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秋元康氏が男性アイドルをプロデュース、三井不動産と共同展開 一般企業とコラボへの期待と不安

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秋元康(写真:サイゾー)
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 AKB48グループや坂道シリーズなど、多くの女性アイドルグループのプロデュースを手掛けてきた秋元康氏が、三井不動産株式会社及び株式会社東京ドームとタッグを組み、新たな男性アイドルグループのプロデュースを行うことが発表された。今年夏にオーディションを開催し、新たな才能を発掘。三井不動産が運営する商業施設内に専用劇場を新設し、そこを拠点に活動していく予定だという。

秋元康プロデュースの女性17人組グループ

 秋葉原のAKB48劇場を拠点として活動を始め、その後大ブレイクを果たしたAKB48に近い方向性となりそうな今回のプロジェクト。女性アイドルグループでは数々の成功を収めている秋元氏だが、男性アイドルグループのプロデュース実績には、不安な部分もある。

 作詞家・放送作家として活動していた秋元氏の名が轟いたきっかけは、1985年デビューのおニャン子クラブだ。秋元氏は、自身も作家として関わっていたフジテレビ系『夕やけニャンニャン』内で結成された同グループの楽曲において作詞を担当。仕掛け人という立場ではなかったものの、当時の少女たちのリアルな姿を描き出し、グループのカラーを確立させた。

 その後、秋元氏はねずみっ子クラブ、推定少女といった女性グループを手掛け、2005年にAKB48のプロデュースを開始。多くの派生グループも誕生し、社会現象的な大ブームを巻き起こすと、2011年にはその公式ライバルとして乃木坂46を立ち上げる。こちらも坂道シリーズとして姉妹グループが結成され、その人気はいまも続く。

 一方で、男性グループのプロデュースに目を向けると、1986年におニャン子クラブの男性版と言える「息っ子クラブ」が結成され、秋元氏が作詞で参加。1989年には、彦摩呂も所属していた「幕末塾」というグループのプロデュースを担当。2023年からは「夢をあきらめるな!男性グループオーディション」で結成されたSHOW-WAとMATSURIという2つの男性グループのプロデュースを担当。フジテレビ系『ぽかぽか』にもレギュラー出演し、その活躍の場を広げている。

 AKB48グループや坂道シリーズの実績が大きすぎることもあってか、どうしても男性グループでの実績がイマイチに見えてしまうのは否めない。エンタメウォッチャーの大塚ナギサ氏はこう話す。

「男性アイドル業界では、長らく旧ジャニーズ事務所勢が圧倒的な強さを見せていたので、新規参入は厳しいものでした。また、バラエティー番組でも吉本勢を筆頭とする男性芸人たちがライバルになるので、男性アイドルグループが本格的にブレイクするのは簡単ではない。実績のある秋元氏といえども男性グループのプロデュースには苦戦したということでしょう。ただ、そもそも新規参入のハードルが高い中で形にするには、秋元氏のような高いネームバリューが必要だったのも事実です。仮に負け戦だとわかっていても、チャレンジできたのは秋元氏の存在があったからではあるでしょう」

 故ジャニー喜多川氏の性加害問題が発覚し、ジャニーズ事務所が解体されたことで、ジャニーズ一強の構図も崩壊。多くの男性アイドルグループがさまざまなメディアで活躍する時代が到来している。

「男性アイドルグループを立ち上げるにはチャンス。メディア中心で活動するグループが多いなか、専用劇場での活動を展開するというコンセプトで差別化もできるだろうし、AKB48のノウハウを活かすこともできる。秋元氏ならではの仕事となりそうです」(同)

 今回、秋元氏は三井不動産と東京ドームとともにプロジェクトを進めることとなるが、これまでも秋元氏は一般企業といくつかのプロジェクトを手掛けている。

 1998年にはセガの家庭用ゲーム機・ドリームキャストの宣伝戦略プロデューサーを務め、同社の社外取締役にも就任している。湯川専務を起用したテレビCMも話題になったが、ソニーや任天堂といったライバルメーカーに差をつけられ、セガはドリームキャストを最後に家庭用ゲーム機の開発・販売から撤退した。そのほか、日本郵政公社や文部科学省のプロジェクトにも関わっている。

「さまざまなプロジェクトにおける“プロデューサー”として、日本国内でももっとも著名なのが秋元氏です。ドリームキャストのようにプロジェクトとして成功しなかったものもありますが、一般企業や官公庁としては秋元氏の知名度と実績の安心感は大きい。秋元氏の名前があるだけで、ニュース性もありますからね」

 秋元氏のプロデュースワークでは、賛否両論となる刺激的な展開も多い。おニャン子クラブは10代の少女が性的な内容な歌詞を歌っていて、令和の時代ならNG確定だ。AKB48にしてもCDに握手券や選抜総選挙の投票券をつけて販売したことが“AKB商法”などと呼ばれ、批判も少なくなかった。

「秋元氏と一般企業のコラボとしては、初期のAKB48がNTTドコモのテレビ電話サービスを利用してオーディションを開催したことがあります。当時AKB48はドコモのCMにも出演し、少しずつ話題にもなっていましたが、ここで大きなブレイクには至らなかった。その後、AKB48が社会現象的なブームになったのは、大規模な握手会や選抜総選挙を行うようになってからです。つまり、ドコモとのコラボでは世間を騒がせることができなかった。一般企業とのコラボとなると、リスクを避けるために無難な展開になりがちですからね。秋元氏の持ち味を活かすには、多少なりとも刺激が必要となるわけです。

 そう考えると、三井不動産と東京ドームとのコラボとなる今回のプロジェクトでは、秋元氏の刺激的な要素をどれだけ引き出せるかどうかが、成功の鍵となるのかもしれません。三井不動産と東京ドームが賛否両論となることを恐れずに、リスクを負って刺激的な戦略に踏み込むことができれば、AKB48のような社会的なブームにもなりうるのでは」(同)

 プロデューサーとして十分すぎるほどの実績がある秋元氏。果たして、男性アイドルグループにおいてもレガシーを残すことができるのか──。

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(文=サイゾーオンライン編集部)

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最終更新:2025/07/14 12:00