渋谷凪咲に福原遥、西野七瀬も…“殺人鬼役”が清純派から演技派への登竜門に

アイドルグループNMB48の元メンバーで俳優の渋谷凪咲が3月14日、都内で開催された「第47回日本アカデミー賞」の授賞式で映画『あのコはだぁれ?』で新人俳優賞を受賞した。
純白のドレス姿で登壇して会場を沸かせた渋谷は、「まだ経験の少ない私をこんな素敵な賞に選んでいただき、このような素晴らしい場所に導いてくれたことを心から感謝します。これからも目の前のことに真摯に向き合って一つひとつを大切に、無邪気に挑戦し続けたいです」と語り、これからの俳優業に対する意気込みを語った。
『あのコはだぁれ?』はJホラーを牽引してきた清水崇監督と23年8月公開のホラー映画『ミンナのウタ』のスタッフが再集結した学園ホラー。
渋谷は臨時教師・君島ほのか役を演じ、シリアスな表情や恐怖におびえる姿を見事な演技で表現し、これまでの柔らかいイメージとは異なる演技で注目を集めた。
2023年12月にNMB48を卒業した渋谷だが、アイドル時代は明るく天真爛漫なキャラクターで人気を集めた。
芸能ジャーナリストの竹下光氏は語る。
「渋谷さんはNMB48に4期生として加入。13年7月にはAKB48グループの次世代を担うべく、各姉妹グループの研究生によって結成された派生ユニット『てんとうむChu!』のメンバーとしてNMB48からただ一人選出されました。また、翌14年5月にリリースされたAKB48のシングル曲『ラブラドール・レトリバー』で選抜メンバーに抜擢されたりと、グループ加入当初から頭角を現します。その後もNMB48のシングル表題曲で選抜メンバーを務めたり、『チームM』のキャプテンを務めたりとグループを牽引。その一方、ソロ活動でもバラエティー対応能力の高さや大喜利のセンスの良さでバラエティー番組を中心に存在感を放ちます」
そんな渋谷だが、今年1月期の佐々木希主演のドラマ『地獄の果てまで連れていく』(TBS系)では、人気インフルエンサー兼ピアニストながらも平然と殺人を犯すモンスターの麗奈を演じ、そのギャップが視聴者に衝撃を与えている。
「本作では笑顔の裏に潜む狂気をリアルに演じており、彼女がいかに演技力を磨いてきたかがよくわかります。アイドル出身の俳優はどうしてもイメージが固定されがちですが、“ダークサイド”の才能が開花したことで、今後は俳優としての幅がさらに広がっていきそうです」(テレビ誌ライター)
振り返れば、同じく清純派俳優の福原遥も19年公開の映画『羊とオオカミの恋と殺人』で殺人鬼役に挑戦している。
「福原の殺人鬼役も非常に衝撃的でしたね。子役だった『クッキンアイドル アイ!マイ!まいん!』(NHK)の頃から知る視聴者にとっては、彼女は無邪気で愛らしいイメージが強い。しかし、『羊とオオカミ〜』では、彼女がこれまで見せたことのない冷酷な表情や狂気じみた演技を披露し、まるで別人のようでした。これまで『可愛い』の印象が強かったが、本作を機に“演技派俳優”としての地位を確立しました」(前出のテレビ誌ライター)
また、元乃木坂46の西野七瀬も19年放送のドラマ『あなたの番です』(日本テレビ系)で可憐な姿の裏に狂気を隠す殺人鬼・黒島沙和を好演。
清楚なイメージとは裏腹に、サイコパス的なキャラクターを巧みに表現し、視聴者に強烈な印象を残し、その後の飛躍に繋げている。
エンタメ誌の編集者はこう話す。
「アイドルや清純派の俳優が殺人鬼役を演じることは、視聴者の固定観念を覆し、その演技力を証明する絶好の機会。過去にも小池栄子や尾野真千子、小泉今日子も狂気的なキャラクターを演じたことでより俳優としての評価が上がっています」
視聴者からの「怖い」という感想は、渋谷にとっては最高の誉め言葉だろう。
(取材・文=サイゾーオンライン編集部)