「聖飢魔II」デーモン閣下、『徹子の部屋』で事実上の実年齢を告白、そして番組の凄み

テレビに出続けるうちに当初のキャラ設定が変わる芸能人は多いが、キャラがブレない代表が、デーモン閣下。ロックバンド「聖飢魔II」のボーカリストとして地球に降臨したデーモン閣下は自らを「悪魔」と名乗り、「年齢10万◯歳」と称しながら“地球活動歴”はすでに40年に及ぶが、人間年齢が還暦を超え、頑なにキープしてきたキャラ設定が緩やかに崩れてきた。
好角家、帰国子女、早稲田大学卒といったバックボーンは知られているが、最近では闘病体験を赤裸々に告白。悪魔風味はどんどん薄れているのだ。
「1980年代のデビュー以来、特殊な立ち位置で活動してきたデーモン閣下ですが、大きな転換点になったのはがんとの関わりです。2012年、小学生時代を過ごした広島県から依頼を受け、がん検診の啓発キャンペーンのキャラクターに就任。以来、がん検診の大切を訴え続けてきましたが、2024年2月に自らがステージIのがんと診断され、さらに大動脈に命に関わる疾患があることも分かったことを公表しました。その際、インタビューでは『人間年齢では62歳』と説明。あわせて終活について語る場面もありました」(芸能記者)
また、3月7日に出演した『徹子の部屋』(テレビ朝日系)では、黒柳徹子に年齢についてバッサリと切り込まれた。
「デーモン閣下はこれまでも何度も番組に出演し、そのたびに徹子さんからメイクや年齢などについて率直な疑問をぶつけられてきましたが、今回は『最近になって人間年齢を明かしたそうで…』と直球の質問が飛んできて、思わず苦笑い。『10万62歳って言ってんだから、(みんな)人間の62歳だろって思ってるでしょ?』と返しましたが、テロップではハッキリと『人間年齢62歳』と記されていました。
加えて物を大事にするタイプであることや、健康的な食生活を心がけていることなど、いたって“人間的”なトークをした挙げ句、徹子さんから『ちょっと何か歌ってみていただいていい?』と無茶振りされ、北島三郎の『与作』を披露。高校時代に学園祭で『与作』、『マイ・ウェイ』(フランク・シナトラ)、『昴』(谷村新司)の3曲を歌ったというエピソードも明かされました」(同上)
近年は黒柳の無茶振りが“芸人殺し”だと話題だが、相手が悪魔でも容赦はなかった。『徹子の部屋』の凄みについて、同番組を放送する元テレビ朝日プロデューサーの鎮目博道氏は、「大御所であればあるほど、素を出せる場所になっているのでは」と指摘する。
大御所が“素”をさらけ出せる場としての『徹子の部屋』
前出の鎮目氏が続ける。
「徹子さんは一見相手に関心がなさそうに見えますが、下準備はものすごく念入りにする方です。事前に番組スタッフから詳しいレクチャーを受け、徹子さんはポイントとなる部分や、情報に基づいた自分なりの話の進め方をきっちりメモに起こしていくそうです。そして、今や徹子さんはテレビ史を背負う人物。いってみればみんなのお母さん的存在で、ゲストはいかに無茶振りをされたり、ズケズケものを聞かれたりしても、それが心地良いと思うものになっています」
一見自由に振る舞っているように見える黒柳だが、失言やゲストを不快にさせることはない。それは「筋を外さない」人間力に起因する――と鎮目氏は言う。
「黒柳さんがアフリカに行く模様を追いかけた番組Pから聞いた話ですが、行った先の治安が不安定になることがあったそうです。そうした時、動揺するスタッフを一喝したのが徹子さんだったと聞きました。『しっかりしなさい、撮るのがあなたたちの使命でしょ』と。それで一気にスタッフの背筋も伸びたといいます。
徹子さんは、その存在が周囲を安心させるしなやかな強さがあるんですよね。裏を返せば、どんな自分でも受け入れてくれそうな懐、度量の広さがある。デーモンさんの場合でも、デーモンさんに無茶振りできるのは徹子さんぐらい。ただ、キャリアを重ねるにつれて誰も無茶振りしてくれなくなるので、デーモンさんも内心うれしかったのではないかと思います」
解散したのに… 再集結のたびに動員が増える「聖飢魔II」
黒柳のツッコミにはすっかりタジタジだったデーモン閣下。活動の母体となる聖飢魔IIは4月から40周年ツアーで全国を回るが、バンドも人間的な事情が色々と蠢いている。
「聖飢魔IIはデビュー時の公約通り1999年に解散しましたが、2005年に再集結。それ以降、5年ごとに再集結と解散を繰り返していますが、すでに解散時のメンバーからはギターのエース清水が離脱し、今回のツアーではギターのルーク篁が腱鞘炎などの治療中のためサポートメンバーを起用。ジャンルがヘビーメタルなので、いつまでも若い頃のようにできるわけがないということはメンバーも周囲も認めるところです。
ただ、聖飢魔IIは再集結を繰り返すごとに雪だるま式に動員が増えており、前回ツアーのファイナル公演ではバンド史上最多動員を記録。このまま解散してしまうのはあまりに惜しい状況で、今回の40周年ツアーは全国18会場回るが、そのほとんどが土日祝日。悪魔といえども今後の活動は常に“体力や体調と相談しながら”ということになりそうです」(音楽ライター)
“年老いた悪魔”という設定も、それはそれで興味深いかもしれない。
(取材・文=木村之男)