河合優実、日本アカデミー賞最優秀主演女優賞、名だたる映画賞で“無双”の理由

「第48回日本アカデミー賞」の授賞式が3月14日に都内で行われ、映画『あんのこと』(入江悠監督)で主演を務めた俳優・河合優実が最優秀主演女優賞に輝いた。
同作は、実話をもとにした衝撃的なヒューマンドラマで、河合は機能不全の家庭に生まれ虐待の末にドラッグに溺れる少女・杏という難役を演じている。
受賞のスピーチで河合は、「『あんのこと』という映画は本当に言葉で言い表せないほど自分の中で特別な作品。『あんのこと』という映画に人生の時間を貸してくれたすべての人に、改めて感謝を伝えたいと思います。ありがとうございました」と語った。
河合は2019年に俳優デビューを果たしたが、芸能ジャーナリストの平田昇二氏は語る。
「河合さんは19年4月期の山下智久さん主演の連続ドラマ『インハンド』でドラマ初出演。その後、21年公開の映画『サマーフィルムにのって』や『由宇子の天秤』などの演技が高い評価を受けます。さらに、24年1月期のTBS系連ドラ『不適切にもほどがある!』で阿部サダヲさん演じる主人公の市郎の一人娘でスケバン女子高生の純子役を熱演して話題に。同年4月にはテレビ東京系連ドラ『RoOT/ルート』や6月公開の映画『あんのこと』で主演を務めるなど活躍を見せています。同年大晦日の『NHK紅白歌合戦』ではゲスト審査員を担当。今年前期のNHK連続テレビ小説『あんぱん』で朝ドラ初出演も決まっており、ヒロインの今田美桜さんを含めた3姉妹の次女を演じる予定です」
デビュー5年目にしてますます存在感を増している河合だが、映画業界関係者はこう明かす。
「最近は昨年度公開の映画を対象とした映画賞が続々と発表されていますが、河合さんは同作と主演の『ナミビアの砂漠』で『日本アカデミー賞』のみならず、数々の映画賞で主演女優賞を獲得しており、まさに“無双状態”です。その演技力は同年代の俳優の中では飛び抜けていており、2作の演技も圧倒的とあって受賞は当然でしょう」
そんな河合はこれまで「日本アカデミー賞」以外にも「毎日映画コンクール」や「ブルーリボン賞」、「キネマ旬報ベスト・テン」など国内の主要映画賞を総なめにしている。
22年公開の『PLAN75』などでも各映画賞の助演女優賞や新人賞などを受賞していたが、わずか2年で驚くべき“進化”をみせたという。
「『日本アカデミー賞』の最優秀賞候補である主演女優賞の受賞者は河合さん以外に、『ミッシング』の石原さとみさん、『夜明けのすべて』の上白石萌音さん、『九十歳。何がめでたい』の草笛光子さん、『ラストマイル』の満島ひかりさんでした。上白石さんと草笛さんはそこまで評価は高くなかった一方、石原さんは『ミッシング』で母親役として新境地を開拓。満島さんの『ラストマイル』は興行収入50億円を突破しました。とはいえ、2人は他の映画賞でもあまり名前が挙がっておらず、純粋に演技面が評価されているのは河合さんだけだったので、結果には納得です」(同映画業界関係者)
河合は2024年10月12日放送の日本テレビ系『アナザースカイ』で、演技を学ぶために大学に進学するものの中退した時のことを告白している。
その理由として、2年進学時の20年にコロナ禍に見舞われたことに言及し、「実践系の授業はコロナ禍ではちょっと難しかったですね」と当時を回顧。
そのうえで、「もう大学と同時に事務所に入ってお仕事はじめていたので、現場で勉強していこうかなと思って」と退学を決意したことを明かした。
そうした覚悟が実り演技が進化し続けているのかもしれないが、映画賞無双の理由は河合の演技力だけではないという。
「主演女優賞に関しては、年によってはノミネートする頭数を揃えるだけでも難しい時もありますからね。宮沢りえさんや安藤サクラさん、蒼井優さんといった、演技力に定評のある歴代の各映画賞受賞者の主演作が公開されない年もありますし。昨年なんかはまさにそういう年だったので、河合さんの演技が光り過ぎてしまったきらいもあります。もっとも、そう遠くない将来には河合さんがそうした名立たるライバル俳優たちと賞レースでしのぎを削り合うことになるでしょう」(映画賞の選考委員)
ちなみに、河合は今年公開の映画4本に出演する予定だが、いずれも助演とあって直接対決はもう少し先になりそうだ。
(取材・文=サイゾーオンライン編集部)