藤島ジュリー景子のインタビュー本、被害者補償前に“出版”の是非

旧ジャニーズ事務所「スマイルアップ」代表取締役の藤島ジュリー景子氏へのインタビュー本『ラストインタビュー 藤島ジュリー景子との47時間』の刊行が発表される。発売日は来たる7月18日で、発行元の新潮社は、「さまざまな立場の方がいらっしゃることは承知しているが、出版する意義があると考えて刊行を決定した」と、その意義を強調しているが、その出版をめぐって早くも賛否が巻き起こっている。
城島&松岡が語った友情を超えた“愛”
「ジュリー氏は、インタビューに答えるかたちで自らの半生を振り返り、ジャニーズ事務所内でのポジションや、叔父であるジャニー喜多川氏、母の藤島メリー泰子氏との関係などについて語っているほか、ジャニー氏の性加害について、被害者に謝罪しつつも、『知りませんでした』との立場を貫いていますが、ジャニー氏・メリー氏亡き今、性加害問題に対する最大の責任者がジュリー氏であることに変わりはありません。にもかかわらず、被害者への補償問題もまだ完全には終わっていないなか、自らの半生を語るインタビュー本の出版とは、まるで反省の色が見られません」(出版プロデューサー)
別の放送ジャーナリストも、インタビュー本という手法があざとい、と猛批判する。
「補償問題はまだ終わっていませんが、その間、2回にわたって開かれた記者会見のうちジュリー氏は1回しか出席していないんです。出席すれば、ジャニー氏の性加害の責任を追及されるからでしょう。そもそも、ジュリー氏はジャニー氏の性加害について知らなかったとしらを切り続けていますが、かつて、ジャニー氏は『週刊文春』に、当時は“少年愛”として疑惑を報じられ、名誉毀損裁判で敗訴しているのですから、知らないわけがない。会見を開けば、そこを追及されるから、読者や記者に答える必要がないインタビュー形式の半生本の出版でお茶を濁している。やることがあざと過ぎますよ」(前出の放送ジャーナリスト)
被害者への補償をめぐっては、性加害問題を受けて新社長に就任した東山紀之氏が、記者会見で「法を超えた救済と補償」を約束したが、スマイル社から被害者と認められずに苦しむ元ジュニアや、心ない誹謗中傷に耐えられず自死した元ジュニアもいる。
そんななかでのインタビュー本出版には、芸能界からも「早計だ」という声があがっているが、関係者の間では、ジャニー氏の性加害問題のみならず、中居正広氏にまつわる“フジテレビ問題”への関与を指摘する声もある。
「現在まで続くフジテレビ問題は、同局の女性アナと中居氏の間に性的トラブルがあったことが判明したにもかかわらず、上層部が対応せず、中居氏のレギュラー番組を続行したことですが、その背景には、中居氏の人気もありますが、長きにわたって旧ジャニーズ事務所とフジとが癒着関係にあったことが遠因という指摘は根強く、しかも、両社が密接な関係になったのはジュリー氏の存在があったから、とも言われています。実際、母親のメリー氏の時代からジュリー氏がフジテレビと蜜月関係にあったのは、周知の事実です」(前出の放送ジャーナリスト)
ジャニー氏の性加害問題を受けて、当時、テレビ局各社は自局の検証番組を放送したが、その頃、マスコミ関係者宛に「フジテレビ嘱託社員」を名乗る差出人から、怪文書が送付されたことがあった。
「文書は、“自局の検証番組は、フジテレビとジャニーズ事務所の関係を隠蔽したデタラメ検証”だとして、フジの“最重要問題を告発”するという趣旨の文章で始まり、『忖度の起点はフジテレビにあり、その理由はメリーと日枝(名誉会長・日枝久)の主従関係』として、両者の関係から、一時、フジに在籍していたジュリー氏とフジ社員だった元夫についても言及されていました」(前同)
結局、怪文書の真偽は分からずじまいだったが、ジュリー氏とフジテレビの関係については気になる情報もある。旧ジャニーズ事務所の所属タレントの受け皿として設立された「STARTO ENTERTAINMENT」の福田淳社長の退任が発表されたことだ。
「6月末で退任する福田社長の後任は、元フジテレビ専務で元テレビ西日本社長の鈴木克明氏で調整されていますが、フジ時代の関係から、ジュリー氏の復権が噂されています。インタビュー本はそのための布石だ、との見方もあります」(前同)
旧ジャニーズ、フジテレビとも、本当に信頼回復への道を歩んでいるのかーー成り行きを注視したい。
(文=本多圭/ジャーナリスト)
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