレスとは一線を画して独自の文化として存在している。
これまで私はいろんな女社会からはみ出して生きてきた。
学生時代のスクールカースト、グラドル、アイドルも全部が女社会だった。
そんな私が新しく足を踏み入れたのが「女子プロレス」という世界。
女子プロレスは女社会としても新鮮な空間。
とにかくすごいと思わせてくれる女たちがいっぱいいた。はみ出しきって振り切った先輩たちの姿がたくさんある。
まず、衝撃的だったのはジュリアさん。
あのカリスマ性はどこからくるんだろう。有無を言わせぬ存在感が印象的だった。この人がいたからマリーゴールドができたんじゃないかと思う圧倒的なリーダー感。あっという間にアメリカに行ってあっという間にアメリカでベルトを巻いている。
そして、マリーゴールドには高橋奈七永がいる!
キャリアが築く説得力をいつも感じる。長い時間をプロレスに捧げてきたことを対峙するたびにひしひしと感じる。この人のいる団体でプロレスを始められて本当によかった!!!!!
アメリカからはチャンピオン、イヨ・スカイがマリーゴールドに来た! 今やWWE女子王座。もう雲の上過ぎる。このレベルの人は会うだけで感動する。
里村明衣子さんもすごかった。一言、二言交わしただけでも器の大きさを感じた。母性が強い人なのかな、大きな優しさが強さを裏付けてすごい安心感があってどっしりとした人だった。
この前、新宿FACE大会にひょっこり現れたのはカイリ・セイン!
私はびっくりしすぎて本人に、
「本物ですか?」
って人生で初めて聞いてしまった(笑)。
映像で見るまんまの綺麗なお姉さん。でも想像以上に小柄な人だった。プロレスは体格が全てではないんだと思った。
これだけすごい人がたくさんいるのが日本の女子プロレス界。
そして団体を仕切るロッシー小川さんの力で、マリーゴールドには一流の選手が集まっている。
感動があちこちに転がっていてプロレスは本当に忙しい。
そしてもうひとり、忘れてはならない人がいる。
身近であるけどひときは強く尊敬する選手をもうひとりあげたい。ちなみに私より年下だ。
でも圧倒的実力。
この人の凄さはもっとみんなに知ってもらいたい! きっとまだ気づいてない人も多いのではないだろうか。
さぁ、誰でしょうか? 予想を教えてね。
ということで、その人物の紹介は来週のコラムで。
プロレスは他では出会えなかったものが溢れてる。きっと会場に一度でも来てくれたらその感動を覚えるはず。
いつの日か会場全員に私がその感動を届ける。
その日まで咲村良子は止まらない。
(文=咲村良子)
咲村良子マリーゴールド戦記XIII
咲村良子は先日配信された「Number Web」のインタビューでも、“グラレスラー”として目下奮戦中のプロレスについて熱く語っていた。
曰く、プロレスとは「素の自分をエンタメに昇華していく」もので、「プロレスは本当の感情しか出せない」「プロレスは悲しさ苦しさも含めてお客さんにすべてを伝えるもの」だという。
これまでグラビア畑やアイドルステージをメインに活動してきた彼女は、常に”表現者”としてカメラや人の前に立ってきたのだろう。
しかしプロレスでは違う。そこにいるのは何かを表現するエンターテイナーではなく、咲村良子そのものなのだ。
もともと咲村良子は気が強く、今回のコラムにも合ったようにいわゆる「女の園」に馴染むタイプではなかったようだ。
そんな彼女がアイドルという女社会の極北とも言えそうな世界でいかに結果を出してきたのかは気になるところだが……。
ともあれ、今回の原稿やNumberのインタビューからもわかるのは、プロレスという世界は咲村良子の性に合っているということ。
コラムにも登場したジュリア選手も咲村良子のことを「性格は一番プロレスに向いてる」と評したとか。
確かに、リングの上で見せる咲村良子の鬼の形相は、ちょっと身震いするほど迫力がある。それも彼女の根っこにある熱情や気迫、負けん気といったアツい感情がほとばしっているからだろう。
いまのところ、プロレスではなかなか結果が出せていない咲村良子だが、リングの上の彼女はどこか空回りしているようにも見える。それは、あまりにもアツい感情が先走ってしまっているからではないだろうか。
クールに構えて時に激しく、そんなメンタルコントロールも必要なのかもしれない。
心技体、それがそろった時、ヴィラン誕生となるか――。
【咲村良子試合情報】
3月23日(日)水戸市民体育館
vs 田中きずな