日曜劇場『19番目のカルテ』好発進 松本潤との対話に癒やされる人続出…「嵐ファン以外」の視聴者にもブッ刺さる理由

松本潤主演のTBS系日曜劇場『19番目のカルテ』の第1話が7月13日に放送され、平均世帯視聴率11.4%を記録。同週(7月7日~7月13日)の夏ドラマの中ではトップとなり、好スタートをきった。
富士屋カツヒトによる漫画『19番目のカルテ 徳重晃の問診』(コアミックス)を原作とする同ドラマ。「脳外科」「眼科」「整形外科」などといった18の専門分野に、新たに加わった「総合診療科」の医師・徳重晃を主人公に描かれる医療ヒューマンドラマで、松本潤にとってはキャリア30年で初めての医師役となる。
「総合診療科」とは、特定の臓器や症状への対処ではなく、患者の訴えを丁寧に聞き、その人の生活に寄り添った形で総合的に診察を行う分野。主に問診を手段として、他の専門分野では見抜けなかった患者の病を見出していく。
松本が演じるのは、とある街の地域医療の中核を担う魚虎総合病院に新設された総合診療科に赴任した医師・徳重だ。物腰柔らかでありつつも飄々としていて、何を考えているかわからない部分もあるが、鋭い洞察力で患者が抱える心身の病を見抜き、癒やしを与えていく。
さらに同ドラマでは、若手整形外科医・滝野みずきを演じる小芝風花、外科部長の息子である外科医・東郷康二郎を演じる新田真剣佑、小児科医・有松しおりを演じる木村佳乃、徳重の恩師である総合診療医・赤池登を演じる田中泯など、豪華キャストが個性的なキャラクターを演じている。
緊迫した雰囲気の医療ドラマが多い中で、問診を手段とする総合医療を扱っているということもあり、比較的穏やかな雰囲気が漂うこの作品。初回放送後のSNSの反応を見ると、
「全然期待していなかったけどめちゃ面白い! 松潤と小芝さんナイスバディ」
「徳重先生、思ってた以上に柔和でほわほわしてて好き」
など、かなり好評のようだ。
事実上“新ドラマ”のトップ、ギスギスした世の中で得られる「癒やし」
TVerのお気に入り登録者数も7月23日時点で約76万件で、夏ドラマのなかでは日本テレビ系『放送局占拠』に続く。TVerのお気に入り登録数はシリーズものの場合、前シリーズから累積されるため、3シーズン目となる『放送局占拠』を超えるのは簡単ではないが、“新ドラマ”としては事実上のトップと言える。
この『19番目のカルテ』が好評な理由について、エンタメウォッチャーの大塚ナギサ氏はこう分析する。
「第1話を見た限りでは、クセ者の医師が集まる総合病院に、少々掴みどころのない医師が赴任してくるというオーソドックスな医療ドラマのスタイルで、視聴者はすんなりと入っていける。また、救急医療などを扱うドラマの場合、最初から最後までかなりの緊張感が漂いがちですが、このドラマでは医師と患者との対話が軸なので、終始穏やかな空気が漂っているのが大きな特徴です。
また、視聴者にとって身近に感じられるからこそ共感できる部分も多いと思います。ちょっと体の調子が悪くて病院に行ったものの、特に異常が見つからず『ストレスでしょうね』なんて言われてしまう……といったケースは珍しくないと思うのですが、松本さん演じる徳重医師との対話によってそうした体の不調の根源が明確になれば、救われる気持ちになり、安心感をおぼえる人は多いでしょう。
ここ最近、ギスギスした空気が流れている中で、多くの視聴者も癒やしを求めているのかもしれません。そして、その癒やしが対話(問診)によるものとなれば、視聴者としてもリアリティーを感じやすい。患者だけでなく視聴者にも寄り添った作品だと思います」
ゲスト出演する俳優の名演も光る
初回では、全身の痛みを訴えながらも、検査では異常がないと判断されて悩む女性患者・黒岩百々役の仲里依紗や、整形外科に入院中だが喉の痛みを訴える老年の男性患者・横吹順一を演じる六平直政がゲスト出演。SNSでは、
「仲里依紗の泣の演技うますぎて怖い」
と、ゲスト陣の演技を絶賛する声も多かった。
「特に仲里依紗さんの演技は、かなり引き込まれるものでした。仕事をこなさなければいけないという使命感と原因不明の体中の痛みに板挟みになっているなかで、徳重医師との対話によって、自身の病気が判明し、そして涙する。仲里依紗さんの涙のシーンによって間接的な診療を受けたかのような共感をおぼえた人は多かったようです。
医療ドラマは患者役としてゲストが出演するパターンも多いわけですが、初回のゲストは、視聴者をつかむ意味でとても重要。その点で仲里依紗さんと六平直政さんは、大当たりだったと思います。今後のゲスト陣も楽しみになってくる圧巻の演技でした」(前同)
この夏ドラマでは、松本の『19番目のカルテ』だけでなく、前述・櫻井翔主演の『放送局占拠』(日本テレビ系)や、相葉雅紀主演の『大追跡 警視庁SSBC強行犯係』(テレビ朝日系)と、嵐のメンバーの主演ドラマが揃い踏みだ。2026年春をもって活動を終了することを発表している嵐にとっては、今後の活動を勢いづけるものとなりそうだ。
「この『19番目のカルテ』は、嵐のファンや松本さんのファンだけでなく、より幅広い人々に刺さりそうな要素が強い。社会的にも経済的にも不安定な世の中で、誰もが苦しみを抱えて生きている。そんな時代に、癒やしを与えてくれるエンタメは貴重な存在です。日曜日の夜の放送というのも大きい。次の日から仕事が始まる人たちにとって、ここで癒やしを与えてもらえれば、また月曜日から頑張ろうという元気の源となりえます。今回の『19番目のカルテ』は、松本さんが俳優としてファン層を広げることになりそうです」(同)
松本演じる徳重医師がどのようにして患者を、そして視聴者を癒やしていくのか。日曜日の夜に、あたたかい時間を届けてくれそうだ。
(取材・文=サイゾーオンライン編集部)