CYZO ONLINE > 芸能の記事一覧 > 『ダブルインパクト』エモと楽しさ

『ダブルインパクト』エモと楽しさに満たされました……【新越谷ノリヲトーク】

『ダブルインパクト』エモと楽しさに満たされました……【新越谷ノリヲトーク】の画像1
(写真:Getty Imagesより)

ライター・新越谷ノリヲと担当編集Sが勝手にしゃべります。お聞き流しのほどを~。

『ダブルインパクト』をエントリーナンバーバトラー方式で分析

編集S 『ダブルインパクト』どうでしたか?

新越谷 おもしろかった! いやー、なんかすごい満足感ありますよ。贅沢なライブを見た感じ。

編集S 確かに、賞レースというより企画ライブみたいな雰囲気ありましたよね。

新越谷 企画ライブに橋本環奈が出てくるんだから、満足感しかない。

編集S かわいいですよね、橋本環奈。

新越谷 本当にかわいいですね。顔がすごいかわいい。

編集S ネタの話します? かもめんたるから。コントでした。

かもめんたる

新越谷 なんというか、いきなりお笑いの採点というものを考えてしまいました。

編集S ほう。

新越谷 おもしろさを数値化するって、やっぱり無理があるよな、と思っちゃったんですよね。う大さんがやろうとしてることがどれくらいおもしろいかって、う大さんの中でもう試すようなことじゃない気がするんですよね。他人がどう思おうが、今回はこれをやりたいということだろうし、これじゃないこともできる。もっとグロいのもマンガチックなのもできるという中で、ここでこれを選んでやりますと。それに対して何点分おもしろいって、変な感じがしました。

編集S いきなり根本から。

新越谷 で、おもしろさ以外に基準を求めるとすると、やろうとしていることがどれくらい達成できているかという要素もあると思うんですよね。発想はおもしろいけど台本のテクニックが足りないとか、演技力がもっとあれば、とか。そのへんも別に、岸田戯曲賞2年連続最終候補の脚本家が他人に何か言われるようなことじゃないし、槙尾は上手いし。今回のネタは特に「岸田み」があるというか、テーマの押し出しが強かったので、より「審査されるようなネタじゃない」感があった気がします。

編集S でも、出てるわけですし。

新越谷 そうなんですよ。だから、反省会でう大さんが「今はそういうお笑いを楽しんでる」みたいなこと言ってたでしょう、審査員もやる、Yahoo!ニュースではオーサーとしてコメントする、賞レースにも出ると、なんかホントに楽しんでるなと思うし、若手からしたら迷惑な話だと思う。王の遊びだもの。

編集S 2本目の漫才はどうでした? 型としては、いわゆる主張系というか。

新越谷 なんかすごく共感しちゃった。かわいいおばさんはかわいいんですよ。これは確かに、この年齢にならないと実感できないことだと思う。

編集S そうですか。

新越谷 主張系って、最近若手でも伸びてますよね、豆鉄砲とかぐろうとか、共感と「変なこと言ってるな」が共存してる気持ちよさだと思うんですけど、このネタってその気持ちよさと考えてることそのもの気持ち悪さが共存してて、絶妙に気持ち悪くておもしろかったなーと。

編集S わかったようなわからないような。

スタミナパン

編集S スタミナパン、なんか安定感出てきてますよね。

新越谷 去年の『M-1』敗者復活で、完全に信用された感じがしますよね。先に漫才だったのも、とりあえず安心感のあるほうを出すという意味で成功してたと思います。それに、トシダも言ってたけど結果的に1本目唯一の漫才になったのは、本当に功績だと思います。番組が救われてる。

編集S ネタはどうでした?

新越谷 審査員もみなさん言ってたけど、コントより漫才のほうが麻婆のキャラが立つんですよね。で、スタミナパンってずっとコントばっかりやってて、漫才やり始めたらすぐに『M-1』準決勝まで来ちゃった。本人たちも気づいてなかったことが起こってるわけです。

編集S そうですね。

新越谷 なんかやってみたら、意外とそっちのほうがよかったという。これ、さすらいラビーと逆のことが起こってるなと感じたわけです。

編集S 逆?

新越谷 さすラビはずっと漫才だけやってきて、ちょっとコントを始めたら『KOC』で2年連続準決勝に来てる。本人たちが適性があると思ってやり続けてきたことが、結果的に世に出るのを遅れさせてきたという、そう考えると、自分たちの適性を見誤ったまま辞めてった芸人もたくさんいるんだろうなとか思うわけですよ。

編集S 切ない話ですね。

新越谷 だからさすラビもコントで飛躍するかもしれない。

編集S そう思って「ツギクル」決勝でコントやったんでしょうね。大変なことになりましたけど。

コットン

編集S コットン。いちばんの売れっ子ですね。この日も『ヒルナンデス!』から来たという。

新越谷 売れっ子の売れっ子たるゆえんを見せつけた感じがしますよね。適応力、出力の安定感、発声、慣れ感、パフォーマンスとしては完璧だったんじゃないですか。

編集S ネタ選びについて審査員的には女装を重ねたのは失敗だったようですが、反省会ではきょんが「あえて強みをぶつける」という言い方をしてましたね。

新越谷 でもやっぱ1本目のコントのほうがだいぶよかったです。リズムもあるし動きもあるし、きょんの女装が映えるし、オチのタイミングも気持ちよかった。

編集S とにかく達者ですよね。

新越谷 達者だし、コットンの場合あんまりネタはおもしろすぎないほうがいい気がするんですよね。

編集S おもしろすぎないほうがいい? なんですか?

新越谷 テレビタレントとしてむちゃくちゃ優秀だし、かなりフィットしてきてるじゃないですか。ネタがおもしろすぎると信者が発生するし、信者が出ると必然的にアンチも大量に出てくるし。今くらいのおもしろさがちょうどいい気がする。

編集S はあ。本人たちは不本意でしょうけど。

セルライトスパ

編集S ようやくファイナルに来ましたね、セルライトスパ。

新越谷 肥後がバレてないのがすごくいい方向に作用した気がします。

編集S 確かに、顔が売れている度でいったら肥後がいちばんでしょうね。スタミナパンはバイトしてるって言ってたからギャラ的にはセルスパのほうが稼いでるんでしょうけど、全国的な顔売れ度としては明らかに肥後がいちばんバレてない。

新越谷 だから「おまえがバスジャックなのかよ」もそうだし「歌えるのかよ」も、全部ちょっとインパクトが乗った状態になってウケに影響してたように思います。しかも大須賀は『R-1』でも『座王』でもお笑いファン的には顔が売れまくってるから、肥後の挙動が全部プラスの方向に積み重なってるんですよね。キャリア的な伏線回収を感じました。

編集S そういう意味では、関西コント保安協会としても。

新越谷 結果的にはベスト3独占ですからね。こういうドラマはもう無条件にたまらん。『KOC』じゃなくて『ダブルインパクト』の第1回で、というのも、何か風情を感じます。

ニッポンの社長

編集S 優勝しました、ニッポンの社長。

新越谷 おめでたいですね。私、大本命って言ってませんでしたっけ、ここのコーナーで。

編集S 言ってません。

新越谷 漫才のほうは準決勝から変えてきたそうですけど、結果的に2本「虐待」でそろえたことで見やすくなった感じがします。

編集S 虐待、確かに。

新越谷 1本目のコントで、これ以上ないくらい肉体的に痛めつけて、2本目では精神的な苦痛をこれでもかと与えている。そしてケツが一切かわいそうに見えない。一貫してやってきたことが結実した感じがしますよね。優勝の結果が出て辻が腰が抜けたように立てなくなったところ、さすがにちょっと見てて泣きそうになりました。

編集S ロコディとの関係性もありますしね。

新越谷 『見取り図じゃん』だったか、辻が上京してからの仕事が「ほとんど堂前の二番手」って言ってたんですよね。まず堂前がキャスティングされて、ツモれなかったら辻という。悔しかったと思うんですよ、それはそれで。

編集S 悔しいでしょうね。仲がいいだけに。

新越谷 うん。

ロングコートダディ

編集S そのロコディ。

新越谷 おお、暗転だ、と思ったんですよね。ニッ社の『KOC』での暗転最下位を成仏させるかのような暗転ネタ。なんかもう勝手に絆を感じてしまうというか。

編集S それはセンチメンタルすぎる気がしますねえ。実際、おもしろかったし。

新越谷 レザボアドッグス好きなんで、もうこういうのは大好物というか、逆にオリジナルのコードネームって大喜利要素だけの勝負になりそうなところ「トマト」からの「クッャジ」とかテクニカルがすごい。あと「2番目に好きなもの」って何かの映画の引用なんですかね。普通にめちゃくちゃカッコいいネームの付け方だと思ったんですが。

編集S 漫才はどうでした?

新越谷 『ダブルインパクト』用のやつを選んできたなと。「コントじゃん」って言われるラインを明らかに避けたなと思いました。それでいてちゃんとおもしろいんだから、やっぱすごいコンビだと思う。今年は『KOC』獲るんですかね。というか、ニッ社もロコディも『KOC』出るんですよね。すごいな。

編集S そういえば『KOC』のチョコプラとシソンヌ思い出しましたね、今回の一騎打ち。

新越谷 そういえばそうだ。やっぱエモい。

ななまがり

編集S で、ななまがりです。

新越谷 めっちゃ笑ったけどね、ビキニ。最高じゃんね。

編集S 最高だと思います。

新越谷 思ったのが、審査員の点数の振れ幅がすごく少ないんですよね、ビキニ。90が2人、91が2人、92が1人。

編集S おお、ホントですね。

新越谷 『THE SECOND』だと、ななまがりって振れ幅が大きくて絶対何人か1点が入っちゃうから不利っていう話があったじゃないですか。図らずも、客票審査とプロの審査員審査の違いが明確に表れたところが興味深いというか。そういうところで見るか見ないかという。

編集S なるほど、確かにくっきり差が出てます。

新越谷 いずれにしろ戦い続けるしかないんでしょうね、ななまがり。戦いが似合うコンビというか。

編集S カッコいいですね。

新越谷 カッコいいですよ。

(文=新越谷ノリヲ)

『ダブルインパクト』コントと漫才どっちが有利?

『ダブルインパクト』ファイナル展望

新越谷ノリヲ

東武伊勢崎線新越谷駅周辺をこよなく愛する中年ライター。お笑い、ドラマ、ボクシングなど。現在は23区内在住。1977生。

n.shinkoshigaya@gmail.com

新越谷ノリヲ
最終更新:2025/07/22 18:00