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令和ロマン、高比良くるまが吉本離脱でコンビ活動に暗雲…識者は「粗品や又吉に近い動きになる」と推測

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令和ロマン・髙比良くるま(写真:新越谷ノリヲ)

 オンラインカジノ問題の影響で活動を自粛していた人気お笑いコンビ「令和ロマン」の高比良くるまが、4月28日に活動再開を発表すると共に、吉本興業から契約解除されたことを明かした。相方の松井ケムリは吉本興業に残ったまま、コンビを継続するという。

 コンビの片方だけが退社という異例の状況に対し、ファンからは「劇場やテレビにコンビで出られなくなるのでは」と危惧する声が上がっている。その一方、お笑い界の大ベテランである山田邦子が「%(※マージン)も取られなくなるし、ひな壇で心折れるような薄笑いで時間潰ししなくても良くなるし、動きやすくなるだろう」と指摘したことも話題になった。

 お笑い界の未来を担う器と期待されていた人気コンビの今後はどうなるのか。くるまが退社した影響や、話題を呼んでいる山田の発言などについて、お笑い事情に詳しい芸能ライターが解説する。

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契約解除の経緯は…吉本との間にしこり?

 くるまが明かしたところによると、契約解除の原因はオンラインカジノ問題ではなく、その騒動の際に謝罪動画を会社に無断でYouTubeにアップしたことだったという。くるまは吉本興業の「偉い方々」から呼び出され、謝罪動画の件について「そうした勝手な行動はしてほしくなかった」との皆を告げられたうえで、「信頼関係が壊れてしまった」という理由で契約解除への合意を勧められたとしている。

 くるまは謝罪したうえで「これから一生懸命がんばる」と何度も食い下がったそうだが、相手側は「一人でやったほうがええと思います」とまったく譲らず、最終的に“双方合意”で契約解除になったとしている。

 くるま側からの視点だけではあるが、この経緯を聞くだけでも吉本興業との関係がかなりこじれていることが推察できる。相方のケムリは吉本に残ったまま、令和ロマンは継続することになったが、コンビ活動への不安を禁じ得ないところだ。

 吉本興業では、過去にもコンビの片方だけが退社したケースはある。極楽とんぼは、山本圭壱が不祥事で退社した後も加藤浩次が吉本に残ったが、コンビとしての活動はほぼなくなり、コンビが本格的に復活したのは加藤が吉本を退社してからだった。

 また、西野亮廣と梶原雄太のキングコングは、2021年に西野が吉本とのマネジメント契約を終了。以降、西野が吉本の運営する媒体などに出演するときは「ゲスト扱い」になっている。

コンビでの劇場&テレビ出演に「大きな影響」

 やはり過去のケースを見ると、コンビとしての今後は不安を拭えない状況だ。実際、くるまの退社によってどのような影響が考えられるのか。お笑い事情に詳しい芸能ライターの田辺ユウキ氏はこのように分析する。

「劇場公演への出演に関しては大きな影響が及ぶと想定されます。吉本興業の運営劇場で開催される自社公演は、基本的に出演できるのは自社所属芸人のみ。ただし、イベント内容によっては他社所属芸人も呼ばれたりします。それでも吉本芸人が最優先ですから、それに該当しないくるまさんがいる令和ロマンについては今後、吉本興業の運営劇場にコンビで上がる可能性はかなり低くなると思います。

 では他社運営の劇場はどうかというと、これまた厳しい。まず、吉本興業所属の相方・松井ケムリさんの他社劇場への登壇が認められるかどうか。吉本興業としては、自社のタレントには自社劇場で集客してもらいたいでしょうから。令和ロマンが他社劇場に上がればお客が押し寄せるでしょうが、それだと吉本興業側にあまり旨みがない。ただその方針は、商売としては当然のこと。『劇場出演』の話だけに絞れば、吉本興業の判断について『寛容ではない』とは思いませんし、むしろそういった姿勢を否定的に捉える方が間違いです。

 ですので、劇場出演に関しては、これまで通りというわけにはいかないでしょう。逆に、そういった部分をOKにしてしまうと、芸人たちとマネジメント契約を結んでいる理由付けが薄くなる。それらを踏まえると、令和ロマンは当分、イベンターなどが主催する大規模イベントへの出演が中心になるのではないでしょうか」

 劇場出演が難しくなると、テレビも厳しいのだろうか。田辺氏は続ける。

「テレビ出演も、ここまで大ごとになってしまうとリスタートが切りづらい。令和ロマンとしての出演に関しては吉本興業の方でとりまとめるようですし、『コンビで動く必要があるものなのかどうか』『ケムリさんがピンで動けるものじゃないか』という判断もなされそうです。実際にくるまさんが活動休止していた約2ヵ月間、ケムリさんが期待以上の働きをしましたから、吉本側も『絶対にコンビで』というわけでもなくなったはずなので。

 なにより多くのテレビ番組で吉本が制作としてクレジットされています。圧力をかけるということは、このご時世だとないはずですが、おそらく令和ロマンがもらっていた出演枠を、別の所属タレントに振ってもらうような営業が進められるのではないでしょうか。ただコンビでのテレビ出演がいきなりゼロになるのはあまりにも不自然で、吉本興業としては、そのあたりのバランスも考えているはず。テレビに関しては、テレビ朝日系『アメトーーク!』やフジテレビ系『さんまのお笑い向上委員会』といった、吉本的にも“なじみ”の番組への出演が良い落としどころになるように思います」

山田邦子の痛烈コメントの真意は

 くるまの退社については、山田邦子のコメントも話題になった。Yahoo!ニュースのエキスパートコメンテーターを務める山田は、くるまの退社を伝えるニュースに「令和ロマンを手離すとは…。事務所それぞれの考えはあると思うが、新しい才能溢れる漫才コンビなだけに、もったいない」とコメント。

 続けて「が、本人たちにとっては、番組はキツくなるかも知れないが、%も取られなくなるし、ひな壇で心折れるような薄笑いで時間潰ししなくても良くなるし、動きやすくなるだろう」と独自の視点で記述し、このコメントはネット上で「ひな壇で薄笑いをしているのは『キャリアの浪費』という見解が痛烈」などと話題になった。

 山田の指摘について、前出の田辺氏はこのような見方を示す。

「邦子さんのひな壇に関するコメントは、あくまで『令和ロマンほどの格であれば』ということですよね。やや言葉足らずなところもあったように思えるので、もしかするとひな壇芸人のみなさんは不服に感じているかもしれませんね(笑)」

 田辺氏はその上で、くるまおよび令和ロマンの今後についてこう展望する。

「確かに劇場やテレビ番組への出演は苦しくなるでしょうが、くるまさんはそういう苦境もポジティブに捉えているのではないでしょうか。発言力や発信力に関してはすでにカリスマ的ですし、個人で動けば数字も人も付いていくる。そういう意味では、私自身は霜降り明星の粗品さんや、ピースの又吉直樹さんに近い動き方になってくるように思います。これはピン芸という意味ではなく、粗品さん、又吉さんのように『自分性』を押し出した活動になっていくのではないでしょうか。

 令和ロマンはコンビで活動する場合の契約面が複雑で、それがネックになるのではと伝えられていますが、それはそういう現実として捉えてやっていくしかない。でもくるまさんの場合は、自在性のある動きをすることが可能な人。それができるのは、限られた芸人だけです。芸人としてだけではなく、執筆活動、俳優、個人事務所設立など、なんでもやりたいことができると思います。オファーもたくさん来るでしょう。

 もっと言えば、令和ロマンでいずれまた『M-1グランプリ』に出たり、別の相方とユニットで『M-1』に出たり、『R-1』にピンで出たり。独立したことで、余計にくるまさんの動きが読めなくなった。それってめちゃくちゃ楽しみですよね。お笑い芸人も、お笑いファンも、くるまさんが独立したことで『失敗する』と思う人はいないのではないでしょうか。誰もが認める実力と頭脳の持ち主ですし、そういう人はやはり成功率が高い。私は、くるまさんがお笑いシーンに新しい楽しみを生んでくれると思っています」

(文=佐藤勇馬)

協力=田辺ユウキ
大阪を拠点に芸能ライターとして活動。映画、アイドル、テレビ、お笑いなど地上から地下まで幅広く考察。

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佐藤勇馬

1978年生まれ。新潟県出身。SNSや動画サイト、芸能、時事問題、事件など幅広いジャンルを手がけるフリーライター。雑誌へのレギュラー執筆から始まり、活動歴は15年以上にわたる。著書に『ケータイ廃人』『新潟あるある』がある。

X:@rollingcradle

最終更新:2025/05/03 14:00