フジテレビ経営陣を揺るがす衝撃「怪文書」…物言う株主が黙っていない!?

元タレントの中居正広氏の女性トラブルを巡り、フジテレビの問題を調査した第三者委員会が3月31日に公表した報告書では、被害女性が当時、フジの女性アナウンサーだったとし、トラブルは“業務上の延長線上”における性暴力とされ、重大な人権被害が発生したと認定された。
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この報告を受け、親会社であるフジ・メディア・ホールディングスの企業統治(コーポレートガバナンス)不全ぶりが明らかになり、フジHDの大株主で物言う投資家である米ダルトン・インベストメンツが、SBIホールディングスの北尾吉孝会長兼社長ら12人を取締役候補として提案した。
フジHDは3月下旬に取締役の大幅な入れ替えと削減を進め、経営体制の変更を発表したが、金光修社長とフジテレビの清水賢治社長の続投に対して、物言う株主からの批判は収まっていない。
北尾氏は記者会見で、「価値や使命といったものが、日枝政権40年以上にわたる中で消失していると言わざるを得ない。これではフジ・メディアグループはガタガタになる。なんとかしなければならない」と語り、「フジ・メディアHDが発表した役員体制は不十分」としつつも、「清水氏は残しておいたほうがいい」と述べた。
そんな中、フジHDの金光修社長とフジテレビの清水賢治社長のセクハラに関する具体的な内容が書かれた怪文書が流出し、筆者もその文書を入手した。
第三者委員会の報告では、中居氏以外にも「重大な類似案件」として、同局の元編成幹部が関与した2件について報告している。その2件とは、タレントUと番組出演者に関するセクハラ案件であり、このうち番組出演者はとんねるずの石橋貴明氏だと文春オンラインが報じ、石橋本人もこれを認め、謝罪をしている。ただし、怪文書に登場する金光氏、清水氏については、第三者委員会の報告書には含まれていない。
マスコミ各社とダルトンを含む物言う株主に送付された怪文書には、「第三者委員会のヒアリングでは自分が特定されるリスクを恐れて供述を割愛したが、報告書を読み、世の中に知らせる必要があると考え証言する」と送付理由が記されている。
怪文書には、金光氏による、女性執行役員へのセクハラ、元妻への家庭内暴力があったことが指摘されているが、真偽は不明だ。
ただ、このセクハラ疑惑は2018年のフジHDの株主総会でも取り上げられており、その詳細は「週刊金曜日」でも報じられていた。
記事では、当時専務だった金光氏が気に入った女性を自部門に採用し、出張時に同宿するなどしてセクハラが疑われたこと、被害者が社内の相談窓口や労働基準監督署に訴え出ると訴えたが、専務が思いとどまらせたと指摘されていたのだ。
また、家庭内暴力についても、金光氏から被害を受けたという元妻本人から聞いたとして、その詳細が書かれていた。
さらに清水社長についても、10年近く前に派遣社員だった女性に対してセクハラを行ったという指摘がされている。
あくまで怪文書の内容なので、鵜呑みにはできない。悪意を持った人間による誹謗中傷行為の可能性もあるが、物言う株主たちにとっては看過できない状況だろう。現在のフジ経営陣にとっては頭の痛い問題となっているようだ。
一方、ダルトンが提案した取締役候補12人のうち、「STARTO ENTERTAINMENT」代表取締役・福田淳氏については異論が出る可能性が指摘されている。承知の通り、STARTO ENTERTAINMENTは、旧ジャニーズ事務所の流れを組む。そして、女性トラブルを起こした中居氏をフジが番組に出演させ続けた背景には、それまでに構築されたジャニーズとの癒着があるとされるからだ。
中居は2020年にジャニーズを退社し、福田氏はジャニーズ事務所の経営には関与していないが、ジャニーズはフジのガバナンス崩壊の一翼を担ったともいわれるだけに、福田氏への風当たりも強くなりそうだ。
いずれにしても、怪文書の存在を物言う株主たちが見過ごすことはないだろう。第三者委員会がこの怪文書をどのように扱うかも含めて、今後の成り行きが注目される。
(文=本多圭/ジャーナリスト)
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